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デッサン初心者は何から始めるべき?基本の練習法&揃えるべき画材

更新日:2020.08.03

絵を描くだけでなくモノづくりの基本ともいわれるデッサン。観察やシルエットの捉え方、構図やコンセプトなどいろいろなスキルを身につけることができます。この記事では、デッサンとは何か、なぜデッサン力が必要なのか、デッサンに必要な道具などを解説します。


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デッサンとは何か?

クロッキーとデッサン 違い

デッサン=立体的な対象物をじっくりと見て、見たままの形や陰影を鉛筆やペン・コンテなどを使って紙に描くこと。立体的なものを平面に描写することです。
黒や黒茶などの単色で対象を描き、ごまかしがきかない分、基礎画力を身につけることができます。そのため、多くの人がデッサンに取り組んでいます。


デッサンの語源はフランス語

デッサンとは「dessin」と書き、英語ではなくフランス語です。ラテン語で「線を引く」という意味を持つ「designare」が語源と言われています。英語では「ドローイング」、日本語では「素描」(そびょう)がデッサンにあたる言葉です。


デッサンとイラスト、スケッチ、クロッキー、模写との違い

デッサンと次の4つの手法については、とても混同しやすいので違いを知っておきましょう。

  1. イラスト:リアルな表現というよりは、簡略化して描かれた絵。
  2. スケッチ:見たものやイメージを大まかに描くこと
  3. クロッキー:短時間で観察して描く技法
  4. 模写:他の絵・写真などを写し取り、作風や意図を探る方法

イラストは、見たままをリアルに描くというよりは、簡略化したり、あるいはイメージだけで描いたりする絵なので、デッサンとは異なります。
スケッチは見たものを大まかに描くので、下描きのような役割を持つことがあります。
クロッキーは「速写」とも呼ばれ、動きのあるものなどを一瞬で観察して描きます。観察力が身につくので、デッサンの練習にもなります。
模写は絵・写真など平面的な作品を観察して描くもの。その作風や構図、構造、陰影などの観察に役立ちます。一方でデッサンは立体物を直接自分の眼で観察して描きます。

デッサンをすることには大きな意味がある

絵を描く人にはデッサン力が必要だと言われるものの、デッサンはとても地道な作業であるため、苦手意識を持つ人も多いようです。デッサンをすることにはどのような意味があるのかを知っておきましょう。


デッサンは観察力を鍛える

デッサンの観察力を鍛える

立体的なモデルをじっくりと観察して、平面に描くデッサンは「物の本質をとらえる訓練」にもなります。数回デッサンをしたくらいでは、なかなかつかめないかもしれません。しかし何度も立体を平面上に表現するためにあらゆる角度からモデルを見ていくうち、自然と「観察力」が身についていきます。
繰り返しデッサンに取り組むことで、その観察力は鍛えられていき、始めの頃には気づかなかった陰影などが見えてきます。


デッサンは構造を考える力が身に付く

立体的に描くためには、その物の構造をしっかりと把握していなければなりません。デッサンは、対象の構造をよく考える力をつけるために最適です。
デッサンをするときに鉛筆を持ったまま対象をいろいろな角度から「観察」し、すぐに描かずにじっくりと考える人を見かけたことがあるでしょう。何も考えずに描き始めるのではなく、物の構造やバランスをよく観察し、考えながら描くことが大切です。

鉛筆デッサンには何から揃えればいい?

デッサンは比較的シンプルな道具を使って始められるもののように思われがちですが、快適に練習を続けていくためには、いくつか揃えておくべき画材があります。自分に合った使いやすいものを選んで、快適な鉛筆デッサンを始めましょう。


鉛筆

デッサンに使う鉛筆

デッサンに使う鉛筆は通常の鉛筆とは違います。デッサン用の鉛筆を使って描くのですが、その場合も1本だけ(1種類)を始めから終わりまで使うのではありません。
デッサンの上手い人は、線の濃さや太さの違い、陰影の濃淡に応じて、鉛筆の芯の硬さを使い分けます。6Bから6Hまでの13本が用意してあればよいといわれており、デッサン用に硬さや濃さの違う鉛筆がセットになっている便利なセットも売られています。
カッターを使って削りますが、芯は色の濃いものほど太くなり折れやすいので注意して削りましょう。芯の側面も使って絵を描くので長めにしておきましょう。


