日本刀は、時代劇を始めとした歴史ものや、バトルシーンに登場する武器など、イラストや漫画に欠かせないアイテムです。
しかし、いざ描こうとすると、知識無しでは描くのが難しいモチーフでもあります。
日本刀を描いてみたいという方、描いているけれど正しいのか不安な方に、日本刀を帯刀するときの知識や持つときのマナーと、抜刀するとき、構えたときの手や腕の動きを中心にしたポーズをご紹介します。
こちらの記事を参考に、ぜひ日本刀が登場する作品を描いてみましょう!
※この記事で紹介している内容はご本人の許可を得て掲載しています。
この記事の目次
日本刀を構えるポーズを描く時に押さえておきたい知識やマナーとコツ
まずは、ひらひらさんがpixivにご投稿していた「刀について」の投稿をご紹介します。
日本刀を帯刀するときの知識やマナーを知っておくと、日常のシーンを描くときに役立ちます。
また、時代劇を参考にした抜刀するときの体の動きもご紹介されていますので、順番に見ていきましょう。
日本刀の差し方
日本刀を携帯するときに腰帯に差し込むことを、「日本刀を差す」といいます。
流派にもよりますが、脇差は着物と帯の間に体に沿わせるように差します。
また、大刀は帯と帯の間に、体に対して直角になるように差します。
閂(かんぬき)差し
地面と水平に近い形で、抜刀が最もしやすい差し方です。
天神(てんじん)差し
甲冑を着て馬に乗ったとき、鞘が馬に当たらないように刃を下にして差します。
※画像では「刃を上に」となっていますが、正しくは「刃を下に」です。
鶺鴒(せきれい)差し
一般的な帯刀方法。鐺(こじり/鞘の末端部分)が下がっていて見た目が良いことから、江戸時代に流行しました。
落とし差し
鐺(こじり)を地面に向けて落とすように差します。すぐに抜刀しにくいため、上級者向けです。人にぶつからないように、刀を体に沿わせています。
下緒(さげお)とは?
下緒とは、刀を奪われたり、抜刀した際に鞘が帯から落ちないように鞘に装着して、腰帯に結び付ける紐のことです。
帯に日本刀を括るだけではなく、止血、捕縛、たすきなど、様々な用途に使われたそうです。
時代、流派、階級によって色や結び方も様々です。
下緒の結び方例
正結び
江戸の正式な結び方です。見栄えがよく、すぐほどけるので使い勝手が良いようです。
大名結び(浪人結び)
複雑な結びで見栄えがしますが、実用的ではなく飾り用に用いられたそうです。
茗荷(みょうが)結び
下緒の端をまとめる、大刀でも脇差でも使える結び方です。結び目が茗荷に似ていることからこの名称がつきました。
日本刀の付属品
小柄(こづか)日本刀に付属する携帯ナイフ。切っ先は刀の鞘に収められています。
笄(こうがい)
携帯くし。まげを乱さないように髪の毛を整えるために使ったそうです。
日本刀を帯刀したポーズを描く時のサイズ感
江戸時代では、大刀(打刀)と脇差の大小2本の刀を携帯するのが一般的でした。
脇差は大刀の約半分の大きさをイメージすると良いでしょう。
日本刀は中心からやんわりと曲げます。
下緒、柄の巻きを描き込みます。
腰に差したときの大刀の鍔(つば)と帯の間は、こぶしひとつ分空けます。これは、抜刀するときに鞘を左手のこぶしで持つためです。
抜刀後は両手で持つので、柄はこぶし二つ半の長さです。
日本刀を帯刀するときのマナー
室内編
城中や他の家に上がるときは、体の左側に帯刀してた刀を右へ、下緒の上から持ちます。下緒はたぐって握り込みます。
自宅
受け取る人は、傷つけたり汚したりしないように、直接触らず袱紗(ふくさ)もしくは着物の袖で受け取ります。その後、刀掛けへ置きます。
他の人の家
室内に刀を持ち込んだら、柄を右側に置いてすぐに抜けないことを示します。
利き手は関係なく、刀は右手で抜くためです。
友人と接しているときや急ぎのときは右に置き、目上の人と接しているときは後ろに置きます。
屋外編
江戸は左側通行でした。
武士が刀を左側に差したことから、左側通行になったといわれています。
鞘が当たるのは失礼にあたります。
時代劇を参考にした日本刀を構えるポーズ。抜刀と納刀の動き
抜刀
(1)
左手で鞘を持ち、刀を地面から水平に寝かせるように動かします。このとき、柄を持った右手は添えているだけです。
水平に抜くようにしないと、刃が鞘の内側を傷つけてしまうそうです。
(2)
左手の親指で刀をわずかに抜き、いつでも抜刀できるように緩めます。
これを「鯉口を切る」といいます。時代劇ではここでカメラが寄ることが多い、かっこいいシーンです。
(3)
重心を落としつつ、鞘を持った左手側の腰を後ろへ引きます。
左手で抜くというよりも、腰を移動させることで、腰で刀を抜くイメージです。右手は動かさず、そのままです。
また、視線も前へ向けたまま、相手から目をそらさないようにします。
(4)
少し刀が鞘に残るので、最後は右手で抜ききります。
納刀
(5)
納刀するときの流れは、刀を抜く時の逆になります。
左手で握った鯉口を上に向けます。
(6)
切っ先を鞘に入れたら、鞘を持った左手を上へ動かし、納刀します。
最後に、ひらひらさんのpixivをご紹介します。
幻想的な和のイラストをはじめ、素敵な作品をご投稿されています。ぜひご覧ください!
日本刀を構えるポーズで、刀を持つ手や腕の形と動き
刀を持った手や腕をかっこよく描くのは難しい……。
そんな方のために、0033さんのpixivでの投稿をご紹介します。
刀を持った時の、手と腕のさまざまな形や動きを見ることができます。
1.基本的な手の形
まずは基本的な手の形になります。
指が曲がる場所と角度、拳を握りしめた時の関節のカーブなど、自分の手を見ながら確認しましょう。
2.手前に突き出した時の手と腕
手を手前に突き出した時の見え方になります。
手を開いた状態はとくに指にパースがかっていて難しいので、こちらのイラストが参考になりそうです。
肩の頂点と手の中央にある、肘の位置を意識しながら描くと良いでしょう。
3.片手で刀を持った時の腕
片手で刀を持ち、腕を伸ばした状態です。地面と水平に腕を動かしています。
4.刀を持つ手のアップ
刀を持った手のアップになります。
軽く持っている時は小指を少し離すなど、指によってニュアンスをつけると動きのあるイラストになります。
5.抜刀する時の手と腕の動き
抜刀する時の手と腕の動きのイメージです。さまざまな角度で描かれています。
6.刀を持つ人物
最後に、0033さんのpixivをご紹介します。
さまざまな講座や素敵なイラストをご投稿されています。ぜひご覧ください!
まとめ
刀を描く時に覚えておきたい知識と、腕の動きを中心にしたポーズのご紹介でした。
日本刀は小物として多く登場するモチーフなので、理解を深めて描くと作品もレベルアップします。
ぜひ役立ててくださいね。