CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)には、マンガ制作に便利な機能が搭載されています。
クリスタのツールの使い方を覚えて、マンガ作品を描いてみましょう。
今回はpixivから、きやまさんのご投稿を紹介します。
ファイル設定やコマ割り、トーン入れなど、クリスタEXを使ったマンガの描き方を見ていきましょう。
※この記事で紹介している内容はご本人の許可を得て掲載しています。
この記事の目次
クリスタを使ったマンガの描き方
マンガ原稿を描くために必要なツール・機能を紹介しています。
解説では、複数ページのマンガを制作することができる、クリスタのEX版を使用しています。
①マンガ作品用のファイル設定
メニューバーの[ファイル]→[新規]を押して、新規ファイルを作成します。
マンガを描く場合は、ウィンドウの上部にある「作品の用途」から「コミック」を選びましょう。
「コミック」が選択されていると、解説図のようにマンガ原稿を設定する項目が表示されます。
解像度を600dpi、モノクロに設定
モノクロのマンガ原稿では、解像度は600dpi以上が推奨されています。
解像度の数値が「600dpi」で、基本表現色が「モノクロ」になっていることを確認しておきましょう。
基本表現色の右にある、白色・黒色のボタンもONになっていることを確認します。
複数ページの設定
複数ページのマンガを描く場合は、「複数ページ」にチェックマークを入れてページ数を設定します。
「対するページを見開きにする」にチェックを入れていると、向かい合う左右のページが繋がって表示されます。
左右のページにまたがる見開きの絵を描く場合は、チェックを入れておきましょう。
マンガ作品は基本的には右綴じです。
「綴じる位置」が「右綴じ」に設定されていることを確認します。
表紙の設定
マンガに表紙をつけたい場合は、右側の上部にある「表紙」にチェックマークを入れます。
表紙をカラーにしたい場合は、解像度は「350dpi」(フルカラー印刷の推奨値)、基本表現色を「カラー」に設定します。
ノンブルの設定
ノンブルとは、ページに記載されているページ番号のことです。
マンガ作品を印刷所に入稿する場合、印刷所の人がページの順番を間違えないように、ノンブルをつけておく必要があります。
ノド側(本を綴じる側)に入れるノンブルのことを、隠しノンブルと呼びます。
隠しノンブルは、制作から入稿までは見えますが、製本後には見えなくなります。
マンガの完成後にノンブルを見せたくない場合は、「隠しノンブル」にチェックを入れておきましょう。
②アナログの下絵を取り込む手順
アナログで描いた下絵をクリスタに取り込む手順を紹介しています。
アナログでマンガのラフを描いている人は参考にしてみてください。
1.マンガ用のファイルを作成後、メニューバーより[ファイル]→[読み込み]→[一括読み込み]を選択します。
2.読み込む下絵のファイルを選択します。
ファイル名のソートを使って、ページ番号が1、2、3……といったように昇順に並ぶようにしてから、ファイルを選択して「開く」ボタンを押します。
3.「指定のページ」の項目で、取り込んだ下絵をどのページから貼り付けていくかを指定します。
4.読み込んだ下絵は、[操作]ツール→[オブジェクト]でサイズの変更ができます。
ツールプロパティ内の「拡大率」で数値を指定するか、キャンバス上のポインタを動かして、拡大/縮小の設定をしましょう。
レイヤープロパティ内にある「レイヤーカラー」を選択すると、ワンボタンでレイヤー内の絵を変更できます。
下絵に色がついていた方がペン入れしやすいので、「レイヤーカラー」で水色にしておくのもオススメです。
③コマ割りのやり方
コマ枠(コマ枠フォルダー)を作る
[コマ枠]ツール→[コマ作成]→[長方形コマ]を使って、コマ枠を作りましょう。
ブラシサイズで設定した値が、コマ枠の線の太さになります。
コマ枠を作ると、レイヤーパレット内にコマ枠フォルダーが作成されます。
また、メニューバーの[レイヤー]→[新規レイヤー]→[コマ枠フォルダー]を選択しても、コマ枠とコマ枠フォルダーが作れます。
コマ枠フォルダーに下絵を入れる
コマ枠フォルダーを作成すると、コマ枠の外側には青紫色のマスクがかかって非表示になります。