消しゴム

ステッドラーの消しゴム

デッサンに使う消しゴムは、次の2つの種類を用意して使い分けましょう。いずれも大切な絵を傷つけてしまわないように、やさしく消せるものを選びます。デッサンでは基本的に「練り消しゴム」が使われます。手でこねて指で練りこむことで形が自由自在に変えられ、使いやすい量、使いやすい形に形成できるだけでなく、鉛筆の粉を優しく吸着してくれるので、画面を傷つけずに消せます。

また、消すだけでなく、黒い部分にコロコロと転がして色を伸ばしたり、部分的に白抜きにしたりすることもできます。細かい線などを綺麗に消すためには「プラスチック消しゴム」も活躍します。ただしデッサンの画用紙の凹凸をつぶさない優しい使い心地のものを選ぶ必要があります。
「ホルダー消しゴム」とよばれるスティック状のプラスチック消しゴムがおすすめです。練り消しゴムをメインにして、プラスチック消しゴムも必要に応じて使うというスタイルにしましょう。


画用紙

デッサンには画用紙を使います。紙質は数種類の中から選ぶことができ、描くものや絵の仕上がりの好みによって種類を使い分わけます。初心者の人がデッサン用画用紙を選ぶなら、凹凸のある「中目」と呼ばれるものが鉛筆運びがしやすいと感じられるでしょう。
具体的な商品としては「サンフラワー紙」がもっとも良く使われています。厚口で表面が強く、柔軟性もあり、とても使い勝手のよい画用紙です。


その他

鉛筆、画用紙、消しゴム以外にもデッサンに必要なものがあります。例えば以下のようなものです。

  • カッター:鉛筆を削り、芯を長くし、先を尖らせるために使う
  • 画版:画用紙の下に敷く下敷き兼机の役割
  • クリップ:画用紙と画板を止める。洗濯ばさみなどで代用可
  • イーゼル:絵を立てかけるスタンド。野外用と室内用がある
  • フィキサチーフ:鉛筆やコンテを画面から取れにくくするスプレー

デッサンの基本的な鉛筆の選び方と持ち方

デッサン持ち方

デッサンにかかせない鉛筆は専用のものを選ぶということだけでなく、実際に画面上で描いたときの「使用感が快適」なものを選ぶことが大切です。持ち方も通常の字を描くときとは違うのでチェックしておきましょう。


鉛筆の濃さ

鉛筆硬さの解説表

鉛筆の濃さは芯の硬さと関係があります。B(=Black)は柔らかい芯の鉛筆で、数字が大きいほど柔らかく、濃く書けます。H(=Hard)は硬い芯の鉛筆で、数字が大きいほど固く、薄くなります。
一般的にデッサンには3B~6Bの鉛筆が欠かせないと言われていますが、表情豊かな作品にするためには、Hも含めてもっとたくさんの種類の濃さの鉛筆を使い分ける人が多いです。


デッサン鉛筆のおすすめメーカー

デッサン用の鉛筆は通常の鉛筆とは違って、デッサンがしやすいように作られています。中でも次の2つのメーカーはどちらも質のよさと使いやすさで、高い人気があります。


ステッドラー

ステッドラーのサイト

ドイツのデッサン鉛筆の老舗メーカーであるステッドラーの鉛筆は、青いボディに白いライン、鉛筆の型番を表す先の部分は黒になっているタイプで、画材店や文具店でよく見かけます。ステッドラーのデッサン用鉛筆は、青ではなく、全体が黒い「マルス ルモグラフ ブラック」というカーボン鉛筆です。光沢がない、濃い黒を描くことができて、紙への定着性も良いデッサン用鉛筆です。


ハイユニ

三菱鉛筆の製品ハイユニ

三菱鉛筆の製品で、消しゴムや普段使いの鉛筆で有名な「ユニ」のワンランク上のブランドが「ハイユニ」です。値段もユニよりも50円ほど高く、柔らかくなめらかな描き心地が特徴です。


