CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)の塗りつぶしツールでうまく下塗りできない……。
クリスタの塗りつぶしツールはイラスト・マンガ制作に便利なので、基本的な使い方を覚えてしまいましょう。
今回は、クリスタの塗りつぶしツールの使い方をご紹介します。
この記事の目次
クリスタの塗りつぶしツールの基本
塗りつぶしをする際のレイヤー構成
イラスト制作では、線画レイヤーを上に置いて塗りつぶしレイヤーを下に置くのが基本です。
線画レイヤーを上に置くことで、塗りよりも線画が優先的に表示されます。
線画レイヤーを下にしてしまうと、線画が塗りに隠れてしまうことがあります。
塗りつぶしツールを選択する
クリスタの塗りつぶしツールを使いたいときは、バケツマークのアイコンをクリックしましょう。
塗りつぶしツールには4種類のサブツールがあり、いずれかを選択して塗りつぶしを行います。
- 編集レイヤーのみ参照
- 他レイヤーを参照
- 囲って塗る
- 塗り残し部分に塗る
また、サブツールの下にあるツールプロパティでは、各サブツールで塗りつぶしをする際の詳細設定を調整できます。
※各項目が表示されていない場合は、メニューバーの[ウィンドウ]から表示しましょう。
下塗りをしたいときは[他レイヤーを参照]
[編集レイヤーのみ参照]で下塗りをした場合
[編集レイヤーのみ参照]で塗りつぶし用のレイヤーに塗ろうとすると、キャンバス全体に色が塗られてしまいます。
線画の範囲内を塗りたい場合は、一つ下のサブツール[他レイヤーを参照]を使いましょう。
[他レイヤーを参照]で下塗りをした場合
[他レイヤーを参照]は、デフォルトの状態で[複数参照]がONになっており、参照先に「全てのレイヤー」が設定されています。
画面に表示されている線画レイヤーが参照され、線画の範囲内に色を塗ることができます。
範囲を一度に塗りたいときは[囲って塗る]
[囲って塗る]の操作
解説図のブドウの房などを[他レイヤーを参照]で塗る場合は、ブドウの実を一つ一つクリックしなければなりません。
線画で囲まれている箇所を一度に塗りたい場合は、[囲って塗る]を使いましょう。
[囲って塗る]はドラッグ操作で選択範囲を作成できるので、ブドウの房を囲うようにして選択します。
[囲って塗る]の実行結果
[囲って塗る]でブドウの房を囲むと、全てのブドウの実を一度に塗ることができます。
細かい塗り残しには[塗り残し部分に塗る]
塗り残しがある場合
細かい塗り残しはブラシなどで埋めてもよいですが、塗りつぶしツールで塗る方法もあります。
[塗り残し部分に塗る]の操作
[塗り残し部分に塗る]を選択すると、ブラシのカーソルが表示されます。
塗り残しの部分をドラッグで塗っていきましょう。
細かい塗り残しの箇所を埋めることができます。
クリスタの塗りつぶしツールの詳細設定
塗りつぶしツールのツールプロパティ内では、塗りつぶしの設定を細かく調整できます。
塗りたい箇所に合わせて設定を変更していきましょう。
①塗りつぶし方が変わる[隣接ピクセルをたどる]
[隣接ピクセルをたどる]がOFFの場合
[隣接ピクセルをたどる]をOFFにしていると、線画の境界や色の境界が判定されません。
クリックした箇所の色を基準に、その色と同じ色の部分が塗りつぶされます。
[隣接ピクセルをたどる]がONの場合
[隣接ピクセルをたどる]をONにしていると、キャンバスに描画されている線・色までの境界が塗りつぶされます。
線画の領域内を塗りつぶしたい場合などは、[隣接ピクセルをたどる]をONにしておきましょう。
クリスタの塗りつぶしツールでは、基本的に[隣接ピクセルをたどる]をONにして使います。
②線画に隙間があっても広がらない[隙間閉じ]
[隙間閉じ]がOFFの場合
[隙間閉じ]をOFFにしていると、線画に隙間がある場合、塗りつぶし範囲が線画の外まで広がってしまいます。
[隙間閉じ]がONの場合
[隙間閉じ]をONにしていると、線画に隙間があった場合でも、線が繋がっているものとして塗りつぶしができます。
[隙間閉じ]の値が高いほど、隙間が広い場合でも線が繋がっているものと見なされます。
