デッサンとは、目の前の対象を観察し、形や大きさ、明暗などを紙の上に表す練習です。
初心者は、まず身近なモチーフを観察して大まかな形を捉え、全体のバランスを確認してから細部を描き込んでいきます。
この記事では、デッサンに必要な道具や鉛筆の使い分け、基本的な描き方を紹介します。
この記事の目次
デッサンとは、形・比率・明暗を観察して描くこと

デッサンとは、立体的な対象をよく観察し、形や陰影などを紙の上に描くことです。
目の前にある立体を平面に表現するため、対象の形や比率、構造、光の当たり方などを観察しながら描きます。
デッサン、スケッチ、クロッキー、模写との違い
デッサンと次の4つの手法については、とても混同しやすいので違いを知っておきましょう。
| 種類 | 何を描く? | 特徴・目的 |
|---|---|---|
| デッサン | 主に実物などの対象 | 形・比率・立体・明暗を観察して表現する |
| スケッチ | 見たもの・イメージ | 全体を大まかに捉えて描く |
| クロッキー | 人物などの対象 | 短時間で形や動きを捉える |
| 模写 | 絵・写真など | 元の作品を観察して形や構図などを学ぶ |
これらは目的や描き方が異なりますが、どれも対象をよく観察して描く練習になります。
特にクロッキーは短時間で形や動きを捉える練習になるため、デッサンの観察力を鍛える練習としても取り入れられます。
初心者が最初に揃える道具
デッサンは、たくさんの画材を揃えなくても始められます。
まずは鉛筆、練り消しゴム、画用紙、鉛筆を削る道具があれば、基本的な練習ができます。
必要に応じて、画板やクリップなどの道具を追加していきましょう。
鉛筆

デッサンでは、鉛筆の芯の硬さによって線の濃さや描き心地が変わるため、複数の硬さを使い分けます。
最初からすべての硬さを揃える必要はなく、描きながら薄い線や濃い陰影が必要になったときに、使う鉛筆を増やしていくとよいでしょう。
鉛筆を削るときはカッターなどを使い、芯を長めに出しておくと、芯の先だけでなく側面も使って描けます。
消しゴム

デッサンでは、主に「練り消しゴム」と「プラスチック消しゴム」を使い分けます。
練り消しゴムは、形を自由に変えられ、鉛筆の粉をやさしく吸着できるため、広い範囲の明るさを調整したり、部分的に白くしたりするときに便利です。
細かい部分をしっかり消したいときには、プラスチック消しゴムを使います。
最初は練り消しゴムを用意し、必要に応じてプラスチック消しゴムを追加するとよいでしょう。
画用紙
デッサンには、鉛筆で描きやすい画用紙を使います。紙の表面には凹凸があり、種類によって描き心地が異なります。初心者の場合は、適度な凹凸がある「中目」の画用紙から始めるとよいでしょう。
その他
鉛筆や画用紙を使いやすくするために、次のような道具もあります。
- カッター:鉛筆を削るために使います。
- 画板:画用紙を固定したり、描きやすい姿勢をとったりするために使います。
- クリップ:画用紙を画板に固定するときに使います。洗濯ばさみなどで代用することもできます。
鉛筆の硬さと使い分け
デッサンでは、鉛筆の硬さによって線の濃さや描き心地が変わるため、複数の硬さを使い分けます。
鉛筆の持ち方や角度を変えることで、線の濃さや太さ、広い範囲の塗りやすさも調整できます。
鉛筆の濃さ

鉛筆の濃さは芯の硬さと関係があります。B(=Black)は柔らかい芯の鉛筆で、数字が大きいほど柔らかく、濃く書けます。H(=Hard)は硬い芯の鉛筆で、数字が大きいほど固く、薄くなります。
デッサンでは、薄い線を描くときや濃い陰影を表現するときなど、描きたい表現に合わせて複数の硬さを使い分けます。
最初から多くの種類を揃える必要はなく、必要に応じて使う鉛筆を増やしていきましょう。
デッサンの際の鉛筆の持ち方

