ペイントソフトには「乗算」や「スクリーン」といった、レイヤーの合成モードの機能が備わっています。合成モードの一つである「比較(暗)」も、イラスト制作の影塗りなどで便利に使うことができるので、ぜひ活用してみてください。
今回は、Twitterから、堀あおこさんのご投稿を紹介します。レイヤーの合成モードの「比較(暗)」を活用した、色塗りのテクニックを見ていきましょう。
※この記事で紹介している内容はご本人の許可を得て掲載しています。
イラストで便利な影の付け方。比較(暗)を活用した方法
比較(暗)の概要
合成モードとは何か
PhotoshopやCLIP STUDIO PAINTなど、多くのペイントソフトでは、一つのレイヤーに対して合成モードを設定することができます。
設定した合成モードに応じて、下のレイヤーに描画した内容と合わさって様々な効果が発生します。
〔乗算〕や〔スクリーン〕、〔発光〕など、合成モードを使い分けることで、デジタルイラスト特有の表現が可能となります。
比較(暗)はどのような合成モード?
〔比較(暗)〕は、下のレイヤーと比較して、暗い部分だけを表示するレイヤーの合成モードです。
※CLIP STUDIO PAINTでは、「カラー比較(暗)」という名称です。
比較(暗)の効果
〔比較(暗)〕の効果を見てみましょう。 図解では、明るい色と暗い色を使って簡易的な人物の顔を描き、別レイヤーに塗った中間の明るさの円を上から重ねています。
上のレイヤーの合成モードが〔通常〕の場合は、上のレイヤーの円がそのまま覆い被さるように描画されます。
上のレイヤーの合成モードが〔比較(暗)〕の場合は、上のレイヤーの円を重ねても、下のレイヤーの目と口の部分が優先的に表示されていますね。
このように、〔比較(暗)〕は重なった二つのレイヤーの明暗を比較して、暗い部分のみを表示することができます。
比較(暗)の活用方法.その1
暗い部分のみを残せる〔比較(暗)〕の合成モードを、イラスト制作で活用してみましょう。
①パーカーに淡い影を入れたいときの問題点
パーカーにもっと淡い影を入れたいけれど、ベース色のレイヤーと濃い影色のレイヤーは結合されてしまっている……。
合成モードを〔通常〕にして上から淡い影を塗った場合、濃い影の箇所にはみ出したときに濃い影が消えてしまいます。
合成モードを〔乗算〕にして上から淡い影を塗った場合でも、濃い影の箇所にはみ出すと濃い影が更に濃くなってしまいます。
濃い影に影響させずに、上から淡い影を塗る方法はないのでしょうか?
②便利な解決方法
そんなときに便利なのが、〔比較(暗)〕の合成モードです。
淡い影を入れるレイヤーの合成モードを〔比較(暗)〕に設定して、ベース色と濃い影色の間の明るさの色で、淡い影を入れてみましょう。
ベース色より暗いけど、濃い影色より明るい色であれば、濃い影の箇所には影響させずにベースの部分だけに色を乗せることができます。
※合成モードには、〔比較(暗)〕と逆パターンの〔比較(明)〕もあります。合成モードを〔比較(明)〕に設定すると、下のレイヤーと比較して明るい部分だけを表示することができます。
比較(暗)の活用方法.その2
①影とベース色の間に色を挟みたいときの問題点
影とベース色の間に良い感じの色を挟みたいけれど、レイヤーが分かれていない……。
陰影を見栄え良く表現する際に、影とベース色の間に、彩度の高い別の色を置きたいことも多いと思います。
②中間の色を置く
別レイヤーを作成して、影よりは明るいけどベースよりは暗い色を、ざっくり置きましょう。
③比較(暗)で簡単に解決
中間の色を置いたレイヤーをクリッピングして、レイヤーの合成モードを〔比較(暗)〕に設定しましょう。
影の部分には影響させずに、ベースの部分のみに色を入れることができました。
まとめ
合成モードの「比較(暗)」の解説や、イラスト制作の色塗りで活用する方法の紹介でした。合成モードを「比較(暗)」に設定することで、下のレイヤーの暗い部分のみを残したまま、上から色を塗ることができます。
暗い部分には影響させずに上から色を塗る方法はないかな……とお悩みの方は、堀あおこさんの解説を参考にしてみてください。
最後に、堀あおこさんのプロフィールをご紹介します。堀あおこさんは、デザイナー・イラストレーターをしていらっしゃいます。
堀あおこさんのTwitterやWebサイトでは、他にも素敵なイラストやロゴデザインを投稿されているので、ぜひご覧ください!