下絵などをコマ枠フォルダーに入れることで、コマ枠の内側だけに絵を表示できます。
青紫色のマスク領域を見えなくしたい場合は、レイヤーパレット内にある「マスク範囲を表示」のチェックマークを外します。
コマ割りをする
コマ枠を作った後は、コマを割ってマンガのコマを作っていきます。
[コマ枠]ツール→[コマ枠カット]→[枠線分割]を選んで、ドラッグ&ドロップ操作でコマを割っていきましょう。
Shiftキーを押しながらドラッグ&ドロップをすることで、垂直・水平にコマを割れます。
コマ枠の調整をする
コマ枠やフキダシを動かしたい場合は、[操作]ツール→[オブジェクト]を使います。
ツールプロパティ内にある「別のコマ枠を連動」のチェックマークを外すと、他のコマに影響を与えずにコマ枠を動かせます。
[オブジェクト]でコマの枠線の部分をクリックすると、単一のコマだけを選択できます。
特定のコマの枠線を表示したくない場合は、そのコマを選択した後、「枠線を描画する」のチェックマークを外しましょう。
④フキダシの作り方
フキダシを作る
[フキダシ]ツール→[フキダシペン]を使ってフキダシを描きます。
線の色を黒色、塗りの色を白色にして、ブラシサイズ(枠の太さ)を調整してフキダシを作ってみてください。
フキダシペンは、後から描き足した部分も繋げてフキダシにすることができます。
また、[フキダシ]ツール→[角丸フキダシ]などでも、フキダシを作ることができます。
コマ枠からはみ出したフキダシを作る
コマ枠フォルダーの中にフキダシのレイヤーが入っていると、コマ枠の外側にはみ出る部分が自動的に非表示になります。
コマ枠からはみ出したフキダシを作りたい場合は、フキダシのレイヤーをコマ枠フォルダーの上に移動させます。
⑤セリフの入れ方(写植)
フキダシの中にセリフを入れる
フキダシにセリフを入れる際には、[テキスト]ツールを使用します。
サブツールを複製して、マンガでよく使うテキストの設定を保存しておきましょう。
セリフを入れたいフキダシのレイヤーを選択した状態で、キャンバスのフキダシの上でクリックします。
テキストのレイヤーを新たに増やすことなく、フキダシの中にテキストを打てます。
フキダシの大きさを変更する
フキダシの大きさを調整したいときは、コマ枠を調整したときと同じく[操作ツール]→[オブジェクト]を使います。 中に入っているセリフの文字サイズを変えることなく、フキダシの大きさを変更できます。
⑥ペン入れのコツ
ペン入れの工程では、[Gペン]などのペンツールや[塗りつぶし]ツールを使用します。
[塗りつぶし]ツール→[他レイヤーを参照]は、下絵の線やコマの枠線を参照して、内側を塗りぶすことができます。
「隣接ピクセルをたどる」にチェックを入れて、「隙間閉じ」、「色の誤差」、「領域拡張」の値を調整して塗りつぶしてみてください。
ペンの設定
ペン入れしやすいように、ペンツールをカスタマイズしておくのもオススメです。
ツールプロパティ内にあるスパナマークのボタンを押すと、サブツール詳細の画面が開きます。
「ブラシサイズ」の右端にあるボタンを押すと、筆圧を調整できる画面が開きます。
筆圧の最小値や筆圧設定のグラフを、お好みに合わせて調整してみましょう。
ショートカットを活用する
描画中に「Eキー」を長押しすると、キーを押している間は[消しゴム]ツールに切り替わります。
[塗りつぶし]ツールは、クリックした状態でカーソルを動かすと、別の範囲を続けて塗りつぶすことができます。
ショートカットも活用しながらマンガ制作を進めてみてください。
⑦トーンの入れ方
レイヤー内の絵をトーン化する
レイヤーに描かれているものをトーン化する際の手順です。
レイヤープロパティ内から、レイヤーの表現色を「グレー」に設定しておきます。
表現色が「モノクロ」だとトーン化できないので注意しましょう。
レイヤー内に色を塗った後、レイヤープロパティ内の「トーン」のボタンをONにすると、レイヤー内に描かれているものがトーン化されます。
フォルダに対して「トーン」をONにすると、中に入っているレイヤーがまとめてトーン化されます。
「トーン」をOFFにすると、元のグレースケールのレイヤーに戻ります。
トーンを重ねる場合は、「網の位置」で調整してみてください。
