デジタルで漫画を描きたいけれど、スクリーントーンの使い方がよく分からない……。
トーンには線数や濃度が決められており、使い分けることで様々な漫画表現ができます。
今回はpixivから、沙倉さんのご投稿を紹介します。
スクリーントーンの線数や濃度など、覚えておきたいトーンの基礎知識を見ていきましょう。
※この記事で紹介している内容はご本人の許可を得て掲載しています。
この記事の目次
漫画のスクリーントーンを解説
①スクリーントーン講座の概要
スクリーントーンとは何か?
スクリーントーン(トーン)は漫画で用いられる画材で、絵の濃淡を表現するために使います。
アナログの漫画制作では、トーンをフィルムからはがして原稿に貼り付けます。
デジタルの漫画制作では、CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)の機能を用いて、トーンをデジタルの原稿に貼り付けることができます。
当記事ではトーンの基礎知識を解説
当記事では、トーンの線数や濃度など、トーンの基本について解説をしています。
これだけを覚えておけば漫画が制作しやすくなる、という点をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
②トーンの線数・濃度について
トーンを構成している一つ一つの点のことを「網点」と呼びます。
トーンの濃淡は、「線数」と「%(濃度)」の二つの値によって表現されます。
トーンの線数
トーンの線数は、網点の大きさを指しています。
線数が大きくなると、網点は小さくなります。 線数が大きくなって90線ほどになると、ほぼグレーに見えますね。
トーンの%(濃度)
トーンの%は、網点の密度(濃度)を指しています。
%が大きくなると、網点の密度が増して黒に近づきます。
アナログのトーンの表記
アナログでトーンを使用する場合、品番の近くに線数と%の記載があります。
③トーンの線数・濃度による印象の違い
線数・濃度による見え方の印象
トーンの線数が少ないと網点は大きいので、粗くて近い印象に見えます。
線数が大きくなるに連れて網点は小さくなり、細かくて遠い印象に見えます。
トーンの%(濃度)が少ないと、明るくてポップな印象に見えます。
%が大きくなるに連れて、暗くて重い印象に見えます。
60線辺りがよく使われる
赤い部分のトーンを使用する際には、印刷したときに潰れてしまわないか、確認しながら使いましょう。
特に縮小して印刷をする場合は注意が必要です。
標準的に使用されるのは60線辺りのトーンで、効果トーンにもよく使われます。
④トーンで遠近感と雰囲気を表現する
トーンによる遠近感の違い
遠くの物には細かい網点を使おう
コマ内の物を遠くに見せたいときは細かい網点のトーンを使い、手前の物は大きめの網点を使うのがオススメです。
網点が大きすぎるとコミカルな感じが出るので、お好みで調整してみてください。
遠くの物に大きい網点を使うと目立ってしまう
右側の作例のコマでは、右のキャラに大きめの網点のトーンが使われています。そのため、右のキャラに視線がいってしまい、手前のキャラよりも目立ってしまいます。
特にモブなどに粗いトーンを使ってしまうと、メインキャラよりも目立ってしまいます。
トーンによる雰囲気の違い
左側の作例では、60~70線のトーンを使っています。
右側の作例では、全て27.5線のトーンを使っています。
27.5線のトーンを使うと明るい印象にはなりますが、網点が大きすぎて全体的に落ち着きがなくなっています。
⑤モアレが発生する原因
モアレとは何か?
モアレとは、トーンの網点が不均一になって、別の模様に見えてしまう現象のことを指します。
アナログでもデジタルでも、線数の違うトーンや角度のズレたトーンを重ねてしまうと、モアレが発生する原因になってしまいます。
反対に、デジタルの場合は線数と角度が同じトーンを重ねれば、モアレを防ぐことができます。
モアレの対策 グレースケールやガウスぼかしを使う
上記の記事では、グレースケールやガウスぼかしを使ってモアレを防ぐ方法を解説しています。
モアレが出てしまってお悩みの方は参考にしてみてください。
トーンを重ねて効果を出したいとき
漫画制作では、トーンを重ねることで生じたモアレを効果として使用するテクニックもあります。
モアレの模様を調整したい方は、網点の位置をずらして重ねてみましょう。
クリスタでは、レイヤープロパティの「網の位置」で調整をします。
お好みのモアレになるまで値を変更していきましょう。
レイヤープロパティは、メニューバーから[ウィンドウ]→[レイヤープロパティ]で表示できます。
角度はデフォルトで45度に設定してあるので、そのままにしておくのが良いです。
一般的にはトーンは45度で出回っているので、統一した方が見た目が良くなります。
トーンを重ねることによる濃度調整は、ドット状の網点と他のトーン(砂トーンやカケアミなど)を組み合わせる方法もあります。
この方法だとモアレは出ないので、雰囲気に合わせて使い分けてみてください。
⑥あとがき
知っておいたら役に立つ、トーンの基礎知識の紹介でした。
沙倉さんの場合は、[範囲選択]ツールで範囲を選択して、ランチャー内の「新規トーン」から数値を入力して、トーンを貼っているとのことです。
トーンの貼り方は人によって異なるので、やりやすい方法で貼ってみてください。
講座で覚えたトーンの基礎知識を漫画制作に活かしてみましょう。
まとめ
トーンの基礎知識の解説でした。
トーンには線数と濃度の値が決められており、トーンを使い分けてコマ内の明暗や遠近感を表現できます。
トーンの使い方が分からなくてお悩みの方は、沙倉さんの解説を参考にしてみてください。
最後に、沙倉さんのpixiv・X(旧Twitter)・Tumblr・BOOTHをご紹介します。
沙倉さんのpixivやTumblrでは、他にも素敵な漫画やイラストを投稿されているので、ぜひご覧ください!