イラストの描き方には、アナログとデジタルの2種類があります。イラストを始めたいけれど、何から始めればよいのかわからないという人のために、必要な道具のほか、基本的な描き方から上達方法まで、わかりやすく解説します。
この記事の目次
イラスト初心者はまず何から始める?
ここでは、イラスト初心者のために、まず何から始めたらいいのかを解説します。
どんなイラストを描きたいか考える
まず、自分がどんなイラストを描きたいかを考えることが大切です。自分の好きな絵師の描いたイラストなどを参考に、描きたいものを見つけましょう。 どんなイラストを描きたいかが決まったら、どのような道具や練習が必要か、そして自分に足りないものは何かが明確になりますので、効率的にイラストが上達します。
小さな目標を持ってみる
イラストを描くときには、小さな目標を持ってそれを達成していきましょう。目標を持つことで、ただ漠然と描くのではなく、自分で注意して考えながら描くようになります。考えながら描くことは、絵の上達においてとても重要なことです。 『イラストが上手くなる』などの漠然とした大きな目標ではなく、具体的な小さな目標にしましょう。 たとえば、『顔を上手く描く』『手をリアルに描く』など、自分の苦手な部分を少しずつなくすことを目標にしてみましょう。そうすることで、やがて『イラストが上手くなる』という大きな目標を達成できます。
イラストはアナログとデジタルの2種類
イラストを描く方法には、アナログとデジタルの2種類があります。ここでは、それぞれの特徴と必要な道具について紹介します。
紙と鉛筆で描くアナログ
アナログで絵を描くことは、紙と鉛筆さえあれば可能ですから、初心者でも気軽に始められます。 また、アナログでは、さまざまな絵の具や、質感の異なる紙を使い分けて、自分の描きたい絵を完成させます。
必要な道具
アナログでイラストを描く際に必要な道具は下記のとおりです。
- 紙(ケント紙・画用紙・スケッチブックなど)
- 鉛筆(鉛筆・色鉛筆など)
- 絵の具(コピック・水彩絵具など)
- 消しゴム
アナログのイラストに必要な道具は、基本的に低価格で手に入るものばかりです。しかし、表現の幅を広げようと思うと、画材を増やさなければならないので、お金がかかることもあります。
電子機器で描くデジタル
デジタルでは、タブレット端末やパソコン、イラストソフト等を使ってイラストを描くので、最低限の道具を集めるだけでも、アナログよりも高い初期費用が必要です。
必要な道具
デジタルでイラストを描く際に必要な道具は下記のとおりです。
- パソコン
- ペイントソフト
- ペンタブレット
ペンタブレットはペン型のマウスのようなもので、紙に描くように操作することができます。スマホやタブレットPCなどは、パソコンとペンタブレットが一体化したようなものですから、デジタルで絵を描くためにも使えます。 とはいえ、かなり処理能力が高いタブレットPCでないと、ペンの動きに追従しないので、大変描きにくいです。そのため絵を描くときは、一般にパソコンとペンタブレットがよく使われます。
アナログとデジタルどっちがいい?
初心者はまず、アナログとデジタルのそれぞれの特徴を知って、自分に合った方法を選ぶようにしましょう。
それぞれにメリット、デメリットがある
アナログとデジタルには異なった特徴があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
アナログのメリット
アナログの主なメリットとして、下記のような点が挙げられます。
- 気軽に始められる
- 素材の質感を生かせる
アナログは、紙と鉛筆さえあればいつでもどこでも描けます。低価格で道具をそろえることができるので、気軽に始められます。 また、絵の具の特徴を生かした色彩や、紙の質感を利用できるので、デジタルでは再現が難しい、味わいのある絵を描けます。
アナログのデメリット
アナログの主なデメリットは、下記のような点です。
- 画材に左右される
- 修正しにくい
- 手間がかかる
アナログの場合、道具・画材に左右される部分が大きいです。どんな画材を選ぶかによって、作品の仕上がりが大きく異なる場合があります。 また、アナログの画材は、絵の具など1度描いたら修正しにくいものが多いです。失敗したら最初からやり直しになるなど、基本的にデジタルよりも作業効率が悪くなります。 画材によっては、管理・手入れに手間がかかる場合があります。また、それらの画材を保管するためのスペースが必要になります。
デジタルのメリット
デジタルの主なメリットとして、下記のような点が挙げられます。
- 修正しやすい
- コピー&ペースト機能が便利
- デジタルならではの色・表現ができる
デジタルでは、色塗りと修正が簡単です。また、コピー&ペーストが簡単にできるので、写真などのさまざまな素材を加工・合成することによって、アナログでは難しい表現ができます。 また、まぶしく光った色など、デジタルならではの色彩表現が可能です。
デジタルのデメリット
