デスクトップパソコンでお絵描きをしたいけれど、モニターはどうやって選べばよいのだろう? お絵描きの作業を快適にするために、イラスト制作に向いているPCモニターを購入したいですね。
今回は、イラスト制作用のPCモニターの選び方や、おすすめのPCモニターの製品をご紹介します。
この記事の目次
イラスト用PCモニターの選び方
イラスト用PCモニターの選び方①.画面のサイズ
イラスト制作の作業では、細部まで拡大してキャラクター・背景を描き込むことも多いです。 モニターのサイズが小さすぎると、画面に表示できる絵の領域も狭くなり、作業がしづらく感じます。
また、モニターのサイズが大きすぎても、視線を移動させる量が増えたり画面の端が見えづらくなったり、作業の効率が落ちてしまいます。
イラスト用のモニターは、一般的なサイズである21インチ〜27インチ辺りの大きさが良いです。特に24インチ辺りは、主流のサイズで製品数も多いのでおすすめです。
イラスト用PCモニターの選び方②.解像度
モニターの解像度は、画面に表示できる縦横のピクセル数を表しています。 解像度が大きいほど、画面が細かくきれいに見え、表示できる領域も広くなっていきます。
近年のデスクトップPCのモニターで使用されている主な解像度は、以下の通りです。
解像度の名称 | 解像度 |
---|---|
フルHD(FHD) | 1920 × 1080 |
WUXGA | 1920 × 1200 |
WQHD | 2560 × 1440 |
4K | 3840 × 2160 |
フルHDは最も普及している解像度です。モニターの製品数も多いので、イラスト制作ではフルHDの解像度がおすすめです。
WQHD、4Kと解像度が高くなるに連れて画面はきれいに見えますが、対応するモニターのサイズも大きくなり、高価格になってきます。
27インチ以上の大きめのモニターを購入予定で、予算があり画質にも拘りたい方は、4Kのモニターを考えてみても良いと思います。
イラスト用PCモニターの選び方③.接続方法
モニターに映像を表示するためには、モニターとPC本体をディスプレイケーブルで接続する必要があります。接続方法によって、使用するディスプレイケーブルの種類も異なります。
PC・モニターで使用されている、主な接続方法(端子の種類)を以下に挙げています。
- DVI
- HDMI
- DisplayPort
- USB Type-C
モニターを購入する前に、PC本体の出力端子とモニターの入力端子が対応しているかを確認しておきましょう。
PC本体とモニターの接続例
[PC側]:HDMI x1,DisplayPort x3
[モニター側]:USB-C x1,HDMI x1,DisplayPort x2
この場合は、HDMIまたはDisplayPortのディスプレイケーブルを使って、PC本体とモニターを接続することができます。
モニター製品にディスプレイケーブルが付属している
PC本体とモニターを接続するためのディスプレイケーブルは、一般的にはモニター側に付属しています。モニターを購入する前に、付属品のディスプレイケーブルの種類を確かめておきましょう。
対応しているディスプレイケーブルが付属していない場合は、別売りのものを購入する必要があります。
また、PC本体とモニターの端子が対応していない場合、別売りの変換コネクタを使って接続する方法もあります。
イラスト用PCモニターの選び方④.液晶パネルの駆動方式
液晶パネルの駆動方式は、IPS・TN・VAの3種類があります。それぞれに長所と短所があるので、用途に合ったものを選びましょう。
駆動方式 | 発色 | 視野角 | 応答速度 | コスト |
---|---|---|---|---|
IPS | ◎ | ◎ | △ | △ |
TN | △ | △ | ◎ | ◎ |
VA | ○ | ○ | ○ | ○ |
※視野角が広いと、モニターを斜めにしても画面を正常に見ることができます。
※応答速度が速いモニターは、画面内の色の切り替えを素早く行えます。
それぞれの駆動方式の特徴
VA方式は、コントラストが高く黒色の表現に長けており、静止画や動画の観賞用に向いています。
TN方式は、視野角が狭くモニターの上下で色の差が大きいですが、応答速度が速いのがメリットです。画面の色が切り替わる際の残像も少ないので、激しい動きを表示するゲーミング用のモニターで用いられることが多い方式です。
IPS方式は、発色が優れているのがメリットです。視野角も広いので、イラスト制作用のモニターはIPS方式がおすすめです。
イラスト用PCモニターの選び方⑤.光沢の有無
PCモニターには、光沢(グレア)液晶と非光沢(ノングレア)液晶の2種類があります。光沢と非光沢で画面の見え方に違いがあるので、特徴を押さえておきましょう。
光沢(グレア)液晶の特徴
- 発色が良く、コントラストが高い
- 画面にツヤがあり、外からの映り込みが大きい
非光沢(ノングレア)液晶の特徴
- 光沢液晶と比べると発色が弱い
- 外からの映り込みが少ない
