背景を描いてみたいけれど、何から始めればいいの?
まずは、背景に重要な「アイレベル」から覚えてみるのがオススメです。
今回はTwitterから、沼原望さんのご投稿を紹介します。
アイレベルの使い方を、解説マンガから学んでいきましょう。
※この記事で紹介している内容はご本人の許可を得て掲載しています。
この記事の目次
アイレベルとは何か?背景パースをマンガで解説
①パースに重要な「アイレベル」と「奥と手前の大きさ」
上段・中段のコマ
イラスト制作では、画面に奥行きを出すために「パース」を使います。
パースとは、手前のものが大きく、奥のものが小さく写る、遠近法のことを指しています。
手前から奥へ並んでいる木の上端を線で繋ぎ、下端も線を繋いでみましょう。
線が収束している、画面の中で一番小さいところを「消失点」と言います。
消失点の上を水平に通る直線を、「アイレベル」と言います。
下段のコマ
絵に違和感を感じる場合は、このアイレベルの位置と絵がズレてしまっていることが多いです。
パースを考える際に、具体的には次の2点を意識するところから始めてみましょう。
- アイレベル
- 奥と手前の大きさ
②アイレベルがズレている例
上段のコマ
絵の画面を考える際に、奥と手前でどのくらいの大きさで描けばよいのだろう……と悩むことも多いと思います。
実際に、二人のキャラクターが登場する絵に、アイレベルを引いて背景を描いてみましょう。
中段・下段のコマ
中段のコマの絵では、二人のキャラクターと背景が描かれています。
実はこの絵では、奥にいるBさんが手前に来ると、とても大きいキャラクターになってしまいます。
このような現象は、アイレベルを無視することで発生してしまいます。
③アイレベルは目線の位置
上段・中段のコマ
アイレベルとは、目線の位置のことです。
言い換えると、「その絵をどのくらいの高さから見ているか」ということです。
カメラの位置が目の高さにあれば、アイレベルも目の高さになります。
カメラの位置が腰の高さにあれば、アイレベルも腰の高さになります。
下段のコマ
アイレベルの位置が決まると、手前と奥のキャラクターの位置も自動的に決まります。
キャラクターの目の高さにアイレベルがあれば、同じ身長のキャラクターがどれだけ手前に来ても、どれだけ遠くへ行っても、アイレベルの高さにキャラクターの目がきます。
カメラが腰の高さにある場合も同様です。
同じ身長のキャラクターがどれだけ手前に来ても、どれだけ遠くへ行っても、アイレベルの高さにキャラクターの腰がきます。
④アイレベルがズレた画面を修正する
上段のコマ
先ほどのアイレベルがズレた画面を修正してみましょう。
奥のキャラクターは腰にアイレベルがかかっていますが、手前のキャラクターは首にアイレベルがかかっています。
そのため、奥のキャラクターが手前に近づくに連れて巨大になってしまいます。
中段のコマ
二人のキャラクターは同じ身長だとすると、アイレベルの位置には、体の同じ部位がかかっていなければなりません。
奥のキャラクターを少し下にずらして、どちらも同じ位置(首)にアイレベルがかかるようにします。
下段のコマ
身長差を出したい場合は、奥のキャラクターの頭辺りにアイレベルがかかるようにします。
アイレベルを基準にすることで、キャラクター同士が離れた位置にいても、身長差を表現することができます。
違和感のない画面を作るためにはアイレベルが重要なので、使い方を覚えてみてください。
パース・アイレベルを解説した『背景描きかた漫画』
解説マンガの作者である沼原望さんは、『「キャラの背景」描き方教室』を電子書籍で出版していらっしゃいます。
当記事で掲載をしたアイレベルの解説の他にも、ゼロからパースを描いていく手順、透視図法の描き方、消失点の決め方など、初心者に向けて分かりやすく解説しています。
キャラクターだけでなく背景も描いてみたい……、パースの用語や使い方を基本から学びたい……とお考えの方は、ぜひ書籍を読んでみてください。
まとめ
アイレベルの考え方や使い方の解説でした。
アイレベルとは、目線の高さのことです。
同じくらいの身長のキャラクターを描く場合は、カメラからの距離に関わらず、体の同じ部位にアイレベルの線がかかります。
沼原望さんの解説を参考にして、背景パースに重要なアイレベルについて学んでみてください。
最後に、沼原望さんのプロフィールをご紹介します。
沼原望さんは、漫画家や美大の講師をしておられ、『ネコときどき地球侵略』や『スペースノンフィクション』などの漫画作品をご発表していらっしゃいます。
TwitterやpixivFANBOXでは、他にも素敵な作品や解説を投稿されているので、ぜひご覧ください!