線画の下塗りを作りたい場合などは、[隙間閉じ]をONにしておくのがオススメです。
③塗りつぶせる範囲を調整できる[色の誤差]
[色の誤差]が低い場合
様々な色が使われている箇所を上から塗りつぶす際には、[色の誤差]の値に応じて塗りつぶせる範囲が決まります。
解説図では、赤色のグラデーションの中心から、緑色で塗りつぶしを実行しています。
[色の誤差]の値が低いため、グラデーションで色が大きく変わっている上部と下部は塗りつぶしできていません。
[色の誤差]が高い場合
[色の誤差]の値を高くすると、大きく色が変わっている部分も塗りつぶし範囲として扱われ、塗りつぶしが全体に行き届きます。
[色の誤差]は、キャンバスに塗られている色の上から、別の色で塗りつぶしたいときに調整してみてください。
④線画の塗り残しを減らせる[領域拡張]
[領域拡張]がOFFの場合
[領域拡張]では、塗りつぶしを実行したときの範囲の縮小/拡大を調整できます。
解説図では[領域拡張]をOFFにしているため、塗りつぶしが線画のキワまで届いていません。
塗り残しが目立って汚く見えてしまいます。
[領域拡張]がONの場合
[領域拡張]をONにして設定値を正の数にすると、塗りつぶしの範囲が拡張されて線画のキワまで塗りつぶすことができます。
線画をきれいに下塗りしたい場合は、[領域拡張]をONにして正の数を設定するのがオススメです。
反対に、塗りつぶしが線画からはみ出してしまう場合は、[領域拡張]の値を低くします。
また、[拡張方法]の設定は、基本的には一番右の「最も濃いピクセルまで拡張」を選択しておきましょう。
鉛筆系のブラシで描いた線を塗りつぶしたい場合は、真ん中の[丸く拡張]も効果的です。
クリスタで鉛筆系のざらつきあるペンを使っている方で、塗りつぶしツールを使ったときに綺麗に線の下まで色が塗り切れてなくてお困りの方はプロパティの「領域拡縮」の「拡張方法」の項目を弄ってみてください! 今まで何年もずっと領域拡縮してたのに綺麗に塗れなくて困ってたのが一瞬で解決しました pic.twitter.com/Oy7tMr3gTn
— 謎生物農家つちのこきづち (@kizuchi613) June 5, 2023
⑤塗りつぶしの範囲元のレイヤーを設定できる[複数参照]
塗りつぶしツールは、[複数参照]で設定したレイヤーに描画されている線・色の境界を基準にして塗りつぶしが実行されます。
参照するレイヤーの項目
- 全てのレイヤー
- 参照レイヤー
- 選択されたレイヤー
- フォルダ内のレイヤー
線画に下塗りをしたい場合は、キャンバスに線画を表示して[複数参照]を「全てのレイヤー」に設定しておきましょう。
下塗りレイヤーに塗りつぶしをする際に線画レイヤーが参照され、線画の中だけを塗りつぶせます。
参照しないレイヤーの項目
- 下描きを参照しない
- 文字を参照しない
- 編集レイヤーを参照しない
- ロックされたレイヤーを参照しない
マンガ制作では、ラフを「下描きレイヤー」に描いて、「下描きを参照しない」にチェックを入れてベタ塗りするのも効果的です。
下描きを表示させたまま、下描きの線に影響されずにベタ塗りができます。
⑥滑らかに塗りつぶせる[アンチエイリアス]
[アンチエイリアス]がOFFの場合
[アンチエイリアス]は、線の境界を滑らかに表示する機能です。
解説図では[アンチエイリアス]をOFFにして塗りつぶしをしているため、塗りつぶしの境界のギザギザが目立っています。
[アンチエイリアス]がONの場合
[アンチエイリアス]をONにして塗りつぶしをすると、境界のギザギザが滑らかに調整され、きれいに塗りつぶせます。
イラスト制作などでは、基本的に[アンチエイリアス]をONに設定して塗りつぶしましょう。
まとめ
クリスタの塗りつぶしツールの解説でした。
塗りつぶしツールはイラスト制作の下塗りなどに便利で、広範囲を短時間で塗りつぶせます。
便利なクリスタの塗りつぶしツールをぜひ活用してみてください。
塗りつぶしの色欠けをごまかす方法もあるので、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。