マンガはどうして読みやすいのだろう?
マンガの読者がスムーズに読めるように、コマやキャラクターの配置には工夫が施されています。
今回はXから、漫画家:藤原ハルさんのご投稿を紹介します。
読者の視線の流れを意識した、読みやすいマンガの描き方を見ていきましょう。
※この記事で紹介している内容はご本人の許可を得て掲載しています。
読みやすいマンガの描き方
二つのマンガを見比べてみよう
読みやすいマンガは、どのような流れで構成されているのでしょうか?
二つのマンガを見比べてみましょう。
読みやすい作例と、迷ってしまう作例の、2パターンのマンガを載せています。
パターン1(読みやすい作例)
パターン2(迷ってしまう作例)
パターン1(読みやすい作例)の解説
読者の視線の流れを意識して、読みやすいマンガに
マンガのページを読んだときの視線の流れを、赤い線で示しています。
このマンガの例では、1コマ目から最後のコマまで、流れるようなS字カーブで繋がっています。
そのため、読者はスムーズにマンガを読むことができます。
どのように視線を誘導しているのか、各コマを見ていきましょう。
次のコマへ視線を誘導する
- 1コマ目:人物の目線、指の方向、矢印で、2コマ目に誘導している
- 2コマ目:コマの下部にグレーの本があり、下段に誘導している
- 3コマ目:注目されやすい顔を、ライン上に置いている
- 4コマ目:体と影でラインを作り、下段に誘導している
- 5コマ目:人物の向き、歩く方向、背景や雲の流れで横のラインを作っている
上から下へ、右から左へ、日本語が読まれる方向へ
日本語の文章は、上から下へ、右から左に進んでいきます。
マンガの流れも同様で、上から下に、右から左へとセリフやコマが進んでいきます。
この流れを意識して、コマ内の人物の向きや配置を考えてみましょう。
次のコマに視線がいきやすくなると、マンガもスムーズに読み進めることができます。
作例のマンガでは、コマとコマの余白の幅を、上下を広くして左右を狭くしています。
この余白の幅により、1コマ目を読んだ後は下段にいかずに、左にある2コマ目に視線をいきやすくしています。
パターン2(迷ってしまう作例)の解説
次のコマへ視線の誘導をしていない作例
続いて、読者が迷ってしまう作例を見ていきましょう。
読者の視線を示す赤い矢印も、繋がらずにバラバラになっています。
- 1コマ目:人物の目線、指の方向、矢印が、2コマ目とは逆の方向を向いている
- 2コマ目:フキダシが4コマ目と近すぎて、4コマ目に視線が移ってしまう
- 3コマ目:背景やフキダシの位置が、5コマ目に繋がっている
- 4コマ目:体と影が縦のラインを補強しており、2コマ目に繋がっている
- 5コマ目:キャラの歩く方向や背景が右下に進んでおり、左下のセリフが見つけづらい
読む順番を迷ってしまう
このマンガの例では、次に読んで欲しいコマとは別のコマに視線が移りやすくなっています。
1コマ目→2コマ目→3コマ目……、と迷わず順番に視線が移るように、キャラクター・背景・フキダシなどは考えて配置しましょう。
セリフが横書きのマンガの場合
横書きの場合は左から右へ
マンガのセリフが横書きの場合も、流れは日本語の文と同じです。
セリフの文字は左から右へ、コマの順番も左上から右下へと進みます。
左から右へ、コマ内の配置で視線を誘導しましょう。
セリフの文字を読む流れと、絵の流れを一致させることで、スムーズに読めるマンガになります。
まとめ
読者の視線を誘導して、マンガを読みやすくする方法の紹介でした。
次のコマへ視線が移るように、キャラクターや背景、フキダシの配置を考えてみてください。
1コマ目→2コマ目→3コマ目……、と順番に視線が移るようにすることで、読みやすいマンガになります。
最後に、藤原ハルさんのプロフィールをご紹介します。
藤原ハルさんは、漫画家をしていらっしゃいます。
『夜を泳ぐ魚たちは』で第90回ちばてつや賞ヤング部門大賞を受賞、『10月の花火』、『犬を送る』など、多くのマンガ作品を発表しておられます。
藤原ハルさんのXでは、他にも素敵なイラストやマンガ作品を投稿されているので、ぜひご覧ください!