デッサンの際の鉛筆の持ち方

鉛筆デッサンの持ち方

デッサンの際の鉛筆の持ち方は基本的に、人差し指と中指、親指の3本の指でつまむように鉛筆を持ちます。描きたい線に応じて、鉛筆の角度や、持つ位置を調節することが大切です。鉛筆を長く持つ(鉛筆の先から遠い部分を持つ)と、力が入りにくいため、薄く描けます。逆に短く持つと濃くなります。

鉛筆を寝かせると、広い範囲を塗りやすくなり、逆に立たせると細かい部分を塗りやすくなります。場合によっては普通の字を書く時のような持ち方をしても良いでしょう。硬い芯の鉛筆を短めに持って立て気味にして使うと繊細な線が描けますが、筆圧が高いと跡が残り、消しゴムで消しきれません。この場合修正ができなくなるので注意が必要です。

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デッサン初心者は手を描くことが良い練習に

デッサン初心者は手を描くことが良い練習

初心者は、デッサンで何を描けばいいのか悩かもしれません。初心者におすすめのモデルは、自分の「手」です。
もっとも身近でありながら、とても複雑な部位である「手」を描くことがデッサンではよく行われています。手は、デッサンが上達するために大変良いモデルです。


手の構造を理解するとデッサンは上達する

身近に見ることができて、複雑な構造の骨を動かして多くの表情を作ることができる「手」は、描いてみると意外に難しくて驚くかもしれません。どんなモデルでもそうですが、手を上手く描くためには、まず構造をよく観察して理解しましょう。
親指、親指の付け根、親指以外の4本の指、手のひらと4つのパーツに分けて考えたり、指の可動域などを観察したりすると手の構造がよく分かります。

また、実際にいろいろな「道具」を持っている手の様子を観察して、手の表情の変化を見ることも、手の構造を知るためにおすすめです。
デッサンは観察する目的や描き始める部分などは自由に決めて取り組めます。ここでは手のデッサン方法の一例をご紹介します。

手のデッサン01

(1)描きたい大まかな形を塊で取ります。

手のデッサン02

(2)塊を大まかに指の形に分けます。

手のデッサン03

(3)分けた指の中に骨を入れます。

手のデッサン04

(4)骨に沿って指の形を描いていきます。

手のデッサン05

(5)手の線画を整えます。

手のデッサン06

(6)手は、大まかな面の中にいくつもの細かい面が重なって形成されています。
まずは上からの光源を意識して大まかな影を入れます。
面の方向を意識して、直線でタッチを入れます。

手のデッサン07

(7)もう一段階細かい影を重ねて入れます。
「6」よりも短めの線でより細かい面を意識してタッチを入れます。

手のデッサン08

(8)更に細かい影を重ねます。
皮膚の弾力が出るよう、細い線で丸みのタッチを重ねます。
手の肉の細かい面が表現できれば、完成となります。

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デッサン人形を使うとポーズも描きやすい

静物や手を使ってのデッサンができるようになったら、今度は人間の体全体のポーズを描くとさらにデッサン力のアップにつながります。
その際、いつも実際のモデルをお願いすると大変なので、「デッサン人形」があると、とても便利です。手足などの関節や首、腰などが自由に稼働するので、自由にポーズを付けることができ、人形であるがゆえに自由に構造を観察できるというメリットがあります。


デッサンに人気なフィギュア「S.H.Figuarts」「figma」

デッサン人形は100円均一や無印良品などでも売られていますが、デッサン用として使うなら、関節の可動箇所が多くて、ボディラインがリアルな人形を選びましょう。おすすめのデッサン人形を2つ紹介します。

「S.H.Figuarts」のデッサン人形は、男性バージョンである「ボディくん」と女性バージョンの「ボディちゃん」です。可動できる部分が多く、自由自在にポーズを付けられますが、その可動域には自然な制限がなされているので、人間として不自然なポーズにならないようになっています。
単体販売とDXセットがあり、DXセットにはパソコンや刀、携帯、銃などの小物や、スタンドも入っており、手のパーツも多く入っています。

