色鉛筆を使ったイラストの紹介
初心者でも身近な道具を使って、手軽に始められるのが魅力のアナログイラスト。特に人気の色鉛筆をフォーカスして、今回はその塗り方について説明をしていきます!
まずは、色鉛筆を使ったイラストを見てみましょう。
色鉛筆は持ち味である柔らかいタッチや、どこかほっこりとした温かさを感じさせますね。色鉛筆とは思えないほどコントラストがはっきりしていたり、色数の少なさを全く感じさせなかったりする作品もあります。それでは色鉛筆の塗り方テクニックについてご紹介していきます。
色の塗り方
色鉛筆を塗る上で重要な知識が、混色(色の重ね方)とグラデーション(濃淡のつけ方)です。それぞれ確認していきましょう。
混色とは
混色とは、2色以上の色を混ぜ合わせることです。絵具と同様に、たくさんの色を混ぜ合わせたり、色相環上で対称な位置に存在する色である補色を混合したりすると暗い色に近づきます。ただし、色鉛筆は塗り方によっては単純に暗くならないという特徴があります。
いかがでしょう?絵の具などは2色を混ぜ合わせた場合、色と色が溶け合って新しい別の色になってしまいます。一方、色鉛筆の場合は色と色の隙間にもう一方の色が入るような形で、各色の個性を持ち合わせたまま混ざり合っています。この色鉛筆の特徴を把握して、的確に色を塗ることが大切です。
また、混色時に重要になるのが、色を塗る順番です。上の写真からわかるように、同じ色の組み合わせでも全く違う色になっています。
基本は、薄い色から濃い色という順番に色を塗っていくことが大切です。混ぜ合わせると基本的に暗い色に近づいていくので、最初は薄い色からチャレンジした方が潰しが効くからです。いろんな色を巧みに混ぜ合わせることによって深みのある色を作っていきましょう。
グラデーションとは
グラデーションとは、濃淡や明暗が徐々に変わっていくことです。色鉛筆でグラデーションを表現できると、影の濃淡がつけられるようになり、描ける幅が広がります。グラデーションには3種類のタイプがあります。
- 単色グラデーション
- 複数色のグラデーション
- 異なる色相のグラデーション
単色のグラデーションは、一つの色を用いて行うグラデーションです。初めに濃い色や鮮やかな色を選びましょう。濃い色を薄く塗ることはできますが、元から薄い色(明度の高い色)を使うと、どんなに筆圧を強めてもなかなか濃くなりません。
単色のグラデーションで意識する点は2つです。
- 最初は薄く塗ること
- 濃淡を一定の度合いで変化させること
次に複数色のグラデーションの説明をします。ここで言う複数色とは同色相の異なる色を使用したグラデーションのことです。下の写真を見てわかる通り、複数色のグラデーションの方が変化が滑らかであることが分かります。
描き方は基本的に単色の場合と同じですが、薄い色からグラデーションを入れて、そこに濃い色のグラデーションをスペースを狭めながら重ねていきましょう。
三つ目は、異なる色相のグラデーションです。描き方は複数色のグラデーションと同じですが、色相環で連続する色を使う点に注意しましょう。連続した色でないと、きれいなグラデーションになりません。今回は赤色、オレンジ色、山吹色、黄色の4色を使用しました。
塗り方テクニック
混色やグラデーションを作る時に使うテクニックが平塗りとハッチングです。どれも簡単なようで意外と難しいので、しっかりと確認していきましょう。
平塗りとは
平塗りとは、色鉛筆を紙面に対して水平に当てて描く塗り方です。広い範囲を塗るときや、混色・グラデーションなどの行程中の一過程として用いられます。綺麗な平塗りをするコツは1.同じ筆圧で、2.同じ方向に塗ることです。ぜひ意識してトライしてみましょう。
ハッチングとは
デッサンでも使われる技法で、細かく平行な線を何重にも引くテクニックのことです。線の感覚に応じて色の濃さ・黒さが変化し、工夫の仕方によっては絵に重厚感を与えます。他にもクロスハッチングというテクニックもあり、縦・横・斜めに線を交差させます。ハッチング以上に絵に重厚感を与えるので、効果的に使ってみましょう。
色鉛筆イラストメイキング
最後に、色鉛筆イラストのメイキングを見ていきます。各段階でどのような点を意識して描くのか観察して、色鉛筆の塗り方を体感しましょう!
「桜」と「動物たち」をテーマにした色鉛筆イラストのメイキングです。まず、1枚目のイラストでは簡単にラフを描きます。ここで注意する点は筆圧をあまりかけずに描いていくことです。
次に少しずつ陰影を付けていきます。薄茶色の線をラフに加えていくことで、徐々に立体感が出てきます。
さらに明るい色を加えます。全体に重くならない印象を与え、温かい雰囲気を演出します。ちなみに陰影を描く際は平塗りを多く使用しています。
今度は服を塗っていきます。薄く線を重ね合わせるように塗っていくことで、色鉛筆特有の味わいのある色をつくれます。
より温かみを出すために、線画の部分を赤色で重ね塗りしていきます。
次に桜の木を塗っていきます。桜などの木の幹は下側が濃い場合が多いので、下から薄く塗って徐々に濃くしていきましょう。薄い部分から塗っていくと全体を踏まえた修正が難しくなります。
桜の木を塗り進めていきます。木の葉に日が当たっている部分をどう塗るか、自分なりに表現してみましょう。今回は黄色とオレンジのグラデーションで柔らかくしてみました。
次に空を塗ります。全体を塗り潰しすぎないように注意してください。わざと色の濃い部分、薄い部分を作ります。
仕上げです。塗り残した部分を完成させ、強調したい部分をより濃く塗っていきます。全体に統一感を出して、アクセントの効いた作品になるよう心がけましょう。
完成です!素晴らしい作品になりました。色鉛筆の温かみが「桜」と「動物たち」をテーマにした作品とマッチしていますね。
みなさんもぜひ描きたいテーマを見つけて、色鉛筆イラストを描いてみてください。ここで学んだ知識を塗り方に生かすと、今まで以上にいい作品がきっと描けますよ!