イラスト制作では、モニターを見ながら長時間に渡って作業をすることになります。画面の映り込みが少なく、目が疲れにくい、非光沢(ノングレア)の記載がある製品がおすすめです。
イラスト用PCモニターの選び方⑥.色域
色域は、モニターが表現できる色の領域を表しています。 モニターの色域が広いほど、表現できる色の幅も増えて、画面を鮮やかに映すことができます。
色域の代表的な規格として、sRGBやAdobe RGBがあります。
sRGB
sRGBは国際的に標準の規格で、Web・モニター・プリンタなどでも普及している一般的な色域です。
汎用性の高い規格なので、sRGBでイラストのデータを作っておけば、そのイラストを他人のモニターで見たときに色のズレが少なくなります。
Adobe RGB
Adobe RGBはアドビシステムズ社(現・アドビ社)が提唱した規格で、sRGBよりも広い色域が特徴です。
Adobe RGBはsRGBよりも色を鮮やかに表現できますが、Adobe RGBに対応したモニターや、Adobe RGBを扱えるペイントソフト(PhotoShopなど)でイラストを制作する必要があります。
モニターの色域カバー率
モニターの中には、「sRGB色域 カバー率〇〇%」といった記載がある製品があります。 カバー率が高いモニターほど、色域を正確に再現できます。
イラスト制作ではモニターの色域は重要です。sRGB対応のモニターを購入する場合は、sRGB カバー率100%の記載がある製品がおすすめです。
Adobe RGBはカラーマネージメントが必要
Adobe RGB対応のモニター・ペイントソフトでイラストを制作したけれど、納品先はsRGBを指定している……といった場合、異なるデバイス間で色を統一する(カラーマネージメント)作業が必要です。
Adobe RGB対応のモニターは、色の表現に拘りがあり、カラーマネージメントの知識がある方におすすめです。
また、sRGBとAdobe RGBを切り替えられるモニターも販売されています。
イラスト用PCモニターの選び方⑦.キャリブレーション
キャリブレーションとは何か?
モニターに表示される色を正しい色に近づけるために、モニターの輝度や色温度を測定・調整することをキャリブレーションと言います。
工場出荷前のキャリブレーションレポートを付属しているモニター製品もある
モニターの中には、工場出荷前に正確なキャリブレーションを行ったことを証明するレポートを付属している製品があります。
キャリブレーションのレポートが付属されている製品は、モニターに表示される色の精度が高いということが言えます。
ハードウェアキャリブレーション対応のモニターは、正確に色を調整できる
長い間モニターを使用していたら、色が少しズレてきた気がする……。そんなときには、自分でキャリブレーションを行う必要があります。
キャリブレーションは、PC側を調整するソフトウェアキャリブレーションと、モニターの内部を調整するハードウェアキャリブレーションの二種類があります。
ハードウェアキャリブレーションに対応しているモニターであれば、専用のソフトウェアと周辺機器を用いて、正確に色の調整を行えます。
家電量販店に展示されているPCモニターを見に行こう
\サブモニターに/ 配信のコメントチェックやチャットソフト、タイムラインチェックに便利 ピポット可能な23.8インチゲーミング液晶
LG[24GN650-B] 31,000円
AKIBAパソデジ館では各社ゲーミング液晶大量展示中! pic.twitter.com/EsSJjIsZzu
— ソフマップAKIBA パソコン・デジタル館 (@sofmap_Gaming) February 4, 2022
モニターの大きさや発色などを実際に確かめたい方は、家電量販店の展示スペースに見に行くのもおすすめです。
ヨドバシカメラ秋葉原店やソフマップ AKIBA パソコン・デジタル館など、大型の店舗では展示スペースも広く取っており、様々な種類のモニターを見ることができます。
イラスト用PCモニター おすすめ製品を紹介
クリエイター向けのシリーズを販売しているメーカーもある
画面のサイズやパネルの駆動方式で絞り込んでも、PCモニターは種類が多すぎてどれを選べばいいのか分からない……。そんなときは、クリエイター向けのシリーズを販売しているメーカーを探してみるのも良いと思います。
ASUS
PCメーカーのASUSは、クリエイター向けのモニターとして「ProArtシリーズ」を販売しています。ProArtシリーズは広色域をカバーしており、高さ・角度の調整もしやすいモニターです。
BenQ
電化製品メーカーのBenQは、デザイナー向けの「PDシリーズ」や、輝度・色域に長けた「SWシリーズ」を販売しています。
EIZO
日本のディスプレイ専門メーカーであるEIZOのモニターも、イラストレーター・デザイナーの方に人気があります。EIZOは、クリエイティブワーク用のモニター製品として、「ColorEdge CSシリーズ」を販売しています。
EIZO❤ILLUSTRATION?
