風景画を描いてみたいけれど、難しそうだから自分にはできないと思っていませんか?ちょっとしたコツを掴めば誰でも描けるようになります。今回は風景画の描き方と色の塗り方を紹介します。気軽に描いてみましょう。
この記事の目次
風景画の描き方を知ろう
風景画を描く手順は、描きたい風景を選び、画用紙に鉛筆で下描きをし、下描きが完成したら色を塗るという流れになります。
最初に描く風景は簡単な題材がよいので、山や湖などの人工物の少ない景色がよいでしょう。家の周りなどの見慣れた風景であれば、繰り返し練習できるので、自分の上達が実感しやすくなります。
構図で絵の骨格を作ろう
構図は、描こうとする対象物を画面の中にどのように配置していくかを考えることです。絵の骨組みである大切な要素であり、構図がしっかりしていないと、着色や技法が素晴らしくても、不安定で落ち着きのない作品になります。
構図の決め方は色々ありますが、風景画を描くときは、近景・中景・遠景と遠近感を意識して、それぞれの対象物をどこに配置するか考えましょう。また、メインとなる要素を、画面の中心から少しずらすと立体感が出るのでおすすめです。
鉛筆で下書きをしよう
最初に構図を固めるために、できるだけ下書きをすることをおすすめします。まず絵の中心になる対象を決めましょう。建物は正面から描くと奥行きを表現しずらくなるので、少し斜めから描くと遠近感を出しやすくなります。
構図が決まるまでは薄く描き、構図が固まったら徐々に強めに描き込んでいきます。最初から細かく描き込まずに、全体的なバランスを見ながら必要最低限の描写にとどめましょう。
好みの画材で色を塗ろう
下描きが完成したら次は色塗りになります。自分の作品のイメージに合う画材で色を塗りましょう。
空や地面、山など遠くにあり面積が大きいものから先に色を付けます。まずは大まかに塗った後、近くにある木々や建物など細部を塗りこんでいきましょう。
また、色の塗り方によって遠近感を出すと、奥行きのある作品に仕上がります。人間の目は暖色(赤や黄色)に注目するので、遠くのものは青っぽい寒色系、手前は暖色系にする色彩遠近法は使いやすいテクニックです。
また、空気遠近法といって、遠くにあるものほど色を薄く青くして霞ませ、近くにあるものは鮮やかに濃く塗ると、遠近感が生まれます。こうした手法も上手く取り入れてみて下さい。
完成したイラストはこちらです。
色を塗る画材のおすすめは?
色を塗る画材は色々ありますが、今回は色鉛筆や水彩、油彩など比較的身近な画材を紹介します。
気軽に描くなら色鉛筆
色鉛筆は準備や片付けの必要がなく持ち運びも簡単で、気軽にすぐに描けます。鉛筆は芯を長めにしてとがらせておきましょう。細かい部分も塗りやすく、鉛筆を寝かせれば広い面積も塗れます。
色鉛筆で塗るときは、まず全体的に明るい色から塗っていくようにしてください。濃い色や暗い色を先に塗ってしまうと色がくすんでしまうからです。
次に細かい部分を丁寧に塗り込んでいきます。重ね塗りをして色に深みを出していくのがポイントです。明るい部分に重ね塗りをするとくすむので、なるべく避けましょう。
水彩は色んな色が表現できる
水彩絵の具には「透明水彩絵の具」と「不透明水彩絵の具」の2種類があります。「透明水彩絵の具」は透明度が高く、パレットで混ぜ合わせたり、紙の上で塗り重ねたりすることで自在に混色を生み出せるのが特徴です。
この透明性を活かして、にじみやぼかしというテクニックを使った繊細な表現ができます。必ず明るい色から塗り、風景画を描くときも空から塗り始め、木の緑、幹と塗っていきます。風景画には透明水彩絵の具がよく使われます。
「不透明水彩絵の具」は、その名の通り透明度が低い絵の具で、色を重ねても下の色があまり透けません。重ね塗りや厚塗りなど、油彩のような塗り方ができ、ムラなく塗れるのが特徴です。
インパクト重視なら油彩
油絵の具で色を塗ると、存在感やインパクトのある絵に仕上がります。きれいなグラデーションも作りやすく、修正も簡単にできます。しかし、匂いが強く、乾くのが遅い、片付けが面倒というデメリットもあります。
油絵の具で描くと普通に描いていても奥行きが感じられ、暖色系の色は特に深い色合いになり絵に存在感が出てきます。油絵の具は油が空気と反応して固まっていくので、乾燥するのに時間がかかります。その特徴を生かして色と色の境目を筆でなでるだけできれいなグラデーションが作れます。
下の色を覆い隠す力が強いので、ちゃんと乾かしてしまえば、上から何度も塗りなおして修正ができ、納得いく作品に仕上げられます。
風景画を描くコツを学べる本をご紹介
風景画を描くコツをじっくり学びたい人におすすめの本を紹介します。
風景画の描き方
『風景画の描き方』は、ジャック・ハムというアメリカのアーティストが書いた本で、風景画の描き方やコツが初心者にも分かりやすく解説されています。
絵を描くときに必要になる基本的な構成や構図についての解説や、風景画を構成する木や雲、空などの描き方も詳しく書かれています。
学校では教えてくれない風景スケッチの法則
次に紹介するのは、『学校では教えてくれない風景スケッチの法則ー不透明水彩絵の具 ガッシュを使って描く』です。
世界的に有名なアニメーションの背景を手掛けたこともある著者が、その経験をもとに編み出したスケッチの法則をまとめた一冊になっています。
絵の具の使い方や影のつけ方、色を面で捉えて形を表す方法など、風景スケッチに役立つ情報が紹介されている本です。
まとめ
風景画を描くときは、絵の骨格となる構図をきちんと考え、全体のバランスを考えながら鉛筆で下書きをするのがポイントです。
色を塗るときは自分の作品のイメージに合った画材を使用します。塗り方の基本をおさえた上で、遠近感を出すテクニックなども上手く取り入れながら、作品の表現の幅を広げましょう。