少年マンガや萌えマンガ、青年マンガと、今日では様々な作風でマンガの背景が描かれています。それぞれの作風で、背景の表現の仕方に違いはあるのだろうか。背景を描く際のテクニックや小ワザがあるなら知りたい!
そこで今回は、マンガ背景のバリエーションをTwitterにまとめていらっしゃった、漫画家の桜井瑞希さんの解説イラストから、背景表現のテクニックを学んでいきましょう!
※この記事で紹介している内容はご本人の許可を得て掲載しています。
Twitter 「桜井瑞希さん マンガ背景のバリエーション」ツイート解説イラスト
基礎的な技術
まずは立方体を線で表現する基礎技術からです。
・立方体の頂点など、線が交わる所を少し強調します。
・辺の真ん中付近は、線を飛ばしています。
・立方体の輪郭線は、内側の線より太く描きます。
補足:遠近感の表現により、本来は、奥に行くほど線は細くなります。
面線
少年マンガ・萌えマンガ風の面線です。
・パースに合わせた線を、主線より細く入れます。(主線はしっかりと強い線で描いておくと、少年マンガ風らしく見えるとのことです。)
・影になる面は面線を多めに入れ、逆に光が強く当たる面は面線を少なめに入れます。
汚し
青年マンガ風の汚しです。
・フリーハンドで汚れを入れます。光が当たっている部分は少なく、影部分は多く汚すとメリハリがつきます。
・汚しを入れる際、縦軸のパースに合わせて汚しを入れると、パースの方向が分かり、長年蓄積した汚れに見えるとのことです。接地面にも汚しを入れましょう。
カケアミ
アナログ系青年マンガ風のカケアミです。
・カケアミは気持ちよく見えるように、パースに合わせないように描きましょう。1カケ(均等な間隔の線を並べて引いて作る固まり。薄い影に使われる)位は合わせると奥行きが分かります。
・カケアミを入れると、同じ輪郭線なのに歪んで見え、アナログの味わいが出るとのことです。やはり、光の当たる位置を意識しましょう。
複合表現
面線、汚し、カケアミを複合的に用いて、背景の立方体を表現することもできます。カケアミの濃い影の所にさらに汚れが入っていたり、カケアミの線に面線も加わっていたりと、より深い表現になっています。
映り込み
映り込みを描くことによって、床に接地している感と奥行きが生まれます。学校の床、フローリング、ツヤツヤしている地面の背景の時に用いると、効果的とのことです。映り込みを用いた解説イラストを見ると、床の質感が想像出来たり、背景がより立体的に見え、臨場感が伝わってきます。
全部+木目
面線、汚し、カケアミ、映り込み、さらに木目を使用した、フローリングへの映り込みです。窓なども、雲の映り込みを描くと、奥行きとリアリティが生まれるとのことです。映り込みは、背景を描く際の大事なテクニックなのですね。
まとめ
解説イラストを通して、マンガの背景の描き分け方法、カケアミや映り込みのテクニックが学べたと思います。塗りではなく、線で背景を表現するにはどうすればよいのだろう。少年マンガに合った背景の描き方はあるのだろうか。そんなときは、桜井瑞希さんのマンガ背景のバリエーションを参考にしてみて下さい。
最後に、桜井瑞希さんのプロフィールをご紹介いたします。素敵なイラストをご投稿されており、漫画家としてもご活躍されておられます。きららフォワードでもご連載されておりましたので、是非、作品をご覧になって下さい!
マンガ連載:きららフォワード「いつか私は、君を裏切る」連載(完結)
桜井瑞希さんのTwitterはこちら