キャラのイラストを描くとき、髪がうまく描けると全体がまとまって見えます。この記事では基本的な髪の描き方、髪の動きでキャラクターの個性を表現する方法、CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)で陰影をつけて塗る具体的なステップを紹介します。
この記事の目次
基本的な髪の描き方
髪はキャラクターの特徴を出しやすく、身体全体に占める割合が大きいパーツ。うまく描ければイラスト全体の見栄えがよくなります。しかし2次元キャラは独特の髪型の場合も多く、デッサンがうまい人でもイメージどおり描けないことがあります。
キャラの髪を描くには、まずは以下のようなポイントを意識して描いてみてはいかがでしょうか。
髪は「つむじ」からの流れで描く
髪は「つむじ」を中心に広がっているので、つむじからの流れを意識して全体のバランスを見ながら描くことが大切です。つむじの位置は実際よりも少し前方に置くとバランスがとれます。また髪の「生え際」も意識して描くとより自然に見えます。
まずはスキンヘッドで頭の形を描き、次につむじの位置をマークし、前髪と後ろ髪の境界線を決めます。先に前髪のアタリ(大まかな目印)を描いてから、全体の髪のアウトラインを描くとよいでしょう。その後、全体のバランスをとりながら後ろ髪のアウトラインを描きます。
髪の毛の流れは重力を意識して長い線で描く
髪を描く際のポイントは以下のとおりです。
- 上から下へ向かって描く。
- 毛先に向けて細かく描く。
- 短い線より長い線を引く。
- 髪は1本ごとではなく先端が尖った一束の集まりで表現する。
重力で上から下へ落ちるイメージで髪を描きましょう。このとき毛先に向けて細かく描くと動きがつき、いきいきとしたキャラクター性が表現できます。
髪は質感を表現するため、長い線で描きます。長い線を描くのが苦手な人は2回に分けて描くとよいでしょう。髪は1本ごとではなく先端が尖った「髪の束」で表現します。外側の束は細くて柔らかいイメージなので、先端の毛先部分の束の太さをまばらに描くと重くなりません。
髪の先端はさらに細かく描きます。毛先を重ね合わせると立体感が、毛先の束を細かく乱して描くと躍動感が演出できます。
髪に躍動感をつけて描く
髪により躍動感を出すには髪の動きを意識して描くことが大切。髪は静止していると重力で下に向かって流れますが、振り返るときは強くうなずくなど動きがあると、重力に反して広がります。その髪の広りや跳ね上りを描くと、躍動感が表現できます。
動き始めか、動いている最中か、動ききった状態かでも表現が変わります。例えば、動き始めは少しふんわり広がり、大きな動きのときは横方向に大きくなびき、動ききったときは毛先がやや乱れている感じで描くとよいでしょう。
自分の動きではなく風で髪が揺れる様を表現するには、風の方向を一方からではなく多方向から吹くように描くのがポイントです。
髪の基本的な塗り方
髪を塗る基本的な方法は、ベタ塗りと影、ハイライトをそれぞれ別々のレイヤーに分けて作業するものです。こうすることではみ出しを防いだり、別々に効果を付けて調整することが可能です。
これ以降はペイントソフト「CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)」を使って説明します。
複数レイヤーで髪の色を重ねる
デジタル作画では、レイヤーを使って髪の色を重ねることで、繊細で美しい髪の毛を描くことができます。
- 1枚目のレイヤーで髪全体のベースになる色を塗る。
- 2枚目のレイヤーで影を塗る。
- 3枚目のレイヤーでハイライトをつける。
- それ以降のレイヤーで細かい部分を調整する。
順番に詳しく塗り方をご説明します。
(レイヤー1)髪全体のベース色をベタ塗りする
1枚目のレイヤーでは仕上がりより少し薄めの色をベースとして塗ります。このレイヤーとは別に影・ハイライトのレイヤーをそれぞれ分けて描き、髪に明暗をつけると髪に立体感を出すことができます。
(レイヤー2)濃い色で髪の影を塗る
2枚目のレイヤーでは仕上がりよりも少し濃い色で影の部分の色塗りをします。
1枚目のべた塗りのレイヤーの上に新規レイヤーを作成し、メニューの[レイヤー]→[レイヤー設定]→[下のレイヤーでクリッピング]にチェックを入れ、べた塗りの外にはみ出ることを防ぎます。
塗る際はまず「髪の束」に濃い色で[不透明水彩]ブラシを入れていきます。束の両端から塗る場合は片方の幅は狭く描き、流れに沿うように調整しましょう。髪の束が枝分かれしている場合は、付け根から左右両側に入れ、枝分かれた束が重なり合っている場合は、重なった部分の下側の束に影を入れます。
おおまかに影を描いたら[濃い水彩]の透明色で削るなどして、調整していきます。ブラシを入れるときはつむじから毛先の髪の流れを意識しましょう。
(レイヤー3)髪にハイライトを描く
3枚目のレイヤーには1枚目のベース色より明るい色を[不透明水彩]ブラシやエアブラシで塗りハイライトをつけます。また乗算レイヤーで塗りの足りない部分を足したり、発光レイヤーで質感を出したりすることで、全体的な色調の調整が可能です。
具体的なハイライトを描く方法は次のとおりです。
- 陰影のメリハリを表現するには「明るい色」を塗る。
- 塗る色はベース色の「より薄い色」を使用する。
- 頭の球状を意識して円弧状の帯になるように塗る。
- ハイライトを「透明色」で上下から塗ってハイライトの幅を狭める。
- 髪の毛先に細いハイライトを入れるなど全体を見て調整する。
[不透明水彩]ブラシで下のレイヤーの色をハイライトの色で塗りつぶし、[透明色]で塗り下のレイヤーの色を表示させ、髪のつや感がでるようにハイライトの幅を調整します。光源の位置をイメージして頭の形に沿った円弧状に明るい色を塗るとよいでしょう。ところどころ[濃い水彩]も使い、ハイライトを表現し、完成させます。
まとめ
キャラクターイラストで髪を描くポイントはつむじの位置を意識し、髪の毛の流れをつかんで描くこと。また複数のレイヤーで髪の色を重ね、陰影豊かな表現を演出することです。毛先の描き方によってキャラクターを際立たせ、髪に動きをつけると躍動感が出ていきいきした絵になります。