ワイシャツの塗り方が分からない……。ワイシャツは白地で陰影が目立つので、シワの塗り方が分からないと詰まってしまうことも多いと思います。
今回は、pixivから稔也さんのご投稿を紹介します。ワイシャツの塗り方の手順を見ていきましょう。
※この記事で紹介している内容はご本人の許可を得て掲載しています。
この記事の目次
ワイシャツの塗り方を解説
ワイシャツの塗りメイキングの解説です。
解説で使用しているペイントソフトは、CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)です。記事の後半で、 解説で使用しているブラシのダウンロード先のリンクを掲載しています。
ワイシャツの塗り方の手順①.準備
参考資料用の写真を自撮りする
参考資料を用意します。
ワイシャツは持っている方も多いと思いますので、自撮りで用意してしまうのが手っ取り早くて確実です。写真が気にいるまで、恥を捨てて何枚も撮りましょう。
複数枚の写真を撮っておくと、1枚の写真で気にいらないところを別の写真で補うこともできるので安心です。
写真の光源も、描きたいものに合わせることができればより良いです。
ワイシャツの塗り方の手順②.ラフと線画
使用するペンの設定
線画には、〔てんさいブラシ - メイン塗り〕を使用しています。解説ではブラシを少しカスタマイズしていますが、大きな違いはありません。
線の太さを15pxにしていますが、筆圧の影響が無い線の太さに置き換えると1.5〜3pxぐらいです(キャンバスサイズ:2508×3541pxの場合)。
レイヤーの設定
後ほど線画を色トレスで馴染ませるため、乗算レイヤーに設定しておきます。
また、自撮り写真を参考にするのであれば、写真の輪郭をトレスして線画を作ることもできます。
ワイシャツの塗り方の手順③.色決め
試行錯誤をしながら色を決める
色を決めていきます。背景やイラスト全体とうまく合わせながら、色を選びます。
今回は、人物の左後ろから光が当たっている、逆光の白背景です。影になる場所は青みがかった色、光が強く当たる場所は思い切って暖色を入れます。暖色を入れると、陽の光の暖かさが感じられる柔らかさを出せます。
この最初の色決めの段階で、良い感じになりそうになるまで試行錯誤をします。
逆光のイラストを描く際は、後述するSSS(サブサーフェス・スキャタリング)を活用するのがオススメです。
ワイシャツの塗り方の手順④.色決め(ハイライト入れ)
光源を意識してハイライトを入れる
なんとなく光源を意識しながら、光が強く当たりそうな場所にハイライトを入れていきます。ハイライトは入れすぎるとうるさくなってしまうので、程々に入れましょう。
先ほど入れた暖色ほど色選びに悩む必要はなく、素直に黄色寄りの色相で明度の高い色を入れます。
使用するペンの設定
塗りに使用するペンは〔四角水彩〕です。iPad Proでクリスタを使う場合の、ペンの設定値を載せています。
Wacomのタブレットを使っていたときはデフォルトの設定にしていたそうですが、iPadに移行した際に使用感が大幅に変わったので、設定を弄ったとのことです。
ワイシャツの塗り方の手順⑤.色決め(影入れ)
影の色を決める
影色を決めて、同じレイヤーに〔四角水彩〕で加筆していきます。
影色の選び方は、影を入れる部分の色をスポイトして、色相を寒色寄りにして、明度を下げる、彩度を上げることを基本とします。彩度を上げたり色相を変えたりしないと、絵がくすんだような印象になってしまいます。
この工程でも、良い色になるまで試行錯誤をします。
参考の写真では、袖の内側に肌色が反射して暖色が強くなっていました。参考写真から読み取れるものも、イラストに反映させていきます。
塗る前にバックアップしておく
稔也さんは、1枚のレイヤーにゴリゴリ塗っていくタイプとのことです。この工程に入る前に、レイヤーをコピーして前の段階に戻れるように保存しておくとのことです。
ワイシャツの塗り方の手順⑥.描き込み
前段階の雰囲気を保ちながら加筆する
〔四角水彩〕と〔てんさいブラシ-メイン塗り〕を使って、参考資料を見ながら描き込みます。
色決め段階のものをコピペして保存しておき、そこから雰囲気が大きく崩れていないかを確認しながら加筆していきます。
基本は〔四角水彩〕で整えるように塗り、色を強く入れてメリハリをつけたい部分は〔てんさいブラシ-メイン塗り〕で描きます。
イラストによっては加工をする場合もある
イラスト制作の最後に、必要に応じて加工で色を変えることもあります。絵全体の様子を見ながらやることが多いので、今回は加工をしていません。
加工をする場合は、新規色調補正レイヤーからグラデーションマップ・レベル補正・トーンカーブのいずれかを使い、オーバーレイやソフトライトで透明度を下げて乗せます。
しっくりくるまで数値を弄り、オーバーレイやソフトライトで色調整をします。
塗り方のポイント①.影の塗り方について
影の塗り方の手順
まずは、〔四角水彩〕でざっくりと影を入れます。次に、塗りが薄くなっている影の端の部分や、影が入ってない部分の色をスポイトで取り、〔四角水彩〕で撫でるように伸ばします。
メリハリを出したいところ(下地と影の境目の部分など)は、メイン塗りで濃いめの線を入れ、さらに四角水彩で伸ばします。
ほど良いぼかしが重要
〔ぼかし〕ツールなどを使うとぼやけすぎてしまうので、〔四角水彩〕で伸ばしています。
一度筆を撫でるだけだと筆跡が残りますが、さらに撫でることでほど良くぼけてきます。
塗り方のポイント②.サブサーフェス・スキャタリングについて
サブサーフェス・スキャタリングとは何か
サブサーフェス・スキャタリングとは、半透明な物体が光を透過すると鮮やかに光る現象のことです。
稔也さんは小さい頃、肝試しをしたときに懐中電灯の光を手に当てて、手を透かしていたとのことです。
通常の場合、物体の表面で反射したハイライトは彩度が下がりますが、透過光は彩度が上がります。この現象を利用して、逆光のイラストを描く際には、服・肌・髪などの強い光が当たる部分は彩度を上げて描写すると、透けた感じを表現することができます。
サブサーフェス・スキャタリングのイラスト例
サブサーフェス・スキャタリングを用いて描いたキャラクターイラストを載せています。
銀髪ということもあって、髪の毛は反射光と比べて彩度が上がっておらず、分かりづらいですが、耳たぶは極端なオレンジ色になっています。
解説で使用したブラシを紹介
てんさいブラシ
線画や塗りで使える、メイン塗り・ぼかし塗り・溶かし塗りの3種類のブラシが入っています。
特に筆圧が弱めの人にオススメとのことです。
四角水彩
ブラシ先端が四角形型で、水彩風に描けるブラシです。
色を重ねると混色します。
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まとめ
ワイシャツの塗り方の解説でした。
参考資料を確認しながら、色決めやハイライト入れ、影塗りの工程を進めて、ワイシャツのイラストを完成させていきましょう。ワイシャツの塗り方が分からずにお悩みの方は、稔也さんの解説を参考にしてみてください。
最後に、稔也さんのpixiv・Twitter・Skebをご紹介します。他にも素敵なイラストを投稿されているので、ぜひご覧ください!
また、稔也さんのpixivFANBOXでは、絵の試行錯誤や練習過程のイラストを公開されています。ぜひご覧ください!