漫画制作で重要な工程の一つ、セリフの「文字入れ」。文字の大きさやスペースを意識することで、セリフの見栄えが格段に良くなります。 今回は、Twitterからサノマリナさんの漫画解説を紹介。級数・書体・行間・改行のポイントなど、漫画が読みやすくなる文字入れのコツを見ていきましょう。
※この記事で紹介している内容はご本人の許可を得て掲載しています。
漫画の文字入れ(写植)について
読みやすい文字入れのコツを紹介
同人誌やSNSにアップロードする漫画など、ご自分で文字入れをされる方も増えてきました。 抜群に読みやすくなる文字入れのコツを覚えて、漫画制作に活かしましょう!
漫画編集者としての文字指定の経験が豊富な、サノマリナさんによる漫画解説です。
※漫画内ではヒラギノ丸ゴはフリーフォントと紹介していますが、MacOSXに標準搭載されている商用販売のフォントです。
①級数(文字の大きさ)・行間
商業誌サイズ(B4)なら20Q、同人誌サイズ(A4)なら18Qを基本にすると、スマホでも漫画が読みやすいです。 縦スクロール漫画の場合は、気持ち大きめの22〜24Qに設定しましょう。
※「Q」は級数(文字の大きさ)の単位です。英単語の「quarter(4分の1)」の頭文字から作られた単位で、1Qは0.25mmです。
さらに級数を大きくすることで、大声や重要性のあるセリフを表現できます。級数が小さいと、ボソっと話している感じになります。
クリスタの行間はデフォルトだと「0」です。行間を「5」にして少し広げることで、行数が多いときの圧迫感を減らすことができます。 行間は大事なポイントなので、調整するのがオススメとのことです。
②書体
サノマリナさんが普段使用しているフリーフォントを紹介しています。 ヒラギノ丸ゴのような丸ゴシック系のフリーフォントでは、他にも「Rounded-X Mgen+」を使用しているとのことです。
〔イワタアンチック体〕 話しているセリフの基本。アンチック体とゴシック体を組み合わせた漫画用の書体です。 ※クリスタの購入特典でダウンロードすることができます。
〔ヒラギノ丸ゴ〕 頭の中で考えている、心の中で思っている表現に使う書体です。 ※MacOSXに標準搭載されている商用販売のフォントです。
〔IPAexゴシック〕 ナレーションなど、第三者が解説しているときはゴシック系で。
〔しっぽり明朝〕 回想シーンのセリフは細めの明朝体が適しています。
〔ロゴタイプゴシック〕 電話での会話やTVの音などの機械音を表現します。
サノマリナさんは上記のように使い分けをしています。 出版社や雑誌によってルールがあるので、読みやすいと感じた漫画の書体ルールをマネしてみましょう。
③白フチ・白ヌキ
文字が絵にかかるときは白フチをつけましょう。フチの幅は0.6〜0.8ミリくらいです。 ベタに文字が入るときは白ヌキにすると読みやすいです。
④改行
同じくらいの文字数で改行すると、見た目のバランスがよくフキダシにも収まりやすいです。 日本語として意味の通る単語・文節で改行するとより良いとのことです。
⑤縦中横
「SNS」や「90年代」など、文字数の少ない英数字はタテにして読みやすくしましょう。
漫画の文字入れは、ポイントを少し意識するだけでも見栄えがよくなるとのことです。 同人誌やSNS用の漫画を制作する際には、ご紹介したコツを試してみてください。
筆で書いたような上質な文字。「しっぽりアンチック」
クリスタユーザーではないのでイワタアンチック体が使えない……。そんな方にはフリーで使える「しっぽりアンチック」がオススメです。
筆文字感のある正統派アンチック体「しっぽりアンチック」。クリスタをお持ちでない方は、しっぽりアンチックを使ってみましょう。
まとめ
漫画の文字入れのコツのご紹介でした。
同人誌やSNS用の漫画制作で文字入れをされる方は、サノマリナさんの漫画解説を参考にしてみてください。文字の大きさや書体、行間や改行を意識することで、漫画が読みやすくなります。
最後に、サノマリナさんのプロフィールをご紹介します。
サノマリナさんは漫画家/イラストレーターをしていらっしゃり、多数の書籍の漫画解説・装丁画・挿絵をご担当しておられます。
Twitterやホームページでは、他にも素敵な漫画やイラストを投稿されているので、ぜひご覧ください!