「figma」のデッサン人形「archetype next」(アーキタイプ・ネクスト)は、優れた可動域、リアル感あふれる筋肉や質感で、デッサンの練習用として大変人気があります。
男性バージョン「he」と女性バージョン「she」があり、専用スタンドが付属しています。上半身の反りやひねりがしやすく、立っているだけでもサマになる人形です。




人形アプリもデッサンにおすすめ

実際に手に取って見ることができるデッサン人形もよいのですが、近年は3Dのデッサン人形アプリという選択肢もあります。デッサン人形をコンピューターグラフィックスで表現しているので、あらゆる角度から自由自在に見ることができ、ポーズも自由につけられます。拡大して細部を観察することも可能です。


ArtPose

ArtPose

ArtPoseは人体の3Dポーズができる芸術的なアプリです。人体模型のようにリアルな筋肉の様子がしっかりと分かります。様々なポーズから選択して、そのまま使うこともできますし、自分でポーズをつけることも可能です。
デッサン人形アプリの中でも、特に細かい部分が作り込まれたグラフィックを表示できるので、人間の体を描く力を付けたい人におすすめです。男性モデル用と、女性モデル用で、アプリが別々になっていますので、男女のモデルを両方利用したい場合は、アプリを2つインストールする必要があります。


Handy Art Reference Tool

Handy Art Reference Tool

Handy Art Reference Tool」は、人体全体のモデルではなく、体のパーツごとに分けて表示するアプリです。手や足、顔のパーツなど、様々なパーツのモデルが収録されています。顔パーツには皮膚のついた状態だけでなく、頭蓋骨などのグラフィックもあります。追加購入で動物の頭蓋骨も表示できます。
とてもリアルな形のグラフィックなので、デッサン用として大変重宝します。光源の調節で陰影も変えることができ、スワイプさせて回転させたりズームアップしたり、好みの角度で表示できます。


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基礎をしっかり学びたいならデッサン教室へ

基礎をしっかり学びたいならデッサン教室

デッサンは数をこなすことで技術を磨いていくことのできるものと言われていますが、実に奥が深い世界です。自己流では限界があります。プロの人でも教室で学び直すことは珍しくありません。
基礎をしっかり学びたいなら、自己流で練習するのではなく、専門の先生の指導を受けにデッサン学校へ行ってみるのも一つの方法です。


東京都内でおすすめのデッサン教室

多くの絵画教室がひしめきあう東京都内には、学生や子どもだけでなく、「大人向けのデッサン教室」が多数あり、絵をこれから始めたい人にもプロとして活躍している人にも人気です。東京都内でおすすめの教室を2つ紹介します。


おとなの美術室

おとなの美術室

おとなの美術室」は、社会人が気楽に通える大人向けの絵画スクールです。教室にはマンガやイラスト、フィギュアなど、様々なコースがあります。
デッサンについてはイラスト教室の中の「クリエイティブデッサン基礎講座」で学べます。通信講座や、1,000円でお試し受講できる特別講座もあります。

  • 住所:東京都渋谷区代々木2-26-4ドゥ・クロイワ202号
  • 電話番号:050-3617-0645

レイアートスクール

レイアートスクール

ファッションやアートの発信地ともいえる渋谷に位置する「レイアートスクール」は、白で統一されたスタイリッシュなイメージの教室です。
デッサン講座は、初心者向けの講座を始め、デザイナーなどのプロ向けの短期講座、繰り返し受講してデッサン力を高める木炭を使った石膏デッサンの集中講座など、充実しています。予約をすれば体験レッスンや見学もできますので、気になる人は足を運んでみましょう。

  • 住所:東京都渋谷区神南1-15-8ひきだしのような家に5F/6F
  • 電話番号:03-5456-0400
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まとめ

鉛筆デッサンを始めるには、デッサン専用の鉛筆や画用紙、画材など道具を揃える必要があります。絵をどうやって描き始めたらよいか分からないという人は、まずデッサンから始めましょう。
肩の力を抜いて物を観察することを楽しみながらデッサンを続けることで、画力をアップさせることができます。




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