デジタルの主なデメリットとして、下記のような点が挙げられます。
- 慣れるまでに時間がかかる
- こまめにデータの保存・バックアップをする必要がある
- 初期費用が多くかかる
デジタルで絵を描くときに使うペイントソフトは、操作方法が複雑なものが多く、慣れないと思い通りの線を引くことさえ大変です。 また、データをこまめに保存・バックアップしていないと、消えてしまう恐れがあります。デジタルで絵を描くためには、最低でもパソコンとペイントソフトが必要なので、アナログよりも初期費用が多くかかります。
自分の描きたい方を選んで
アナログとデジタルのメリット・デメリットをしっかりと理解した上で、自分の描きたい方法を選びましょう。 また、どちらも使いこなしたいという人は、両方始めてもOKです。プロのイラストレーターやマンガ家の中には、デジタルとアナログを併用している人も多くいます。
イラスト初心者向けの練習法3つ
イラスト初心者が上手に描けるようになるためには、繰り返し練習をすることが重要です。ここでは、イラスト初心者向けの練習方法を3つ紹介します。
お気に入りのイラストを見つけ模写する
まずは、自分のお気に入りのイラストを見つけて模写します。上から線をなぞって描くトレースではなく、イラストをよく観察しながら、そっくりな絵になるように自力で描いていくことがポイントです。模写が上手にできるようになると、オリジナルのイラストも上手く描けるようになります。 また、模写をすることによって、イラストを描く際に必要な観察力や正確さが身につきます。
直線、丸を上手に描く練習
イラストを上手に描くためには、まずきれいな線を描けることが重要です。基本となる直線と丸を描く練習をしましょう。 直線は、定規に頼らずにまっすぐな線を引けるよう練習してみましょう。丸を描く練習をする際には、線と線をしっかりと繋げた、きれいな丸になるよう注意します。 加えて、さまざまな曲線も練習すると、イラストを描くための基礎的な力が身につくでしょう。
最低でも1日1枚描く
初心者は、最低でも1日1枚のイラストを描くようにしましょう。毎日イラストを描くと、線がきれいに描けるようになるだけでなく、バランスの取り方なども身につきます。 毎日1つの課題を自分に課して、練習してみるのもいいでしょう。1つずつ小さな目標を達成していくことによって、効率的にイラストが上達していきます。
さらにワンランク上を目指すなら
模写を続けて、ある程度上手に描けるようになったら、ワンランク上の練習方法を実践しましょう。
人体の構造を理解する
人体の構造を理解すると、よりリアルなイラストを描けるようになります。なんとなく不自然に見えてしまうイラストは、人体構造に沿って描かれていないのかもしれません。
重要なのは骨格と筋肉
人体構造といっても、すべてを理解する必要はありません。重要なのは骨格と筋肉です。 骨格は、顔・手足・上半身・下半身などのバランスを決めるアタリを描く際に重要となります。動きのあるポージングでは、骨格を知っておくと自然な動きを表現できます。 また、筋肉の構造を理解することによって、リアルなボディラインを描くことができますし、男性らしさと女性らしさの描き分けも上手くなります。
アタリの取り方を学ぶ
イラストを描くときには、まずアタリを取ります。アタリとは、描きたいイラストの大体のバランスや形を描いたものです。円や三角形、台形などの単純な図形を並べてアタリを取ってみましょう。アタリの取り方は、人によってさまざまです。 自分の好きな絵師の方法をマネするなどして、アタリの取り方を学びましょう。
身体全体のバランスが取りやすくなる
アタリを取ると、体全体のバランスが取りやすくなります。8頭身のイラストを描く場合、『頭:上半身:下半身』の比率は『1:3:4』です。 たとえば全身のイラストを描きたい場合、アタリを取らずに描き始めてしまうと、全身がフレームに収まらないことがあります。 しかし、アタリを最初に取っておけば、全体のバランスが取れるため、全身が入りきらないということは、まずありません。
ポーズを決めやすい
アタリを取っておくと、全体のバランスを把握できるので、ポーズが決めやすくなります。ポーズの決め方は、まず大まかな顔のアタリを描いた後、座ったポーズや、ジャンプしているポーズ、または寝ているポーズなどを描き加えます。 走っているポーズなどスピード感がある場合には、線と円を組み合わせ、ボリュームを持たせたいポーズの場合には、円形を組み合わせて描きます。
構図を立体的に把握できる
最初にアタリを取ることによって、全体のバランスやイメージをつかみやすくなり、構図を立体的に把握できます。人体は複雑な形をしているので、最初は立体的に把握するのが難しいですが、単純な図形でアタリをとることで把握しやすくなります。 球体や円柱などの単純な立体を使い、近い場所にあるアタリは大きめに、遠い場所にあるアタリは小さめに描いていくことで、立体的に捉えられます。
イラスト初心者におすすめしたい本4選
