日本刀を持ったキャラクターを描きたいけれど、刃の部分はどうやって塗ればよいのだろう? 鋭い日本刀の印象を色塗りで表現して、見栄えの良いイラストに仕上げたいですね。
今回は、pixivから、ながれさんのご投稿を紹介します。ペイントツールのSAIを使って日本刀を塗る手順を見ていきましょう。
※この記事で紹介している内容はご本人の許可を得て掲載しています。
日本刀の塗り方をイラスト解説
日本刀の刃の部分を、ペイントソフトのSAIで塗っていきましょう。
写実的でリアルな色塗りの方法ではなく、見栄えの良い色の塗り方を解説したメイキングです。
日本刀の塗り方①.ラフを描く
下書きをする
日本刀の下書きをします。
刀身は曲線なので、曲がっていることが分かるように描きましょう。 程よく曲げるくらいが丁度よいです。
刀身を曲げすぎてしまうと太刀になってしまうので、注意しましょう。
下書きの不透明度を下げる
下書きを描いたレイヤーの不透明度を下げ、薄くします。
日本刀の塗り方②.線画を描く
刃と柄を描く
ペン入れレイヤーを新しく作成して、[曲線ツール]で弧を描いていきます。 また、柄の部分の線画も描いておきましょう。
刀の線を引く際は、[曲線ツール]で三か所に点を置くように描くと、良い感じの弧になります。
SAIのペン入れレイヤーに描かれた線は、[制御点ツール]で後から調整ができます。
(※SAI2では[パス編集]→[制御点追加・移動]で調整できます)。
弧を二つ描くのが面倒な人は、片方をラスタライズした後に複製して並べても大丈夫です。
鍔を描く
レイヤーを新しく作成して、フリーハンドで鍔を描きます。
鍔は楕円の形をしているので、手ブレ補正を「S-4」辺りに設定しておくと描きやすいです。
通常のレイヤーに鍔を描く理由は、ペン入れレイヤーの[曲線ツール]だと楕円の作画が難しいからです。
[曲線ツール]できれいに楕円が描ける方は、ペン入れレイヤーで作画しても問題はありません。
下塗りの準備をする
下書きのレイヤーは非表示にします。
レイヤーセット(レイヤーを格納するフォルダ)を作り、色を塗る部分の数だけレイヤーを作成しましょう。
今回は、刃・鍔・柄の三か所でレイヤーを分けています。
イラスト制作では、レイヤーセットを使ってレイヤーを整理しながら進めた方が、後々楽になります。
日本刀の塗り方③.色を塗る
下塗りをする
[自動選択ツール]で選択範囲を作り、[バケツツール]で刃の部分を灰色で塗りつぶします。
刃文を描く
新しくレイヤーを作成した後に合成モードを「発光」にして、刀の下塗りをしたレイヤーにクリッピングします。
SAIのデフォルトの[筆ツール]を使用して、波を描くようにブラシを動かしていきます。
手振れ補正は「S-4」、「S-5」辺りに設定して、ゆっくりと描いていきましょう。
波は等間隔に描くのではなく、ところどころを伸ばしています。
グラデーションをかける
刃文を描いたら、刀身にグラデーションをかけます。
刃のレイヤーを選択して、「不透明度を保護」にチェックを入れます。
「不透明度を保護」に設定することで、既に色を塗ってある領域以外は保護されて、色がはみ出なくなります。
濃い灰色を使って[エアブラシツール]で、刃に色を塗ります。
向かって左側は薄く、右側は濃く塗りましょう。
更に[ぼかしツール]でぼかします。
刃文をぼかす
同様に、刃文もぼかします。
刃文の全てをぼかすのではなく、ところどころぼかしていない箇所を残しましょう。
ぼやけている部分とハッキリしている部分の両方があった方が、それらしく見えます。
樋を描く
刃の溝の部分である樋(ひ)を描きます。
刃文レイヤーの上に、新しいペン入れレイヤーを作成して、クリッピングをします。
黒色を使って、刃の表面に太い弧を描きましょう。
また、刃の真ん中に、白色で細長いハイライトも入れています。
※樋の無い日本刀が好きな方は、描かなくても問題ありません。
樋を整える
樋の中にも白い線でハイライトを入れておくと、それらしく見えます。
事前に光源なども決めておいた方が、ハイライトをどこに入れればよいのか迷わずに済みます。
樋を描いたペン入れレイヤーをラスタライズして、切っ先に近い樋の先端を削りましょう。
その後、先端の部分を少しぼかして、馴染ませます。
刃を調整する
樋の先端と付け根、真ん中をぼかして馴染ませます。
また、刃文を描いた「発光」のレイヤーを選択して、刃の切っ先に白色を加えます。
先端が白みがかったことで、日本刀の雰囲気が出ました。
切っ先の白い部分は、刃文を入れる段階で描いておいても問題ありません。
青みを足す
新しくレイヤーを作成して、合成モードを「オーバーレイ」に設定してクリッピングします。
刃の部分だけに青色を足していくと、解説イラストのようになります。
背景や人物に合うように、お好みで黄色や赤色も使っていきましょう。
色相を調整する
[フィルタ]→[色調補正]→[色相・彩度]で刃の色をお好みに調整します。
青っぽい刃の色から、暖色系の刃の色に変わりました。
鍔・柄・はばきを塗る
[筆ツール]・[鉛筆ツール]・[ぼかしツール]を使用して、鍔や柄、はばき(刀身と鍔が接する部分)を塗ります。
鍔とはばきは金属なので、質感を意識してみてください。
刀の塗り方⑤.仕上げをする
背景の色を変える
日本刀の背景を黒色にしています。
日本刀の背景を明度の低い色にすることで、コントラストが強くなって刃の白みを目立たせることができます。
イラストで刃を目立たせたい場合は、周りの明度にも気をつけてみてください。
ハイライトを入れる
最後に十字のハイライトを入れて完成です。
切っ先の少し下と鍔の部分を、エアブラシ(ブラシサイズ:50~100)で光らせています。
また、鍔や柄にもハイライトを入れており、明度の低い部分にアクセントを加えています。
解説のあとがき
樋は、はばきの前で止まっていたり、二本並んでいたり、形式は様々です。
刃文も同様に、直刃・数珠刃・濤乱刃(とうらんば)など、多数の種類があります。
刀身も長かったり短かったりと様々です。
ながれさんは、日本刀について調べることで奥深さに圧倒されつつも、樋や刃文の組み合わせを考えながら描く作業を楽しく感じていることです。
皆さんも、日本刀の作画にぜひ挑戦してみてください。
日本刀のポーズ・知識の解説
こちらの記事では、日本刀の差し方や帯刀・抜刀のポーズの描き方を紹介しています。
日本刀を持ったキャラクターを描きたい方は、併せて参考にしてみてください。
まとめ
SAIを使った日本刀の塗り方の解説でした。
刃の描き方や質感の出し方が分からずにお悩みの方は、ながれさんのメイキングを参考にして、見栄えの良い日本刀に仕上げてみてください。
最後に、ながれさんのpixivをご紹介します。
他にも素敵なイラストを投稿されているので、ぜひご覧ください!