魅力的なイラストに仕上げるためには何を意識すればよいのだろう? そんなときは、イラストを構成する重要な要素の一つの「明暗のバランス」を考えてみると良いと思います。
今回は、Twitterから、Masashi Kageyamaさんのご投稿を紹介します。モノトーンの明暗の階調から考える、背景イラストのメイキングを見ていきましょう。
※この記事で紹介している内容はご本人の許可を得て掲載しています。
この記事の目次
明度から背景イラストを考える
①大まかな形を取る
キャンバスに下地の色を置いて、大まかに形を取ります。
気持ちの良いラインの流れを意識しましょう。
②暗い階調の色を置く
一種類の暗い色を描き入れます。暗い固有色の物や、影の部分を塗っています。
初めから階調数を増やすと複雑になってしまうので、シンプルに始めましょう。
③明るい階調の色を置く
先ほど置いた色よりも明るい色で、もう一種類の階調を置きます。ここでは、草や屋根などを表現しています。
色についてはまだ考えず、モノトーンのバランスに集中しています。
④一番暗い階調の色を追加する
手順②で描いた色の中に、更に暗い色を描き入れます。木の内側など、光のほとんど入らないところに色を置いてます。
⑤中間色を追加する
中間色を少しずつ増やしていきます。水面や斜面に中間色が追加されています。
⑥階調数をキープしながら色の変化をつける
空や屋根に、寒色寄りの色の変化を少しつけています。
この段階では、6種類程度の階調しか使っていません。このバランスをキープしていきます。
絵をモノクロにすることで、トーンのバランスをチェックすることができます。明暗を意識しながら進めてみてください。
⑦少しずつ色を描き足す
先ほどのシンプルなモノトーンのバランスを維持しながら、少しずつ色を描き足していきます。
空の水色や、芝の黄緑色が加わっています。
⑧ディテールを描いていく
後はディテールを描いていくだけです。
焦点となるところをリアルめに、その他は省略することを意識して、手数を抜いて描くと見やすい絵になります。
⑨階調のバランスを確認しながら描き進める
ディテールに気を取られると、モノトーンのバランスを崩しがちです。
目を細めるなど、全体を意識しながら、それぞれの階調のバランスをチェックします。
⑩描き進める
家や囲い、水面や地面などを更に描き進めていきます。
⑪イラストの完成
イラストが完成しました!
ディテールが追加されて色の数も増えていますが、全体的な階調のバランスは手順⑤の辺りから変わっていません。
前半で計画した階調のバランスを保つことで、明度のコントラストにメリハリがあって惹き込まれる絵に仕上がっています。
解説の補足
解説した描き方は一つの手法であって、絶対ではありません。Masashi Kageyamaさんも、毎回描き方は変化しており、色から描くこともあるそうです。
ただ、モノトーンのシンプルなバランスは常に意識されており、伝わりやすいメリハリのある絵に仕上げるためには、必要な要素とのことです。
今回制作した絵も、少ないストロークでディテールを詰めすぎずに描かれていて、伝わる絵に仕上げられています。
まとめ
モノトーンの明暗の階調から考える、背景イラストのメイキング解説でした。
明暗のメリハリをつけることで、伝わりやすい絵に仕上げることができます。どこか物足りない絵になってしまう……とお悩みの方は、Masashi Kageyamaさんの解説を参考に、明暗のバランスを考えながらイラストを制作してみてください。
最後に、Masashi Kageyamaさんのプロフィールをご紹介します。Masashi Kageyamaさんは、コンセプトアーティストのお仕事をしていらっしゃいます。
Masashi KageyamaさんのTwitter・ArtStationでは、他にも素敵なイラストを投稿されているので、ぜひご覧ください!