いろいろな方法で自分なりに練習をしたけれど、どうしても上手に描けないという人は、イラストの本を参考にするのもよいです。 イラストの本は、初心者にとって大切な基本の描き方を学べるだけでなく、模写の練習もできます。たくさんの本が販売されていますが、ここではイラスト初心者にもわかりやすいおすすめの本4選を紹介します。
スーパーマンガデッサン
『スーパーマンガデッサン』は、イラストを描く際に必要な基本の知識を全体的に学べる本です。 イラストを描く際に必要な人体構造や、男女の描き分け、体型別キャラの描き方、実際の人間をイラストにするまでの『人の捉え方』についても学べます。 難しい言葉を使わずに、イラスト初心者でもわかりやすい内容になっています。イラストや写真なども多いので、模写の練習にも役立ちます。
萌えキャラクターの描き方
『萌えキャラクターの描き方』は、顔・からだ編、コスチューム編、しぐさ・感情表現編の3冊のシリーズが販売されています。
『顔・からだ編』では、萌えキャラクターを描く際のポイントである、顔と表情・プロポーション・ポーズ・ファッションについてそれぞれ描く手順ごとに解説されていて、人体を描く基本が学べます。
『コスチューム編』では、洋服のしわの描き方について基本から詳しく解説しています。また、さまざまな種類の洋服のイラストがのっているので、イラストを描く際の洋服選びにも役立ちます。
『しぐさ・感情表現編』では、キャラクターの表情やポーズの描き方の基本が学べます。初心者には難しいとされる手や足のポーズの描き方についても、イラストとともにわかりやすい解説がされています。
人体のデッサン技法
『人体のデッサン技法』は、デッサンを学ぶ人には定番中の定番として知られる参考書で、人体の描き方の基本をわかりやすく解説しています。 人体を描く基本である体のそれぞれのパーツ・骨格・筋肉・衣服のしわの描き方など、1つずつ丁寧に手順を追って詳しく説明しているので、その通りに描いていくだけで、デッサンが上達します。イラスト初心者でも、この本を読みながら練習することによって、イラストにとって重要なポイントである『人を線で捉えられる』ようになります。
手足の描き方 マスターガイド
『手足の描き方 マスターガイド』は、イラストを描く際に難しい部位である、手足の描き方の基本から応用までを学べる本です。手や足は、キャラクターの心情を表現できる重要なパーツです。その手足を思い通りに描けるようになるためのポイントが、イラストとともに詳しく解説されています。 手足をどのように描けばよいのかわからないという初心者に最適です。
独学が難しいと感じたら無料講座サイトへ
イラストを独学で学んでも上手に描けない人や、ポイントがいまいちわからないという人は、無料講座サイトを利用しましょう。
イラストの無料講座サイトはいくつかありますが、ここでは代表的な3つのサイトを紹介します。
イラスト・漫画の描き方が学べるPalmie(パルミー)
Palmie(パルミー)は、豊富な無料動画や無料テキストが載っているイラスト講座サイトです。イラストの描き方の基本から応用まで自分の実力に合わせて学べます。
顔や髪、身体、服やアイテムの描き方や構図の取り方など、イラスト初心者にとって重要なポイントだけでなく、色の塗り方・背景の描き方などの応用まで無料で学べます。 講師は、プロのイラストレーターです。プロの描き方を動画で何度も見て学べるのも魅力です。
Pixivision(ピクシビジョン)
Pixivisionは、世界各国からイラストが投稿されるイラスト情報サイトです。Pixivisionには、数多くのイラストが投稿されているので、模写の練習やイラストの参考になります。 また、イラストの描き方や、色塗りの方法、ポーズの描き方など、さまざまな講座を閲覧することが可能です。登録や利用には一切お金がかからず無料で学べます。いろいろな講座があるので、自分に合ったイラストの描き方を見つけることも可能です。
イラスト・マンガ描き方ナビ
イラスト・マンガ絵描き方ナビは、登録などの必要もなく、無料で利用できるイラスト講座サイトです。 アタリの描き方や人体構造、顔や全身の描き方、髪の毛の描き方など、デジタルイラスト初心者に必要な道具や描き方の基本を学べます。 イラストを描くのに慣れてきた人が、さらにステップアップするためのさまざまなテクニックを、『プロのお仕事』では、プロのイラストレーターのテクニックなどを紹介しています。 また、『意外と知らない話』では、イラストレーターの確定申告など、イラストレーターやマンガ家を目指す上で役立つ情報がのっています。
まとめ
イラストを初めて描く人は、まず描きたいイラストを明確にしましょう。そして自分で小さな目標を定めて、毎日描き続けていくと、効率的に上達していきます。 また、アナログとデジタルのそれぞれの特徴を理解して、自分に合った方を選びましょう。どうしても上手に描けない場合には、イラスト本を参考にしたり、インターネットの無料講座などを活用してみたりすることをおすすめします。