本日、イラストレーター向けのスペシャルページをEIZO Webサイトにオープンしました✨イラストコンテスト開催情報や、プロからイラストを描く皆様へのメッセージなど、耳よりな情報が盛りだくさん!?
『イラストレーター応援ページ』はこちら?https://t.co/uyr7BhX8wd pic.twitter.com/qDx4Zt0W8u
— EIZO株式会社 (@EIZO_Japan) April 26, 2022
また、EIZOは、2018年から定期的にイラストコンテストを開催しています。次回のイラストコンテストは2023年の2月頃とのことなので、興味のある方はぜひ参加してみてください。
ASUS ProArt PA247CV 23.8インチ
画面サイズ | 23.8インチ |
解像度 | フルHD(1920 x 1080) |
接続端子 | USB-C, DisplayPort, HDMI |
駆動方式 | IPS方式 |
光沢の有無 | 光沢無し(ノングレア) |
色域 | sRGB カバー率100% |
キャリブレーション | 工場出荷前キャリブレーションあり |
ProArt PA247CVは高さや角度の調整がしやすく、コストパフォーマンスも良いのが特徴です。ASUS ProArtシリーズは、他にも様々なサイズ・解像度の製品が販売されています。
BenQ AQCOLOR PD2700Q 27インチ
画面サイズ | 27インチ |
解像度 | WQHD(2560 x 1440) |
接続端子 | HDMI, DisplayPort, mini DisplayPort |
駆動方式 | IPS方式 |
光沢の有無 | 光沢無し(ノングレア) |
色域 | sRGB カバー率100% |
キャリブレーション | 工場出荷前キャリブレーションあり |
BenQ PD2700Qはデザイナー向けのモニターです。暗室モードやデザイン(アニメーション)モードなど、作業のしやすさを考えて作られています。
BenQ AQCOLOR SW240 24.1インチ
画面サイズ | 24.1インチ |
解像度 | WUXGA(1920 x 1200) |
接続端子 | DVI, HDMI, DisplayPort |
駆動方式 | IPS方式 |
光沢の有無 | 光沢無し(ノングレア) |
色域 | AdobeRGB カバー率99% |
キャリブレーション | 工場出荷前キャリブレーションあり、ハードウェアキャリブレーション対応 |
BenQ SW240は色の表現に拘った、コストパフォーマンスの良いモニターです。Adobe RGBのカバー率は99%で、sRGBも100%カバーしています。
EIZO ColorEdge CS2420-Z 24.1インチ
画面サイズ | 24.1インチ |
解像度 | WUXGA(1920 x 1200) |
接続端子 | DisplayPort, HDMI, DVI |
駆動方式 | IPS方式 |
光沢の有無 | 光沢無し(ノングレア) |
色域 | Adobe RGB カバー率99% |
キャリブレーション | 工場出荷前キャリブレーションあり、ハードウェアキャリブレーション対応 |
EIZO ColorEdge CS2420-Zは、本格的なイラスト制作に取り組みたい方に向いているモニターです。色の表現はもちろん、キャリブレーションにも力を入れている製品です。
まとめ
イラスト制作に向いているPCモニターの選び方や、おすすめの製品のご紹介でした。
PCモニターは製品数も多いので、サイズは21インチ〜27インチ、IPS方式のパネルで非光沢、sRGBカバー率100%……など、重要な項目から徐々にスペックを絞り込んでいきましょう。
色を鮮やかに映せて使いやすいPCモニターで作業できれば、お絵描きもより楽しくなると思います。