小学生にデッサンを教える際に、注意しなければならないいくつかのポイントがあります。単に描き方を教えるだけでは子供のデッサンは上達しません。本記事では、小学生にデッサンを教える際に、押さえておきたい大切なことを紹介します。
この記事の目次
デッサンとは?
デッサンとは、モチーフをよく見て特徴などの本質を捉え、絵で表現することです。物の本質をしっかりと捉えるということは、対象物となる物の形状・質感・特徴・背景を自分なりにリサーチしながら解釈をしていくことです。
実際に見えている部分だけでなく、見えない部分を意識して描く必要があります。
デッサンは作品制作の基本
デッサンはあらゆる絵の描き方の基礎だけでなく、立体工作などのすべてのジャンルの作品の基本を学べます。対象物本来の構成を把握することによって、不自然さを無くして説得力のある作品に仕上げられます。
デッサンすることで必要な力が培われる
デッサンすることでさまざまな作品制作で必要な力が培われます。例えば、対象物をよく見て描くので『観察力』が身につきます。デッサンの練習を繰り返すことで、物の形状だけでなく、陰影・光源・質感・構図などを意識しながら描けるようになっていきます。これらの色々な情報が見えてくるということは、観察力が培われるということです。
また、デッサンでは『物の本質を捉える力』が培われます。物の本質を捉える力とは、客観的視点から物を見る力のことです。どんな作品を作るにしても、この客観的視点から物を見て作品にする力が重要となります。
デッサンをしてみる
デッサンを知るためには、まずは自分流でもよいので絵を描いてみましょう。実際に描いてみると、何が自分に足りないのかがわかります。
デッサンに必要な道具
デッサンを描くためには道具を揃える必要があります。デッサンに必要な道具は以下のとおりです。
- 紙
- 鉛筆
- 練り消し
- 消しゴム
- カッター
デッサンを描く紙は、表面がザラザラとした凹凸のある画用紙・スケッチブックを選びましょう。ザラザラとした紙は、黒鉛が定着するため描きやすくなります。鉛筆は色々な硬度がありますが、初心者であれば3Bから3Hをそれぞれ用意しておけば安心です。
また、デッサンをする際の鉛筆は鉛筆削りで削るのではなく、カッターで芯が長めに出るように削るのが基本です。小学校低学年の小さな子供の場合には、最初は保護者が削ってあげましょう。
消しゴムはデッサンで描いたもの線を消すためでなく、紙の余白が汚れた場合に使います。主に描いたデッサンを消す場合には練り消しを使いましょう。
また、練り消しは黒鉛を取って、白く色を抜いてハイライトを入れる場合にも使います。
リンゴなどの球体静物が描きやすい
デッサンのモチーフとしては、リンゴのような球体静物が描きやすいです。デッサン画として有名な人物・石膏像などの難しいモチーフを選ぶと、挫折してしまいます。初めのうちは描きやすい簡単なモチーフを選ぶこともポイントです。
リンゴなどの球体静物は、デッサンを始めたばかりの人でも形を捉えることが比較的簡単なので、線での面の描き方・陰影のつけ方の練習ができます。まずはリンゴ・ミカン・トマトなど身近にある球体静物を選んで練習しましょう。
小学生のデッサン力を伸ばすには
小学生のデッサン力を伸ばすには、楽しみながら良いデッサンを描ける方法を教えることがコツです。良いデッサンとは、モチーフ本来の特徴や本質をしっかりと捉えた絵のことです。
楽しみながら描くと、デッサンは上達します。また、デッサンが上達すれば、よりデッサンを楽しめるようになります。ここでは、小学生のデッサン力を伸ばすためのコツとポイントを3つ紹介します。
しっかり観察させる
デッサンの基本は観察することです。まずは、モチーフをしっかり観察させる訓練をしましょう。観察していると、モチーフの色々な情報を得られます。その情報をもとに、デッサンを描いていくのです。
姿勢を正しくして取り組む
デッサンをするときは、姿勢を正しくして取り組むことが重要です。デッサンの正しい姿勢は、身体をモチーフの正面にくるようにします。そして、背筋を伸ばして座ります。
デッサンを描くときは、身体を動かさないように気をつけます。猫背になっていると、動いてしまうので視点が定まらずモチーフを正確に捉えられません。
また、モチーフとの距離・視点を1点に定めることが大切なポイントとなります。どんなに観察をしていても、視点が変わることによってモチーフの比率やバランス・陰影などの情報が変わります。視点を1点に保ち、モチーフとの距離関係を維持しながらデッサンを描きましょう。
細かく口出ししない
子供にデッサンを教える場合は、細かく口出ししないように気をつけましょう。つい口出しをしたくなりますが、口出しをすることによって、子供の個性が失われてしまう可能性があります。
また、子供は口出しをされると楽しくデッサンができません。のびのびと楽しく描けないと、デッサンは上達しません。絵は描き手の心情が現れるので、描き方を教えるだけでなく、楽しい気分でデッサンをできる環境を作ってあげましょう。
まとめ
小学生にデッサンを教える際には、しっかりと観察させて、正しい姿勢を身につけてあげましょう。また難しいモチーフから始めるのではなく、リンゴなどの簡単なモチーフを選んであげることもポイントです。
上手に描けないからという理由で描くことを嫌がる子供には、デッサンは楽しいものだと思ってもらうことが大切です。楽しみながら絵を描くことが、デッサンの上達につながります。