オートアクションを活用してトーンを入れる
CLIP STUDIO ASSETSで公開されている「レイヤートーンセット」は、指定したトーン線数のレイヤーを、ワンボタンで作成してくれるオートアクションです。
素材をオートアクションパレットにドラッグ&ドロップで持っていった後、再生ボタンを押して実行してみてください。
トーンの設定をしたレイヤーを作った後は、トーンを入れたい箇所に色を塗るだけです。
ペンで境界を描いた後に[塗りつぶし]ツールを使うことで、簡単にトーンが貼れます。
トーンを削る
トーン削り用のブラシは[デコレーション]→[カケアミ・砂目]の中に入っています。
透明色を選択してから、トーンの上でブラシを動かしてみてください。 背景のトーンなどを削ることで、コマの雰囲気を出すことができます。
⑧描き文字の設定
ペンツールを使って、擬音を表現する描き文字を描きます。
描き文字のレイヤーは、コマ枠フォルダーよりも上に配置します。
描き文字をコマ枠からはみ出させることで、コマにインパクトが出ます。
フチを作る方法1
描き文字に白フチを作る場合は、オートアクションが便利です。
オートアクションパレットからオートアクションの再生ボタンを押すだけで、簡単に白フチにできます。
CLIP STUDIO ASSETSには、描き文字の装飾ができるオートアクションが公開されています。
必要なものがあれば探してみましょう。
クリスタの漫画描き文字用アクションセットつくったやつ、よかったどうぞだよー グレスケ等で利用すると角がボケるのでモノクロレイヤーでの使用のみ推奨です http://t.co/0SOrs1MFJb DLパスワード: kakimoji pic.twitter.com/9iJ0cUxnJL
— pepperco (@pepperco02) August 25, 2015
フチを作る方法2
レイヤープロパティ内の「境界効果」からフチを作ることもできます。
「境界効果」をONにして、フチの太さや色を設定しましょう。
「境界効果」のチェックを外すと、レイヤー内の全てのフチがなくなります。
2つの方法の違い
1のオートアクションでフチを作る方法は、フチを削ることができます。
2の境界効果でフチを作る方法は、フチだけを削ることができません。 お好みに合わせて使い分けてみてください。
⑨マンガ原稿の書き出し
ファイルを書き出す
マンガの制作が終わったら、ファイルの書き出しをします。
画面上部のメニューバーから[ファイル]→[書き出し]→[一括書き出し]を選択しましょう。
※クリスタのバージョンによっては、[書き出し]が[複数ページ書き出し]になっています。
ファイル出力時の設定
書き出し設定用のポップアップが表示されるので、書き出し先のフォルダーやファイル形式を設定します。
レイヤーを統合して書き出すので、「画像を統合して書き出す」にチェックを入れます。
セリフも出力するので、「テキストをファイルに書き出す」にもチェックを入れておきます。
見開きのページがある場合は、「見開きページを分けて書き出す」にチェックを入れておくと、2つのページに分けて書き出しができます。
ファイル出力時の設定2
出力範囲を「ページ全体」に設定すると、マンガのページの全体が出力されます。
トンボ・テキスト・ノンブルにチェックが入っていることを確認します。
※印刷所によっては、推奨している出力設定を公開している場合があります。
印刷所を利用してマンガを印刷する場合は、印刷所のホームページも確認してみてください。
出力サイズの項目で、元データからの拡縮率が「100」%になっていることを確認します。
解像度を指定する場合は「600dpi」に設定されていることを確認しましょう。
右上のOKボタンを押すと、マンガ作品がpsdファイルに書き出されます。
まとめ
クリスタを使ったマンガの描き方の解説でした。
クリスタには便利なマンガ制作ツールが搭載されており、デジタルでマンガを描く人にオススメのペイントソフトです。
クリスタのツールの使い方が分からずにお困りの方は、きやまさんの解説を参考にしてみてください。
最後に、きやまさんのpixiv・X・BOOTH・Mastodonをご紹介します。
他にも素敵なイラストやマンガを投稿されているので、ぜひご覧ください!