デッサンでは、鉛筆を人差し指・中指・親指の3本でつまむように持つ方法があります。
描きたい線に合わせて、鉛筆を持つ位置や角度を調整しましょう。
鉛筆を長めに持つと力が入りにくく、薄い線を描きやすくなります。
反対に短く持つと力を入れやすく、濃い線を描きやすくなります。
また、鉛筆を寝かせると広い範囲を塗りやすく、立てると細かい部分を描きやすくなります。
必ず決まった持ち方をする必要はなく、描く場所や表現に合わせて持ち方を変えてみましょう。
デッサンの基本手順
デッサンは、いきなり細かい部分を描き込むのではなく、まず全体の形やバランスを捉えてから、立体感や明暗、細部を整えていきます。
基本的には、次の順番で描き進めます。
- モチーフ全体が紙のどこに収まるかを決める
- 縦横の長さや傾きを比べ、大きな形を薄い線で取る
- 箱・球・円柱などの単純な立体に置き換えて、構造を確認する
- 最も明るい部分と暗い部分を見比べ、大まかな明暗を分ける
- 全体のバランスを見直してから、輪郭や質感などの細部を整える
初心者が描きやすいモチーフ

デッサン初心者は、身近にあるものから描いてみましょう。輪郭や明暗を観察しやすく、途中で位置が変わらないモチーフを選ぶと、観察に集中できます。
最初は箱から始めると、縦・横・奥行きの比率を捉える練習になります。球では、光が当たる部分から影になる部分までの明暗の変化を観察できます。白いマグカップなら、円柱の形や取っ手の重なりを確認しながら描けます。
こうしたモチーフに慣れてきたら、身近にあって繰り返し観察できる自分の手を描いてみるのもおすすめです。手は複雑な形をしているため、形や立体感を捉える練習になります。手のデッサンに挑戦するときは、指の長さや関節の位置などを確認しながら描いてみましょう。
手を描くときは構造を観察する
手は身近にありながら、骨や関節によって複雑な形を作るため、描いてみると意外に難しく感じるかもしれません。手を描くときは、まず全体の形や構造をよく観察しましょう。
親指、親指の付け根、4本の指、手のひらなどに分けて考えたり、指の可動域を観察したりすると、手の構造を捉えやすくなります。
また、実際に道具を持った手など、さまざまな状態を観察することも、手の構造や形の変化を知る練習になります。
ここでは、手のデッサン方法の一例を紹介します。

(1)描きたい大まかな形を塊で取ります。

(2)塊を大まかに指の形に分けます。

(3)分けた指の中に骨を入れます。

(4)骨に沿って指の形を描いていきます。

(5)手の線画を整えます。

(6)手は、大まかな面の中にいくつもの細かい面が重なって形成されています。
まずは上からの光源を意識して大まかな影を入れます。
面の方向を意識して、直線でタッチを入れます。

(7)もう一段階細かい影を重ねて入れます。
「6」よりも短めの線でより細かい面を意識してタッチを入れます。

(8)更に細かい影を重ねます。
皮膚の弾力が出るよう、細い線で丸みのタッチを重ねます。
手の肉の細かい面が表現できれば、完成となります。
まとめ|うまく立体に見えないときの確認点
デッサンがうまく立体に見えないときは、細部を描き込む前に全体の形や明暗を見直してみましょう。
左右の幅、上下の位置、面の向き、影の大きさなどを確認し、モチーフと描いている絵を交互に見比べることが大切です。
細かい部分を描くことに集中するだけでなく、描いている途中でモチーフをよく観察する時間も意識的に増やしてみましょう。全体のバランスを確認しながら描き進めることで、形や立体感のずれに気づきやすくなります。
今回は、デッサンとは何か、初心者が揃える道具、鉛筆の使い分け、基本的な描き方や練習しやすいモチーフについて解説しました。
最初から細部を描き込まず、モチーフをよく観察しながら、全体の形から立体、明暗、細部へと順番に描き進めてみましょう。










