皆さんは「パルミーちゃん」をご存知でしょうか?
お絵かき講座パルミーの公式キャラクターであり、人気スマホゲーム「メギド72」のキャラクターデザイナー高木正文氏がデザインしたキャラクターです。
そのパルミーちゃんがこの夏、新しい水着姿をお披露目したことで一部(?)のファンの間で「かわいい」と話題に。ということで、お絵かき図鑑編集部が「キャラクターデザイン」や「イラスト制作の仕事の流れ」について、ディレクションを担当したパルミーのI(アイ)さんに話を聞いてきました。
この記事の目次
キャラクターイラストの企画
こんにちは。パルミーちゃんのイラストディレクションを担当したI(アイ)です。
この記事では、企業がイラストレーターさんにイラストを発注して出来上がるまでの過程を解説していきます。少しだけボリュームのある内容ですが、ご興味ある方はぜひ読んでみてください。
まず、イラストを作る時の最初の工程はイラストを発注する側が「イラストを作る目的」や「どういったイラストを作るのか」を決めることから始まります。
発注側の会社にイラストレーターがいない場合、まずは「企画職」や「プランナー職/ディレクター職」がこれらを考えます。社内にイラストレーターがいる会社の場合、企画の段階から企画職とイラストレーターがミーティングをしてイラストを作る目的を決めることもあります。
パルミーの場合は社内にイラストレーターがいないので、企画職がどういったイラストを作るのかなどを検討しました。
イラストを作成する目的
早速「どういったイラストをつくるか?」から考え始めたいものですが、その前段階にも準備があります。
今回の場合、「サマーキャンペーン」というキャンペーンを開催することがパルミーの社内会議で決まりました。それを受け、キャンペーン内容やページのデザイン、メインビジュアルをどうするか?といった企画を進めていきます。
パルミーの場合、キャンペーンページの顔となるメインビジュアルには公式キャラクターの「パルミーちゃん」を積極的に登場させようという方針があるため、スムーズに「夏のキャンペーンに合うパルミーちゃんイラストをつくろう」ということが決まりました。
そういった方針がない会社の場合、イラストを作るかどうかから考えることになります。イラストを使わない場合、例えば旅行会社のキャンペーンの様に写真のみでメインビジュアルを作ることもあります。
このように、イラストを作るかどうかは手段であり、そのページを訪れる人に「何を伝えたいのか?」といった目的に写真を撮る方を選ぶこともあります。
どういったイラストをつくるのか?
イラストを作ることが決まれば、いよいよ「どういったイラストをつくるか?」を考えます。
パルミーのサマーキャンペーンは、月謝制(※)が初月50%OFF、プレミアム講座が最大73%OFFという内容で、テーマが「夏を描こう!」というものです。こういった内容からどういったイラストをメインビジュアルに置くかを考えていきます。
今回は、夏を描こう!のテーマに沿って「海にスケッチに来ている水着のパルミーちゃん」というイメージを採用することになりました。
※月謝制は対象のプレミアム講座が月額定額制で見放題のサービス
イラストの発注
イメージが固まったら、次に制作するイラストのイメージを詰めていきます。この工程を大雑把にやってしまうと、発注したイラストが結果的にイメージとかけ離れたもので納品されたり、何度もリテイクを出すはめになりイラストレーターさんを困らせることになります。
ここではどういった点に注意して発注しているのかや、イラストレーターさんを選ぶ工程について紹介します。
イラストのイメージを細部まで詰める
パルミーでは、イラストを発注する時はなるべくイメージを細部まで詰めきって発注するようにしています。ではどういったことを詰めているのかと言うと、例えばこういった内容です。- メインビジュアルのどこにキャラクターを配置するか
- 何頭身のイラストにするか
- ポーズはどうするか
- 表情はどうするか
- 水着はどういったデザインにするか
- アイテムは何を身に着けているか
こういったことを一つ一つ確定した状態で発注をしていきます。イラストを発注する会社や人にもよりますが、パワーポイントなどに使用可能な参考イラストや画像を貼り、イラストを描く人となるべくイメージのギャップが生まれないように発注することを心がけましょう。
イラストレーターの選定
イラストのイメージを詰めたら、そのイメージを具現化してくれるイラストレーターさんを探します。
パルミーの場合は毎回同じイラストレーターに頼んでいるわけではなく、担当者がtwitterなどで「いつか絵を頼んでみたい人」を日々ウォッチし、機会があれば相談のダイレクトメールを送るようにしています。
企業の中の人はクリエイターのtwitterやホームページの連絡先をちゃんと見ているので、仕事を募集している方はぜひ連絡先やお仕事の受付可否を書いておきましょう。
今回のサマーキャンペーンではイラストレーターのPomU(ぽむ)さんに依頼しました。以前からイラストのお仕事が受発注できるSKIMAでお仕事をされていたことや、twitterでの投稿イラストが魅力的だったため依頼したところ、ご快諾いただけました。
イラストの制作
メールなどでのやりとりで制作条件(金額や納期など)の合意が取れれば、いよいよイラストの制作開始です。イラストの発注者はドキドキしながらラフが上がってくるのを待ちます。
ラフ
最初に上がったラフがこちらです。最初の段階から構図や表情、色の指定がしっかり入っており、発注者としてはとても確認がしやすく、完成のイメージがつきやすいラフでした。
また、ラフと一緒に送られてきたメールには水着の柄や衣装の装飾部分をつけるかつけないかなどの確認も含まれていましたが、その内容がラフの中にも番号つきで示されており、とてもスムーズに確認事項をクリアにしていくことができました。
さらに、発注書にはなかった「うきわ」のアイデアも提案していただきました。素敵な提案をいただき、絵としての安定感も増すためこのアイデアを採用する方向で線画の工程に進んでいただくことにしました。
ただ、念のためページ全体のデザインとの兼ね合いもあったため、うきわアリとナシの2つのバージョンの線画を作成していただくことにしました。
線画
こちらが浮き輪アリとナシのそれぞれのバージョンの線画です。(ラフの状態にはなかったハイビスカスの髪飾りもつきました)
線画を見てみて、やはりPomUさんのアイデアの浮き輪バージョンの方が魅力的で、ページ全体のデザインとしても問題なさそうなため、浮き輪バージョンで仕上げの工程に入っていただきました。
仕上げ・納品完了
いよいよ最終工程の「仕上げ」です。どれだけ線画までがすばらしい状態でも、色を塗るこの段階の仕上がりがイマイチだと見栄えや魅力が落ちてしまいます。
PomUせんが送ってくださったイラストがこちらです。
この仕上げの工程で、さらに演出を付け足した状態のイラストを4点送ってもらえました。タブレットから水しぶきが上がっているバージョンやペンの軌道を描いたものなど、どのバージョンもとても魅力的でした。
ただ、今回はイラストを掲載するページやバナー画像にした時との兼ね合いからエフェクトのないノーマルのバージョンを採用させていただきました。少しだけ微調整を行ってもらい、イラストが完成しました。
まとめ
以上がイラストの企画段階から発注、完成までの全行程です。最終的にはパルミーのページに掲載され、利用者の方の目に触れるようになります。ぜひイラストがどのようにページに掲載されたかも見てみてくださいね!
また、この記事でイラストの受発注の現場のやりとりが少しでもイメージをもってもらえたら嬉しいです。
PomUさんのイラストが掲載されたページをみてみる!