ゲームなどでよく出てくる、日本武士の装備でお馴染みの「甲冑(かっちゅう)」ですが、その着付けには、複雑な過程を踏んでいます。着付けの過程を知っておいた方が、甲冑を装備したキャラクターイラストにもリアリティが増し、説得力が出ると思います。そこで今回は、甲冑の着付けをPixivにまとめていらっしゃった、赤冑のゲマ(あかかぶとのげま)さんの解説イラストから、甲冑の着付けの過程を見てみましょう!
※この記事で紹介している内容はご本人の許可を得て掲載しています。
Pixiv 「赤冑のゲマさん 甲冑の着付け」甲冑の着付け
講座の導入部/注意点
「甲冑の着付け」講座の解説・イラストを作成された、赤冑のゲマさんより、甲冑に関するお話と注意点です。上記を踏まえた上で、甲冑の着付けについて学んでいきましょう!
作務衣
(1)作務衣を着て、地下足袋を履きます。作務衣は濃い目の色目の方が甲冑が栄え、地下足袋は荒縄を縫い付けて、草鞋っぽくするのも格好良いとのことです。
臑当(すねあて)
(2)足の内側に短い板がくるように「臑当(すねあて)」を、上側の紐がふくらはぎの上側で引っかかる位置につけます。鎧は下から順番に装着していくとのことです。
佩盾(はいたて)
(3)エプロンのような、太ももを守る「佩盾(はいたて)」をつけます。解説イラストでは、四角形の部品を並べて紐で繋げてますが、他にも色々な形の部品や編み方のものがあるとのことです。
籠手(こて)
(4)「籠手(こて)」をつけ、手首の紐を縛ります。本物は上腕部にまで、鎖帷子や鉄板が編まれているとのことです。この時点で「小具足姿」になります。
胴/草摺(くさずり)/袖
(5)あらかじめ、前胴と後胴を左脇の紐で結んでおいて、背負うようにして着ます。体の右脇の紐も結んで、前胴と後胴を引き合わせて閉じます。1人で着るのは難しそうですね。
本歌では、左脇の蝶番に鉄棒"「"を差し込み、前胴と後胴を引き合わせ着用して、右脇の紐で胴を閉じるとのことです。
胴に繋がる「袖」「草摺(くさずり)」は一枚一枚、紐で繋がれています。鎧を繋ぐ紐を「威紐(おどしひも)」といいます。
鎖骨の辺りで前胴と後胴の緒を繫ぎ留めるための金具を「鞐(こはぜ)」、上腕部を守る部分を「袖」といいます。本歌の籠手の生地には、鎖帷子が編まれているとのことです。
帯
(6)腰に帯を巻きます。このとき少し跳ねて、胴鎧が肩から浮いたところで帯を巻くと、肩が痛くならなくて良いとのことです。
兜
(7)兜を被ります。この兜は、「日根野兜」と呼ばれているそうです。兜の前部についている突起は、「前立(まえたて)」を取り付けるためのものだったのですね。「威紐」を大量に使用するものは、高価で大将向けとのことです。
前立
(8)最後に兜に「前立」をつけて、刀を差せば、甲冑の着付けの完成です!解説イラストの「前立」は、真田家の家紋「六文銭」にしているとのことです。「前立」の他にも、「後立」「脇立」などの種類があるのですね。
巾着/胴乱
腰帯には巾着や胴乱を括りつけて、財布や携帯などを入れておいて活動するとのことです。
最後に
今回の甲冑は「桶側二枚胴具足」と呼ばれる、戦国期に流行った「当世具足」の一種で、基本的な構造は大体このような感じになっている、とのことです。甲冑などの衣装は一度自分で作ってみると、構造が理解でき、絵を描くときに参考になるとのことです!
まとめ
赤冑のゲマさんによる、甲冑の着付け解説講座でした。甲冑のイラストは難しくて、なんとなく描いてしまいがちですが、着付け手順や装備を理解することによって、本物らしい甲冑イラストが描けそうです。甲冑の細かい部分や、構造が分からなくてお困りの方は、赤冑のゲマさんの甲冑の着付けの解説を参考にしてみて下さい。
最後に、赤冑のゲマさんのプロフィールを、ご紹介します。 赤冑のゲマさんは、主にAdobe illustrator、saiを使用して、甲冑を着ているキャラクターなどを描かれていらっしゃり、火縄銃の空砲演武もされていらっしゃいます。PixivとTwitterでは、他にも素敵なイラストをご投稿されていらっしゃいますので、ぜひご覧ください!
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