パースという言葉をご存知でしょうか?
おそらく、言葉は聞いたことあっても詳しくは知らないという方も多いのではないでしょうか。そこで、今回はパースとその代表的な図法である一点透視、二点透視、三点透視を学習していきます!
この記事の目次
パースとは背景イラストに欠かせない知識
そもそもパースとは、英単語のperspective(遠近法・透視図法)を略した言葉で、平面的なイラストの中で立体感や奥行きを表現する手法のことです。
アイレベルとは?人物の俯瞰と煽りを見てみよう
アイレベルとは「その絵を見ている人の目線の高さ」のことで、パースを活用するためには、まずアイレベルを決定することが大切です。 アイレベルの違いによって、同じものでも見え方が異なりますので、最初にアイレベルの高さを設定し、それに合わせてモチーフを描いていきましょう。
対象物がアイレベルより上のものはあおり(下から見上げる)、下のものは俯瞰(上から見下ろす)と言います。対象をどんなに近くにおいても、遠くにおいても、この基本は変わりませんので、必ず押さえておきましょう!
あおり・俯瞰をしっかり描き分けることがパースの第一歩です。
透視図法とは
透視図法とは、遠いものほど小さく描いて遠近感を表現する手法です。物体がある点に向かってどんどん小さくなっていき、最終的に消える箇所を消失点と呼びます。パースを描く時はこの消失点を設定し、奥のものほどこの消失点に向かって小さくなるように描きます。
一点透視図法の簡単なイラスト
一点透視図法とは、アイレベル上に消失点を1つ置き、それにむかって奥行きを描く手法。それでは、下の図をご覧ください。
物体の各辺がアイレベル上の消失点に、一直線で向かっていますよね。このように一つの物体の各辺、または多くの物体そのものが平行線上に存在し、最終的に1つの消失点に向かう直線を描くのが、一点透視図法の特徴です。
一点透視の例1:畳のふちを伸ばすと一点に収束しています。
一点透視の例2:机の辺を伸ばすと一点に収束しています。
一点透視図法のメリットは物体の正面を描き、後から奥行きを書き足せばいいので描くのが簡単かつ理解しやすい点です。初心者の方にもおすすめの図法なので、ぜひ最初に挑戦してみてください。
二点透視図法の簡単なイラスト
次は二点透視図法です。アイレベル上に消失点が2つあり、角が手前にきます。角を強調することで立体感がある建物や、室内も自然に描けます。それでは具体的に見ていきましょう。
二点透視の例。部屋の辺を結ぶと二点に収束します。
注意点としては、絵の中に消失点が2つあると不自然な印象を与える場合がありますので、片方は必ず作品の外に置きましょう。消失点同士の間隔が狭いと、対象の形がいびつになってしまいます。逆に2つとも絵の外側の場合もありますが、そちらは問題ないです。
参考作品
パースの補助線付きの実例イラストです。
Practice, perspective ?
— matsu_souto (@qaz753951520) 2018年3月28日
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三点透視図法の簡単なイラスト
アイレベル上とは別に、消失点を1つ作り、合わせて三点の消失点を絵の中に作ります。下の例でわかる通り、消失点の一つはアイレベルからはるか上に位置しています。
この図法は極端なあおりや俯瞰構図になるのが特徴で、高さを表現するのに便利です。建物など巨大なものを描く時によく使われ、臨場感を演出します。
三点透視の例。ビルの写真によく使われます。
参考作品
パースを応用した複雑なイラストです。
Random perspective
— ✽Yomena (@YomenaAster) 2017年7月27日
I rarely draw perspective. It's like limited SSR gacha lol pic.twitter.com/eVV6Lag3kC
まとめ
ここまで、アイレベルや代表的な透視図法について学習しましたが、いかがでしたでしょうか?
三種類も透視図法があるなんて難しそう…と思っている人にアドバイスです。実際全部かっちりパースに従う必要はありません。シルエットや物体の大きさなどの方が重要な場合が多いですので、あくまでテクニックの一つとして使うことを心がけましょう。
パースを意識して描けば説得力のある絵を描くことができます。習得まで時間はかかりますが、がんばっていきましょう!
イラスト協力:瑠華さん