ファンタジー作品のキャラクターにナイフを持たせたいけれど、ナイフはどうやって描けば良いのだろう? ナイフにも様々な種類・ディティールがあるので、世界観やキャラクターに見合ったナイフに仕上げたいですね。
今回は、pixivからyocky6109さんのご投稿を紹介します。ナイフの描き方の手順やデザインの方法、部位の役割を見ていきましょう。
※この記事で紹介している内容はご本人の許可を得て掲載しています。
※当解説は、yocky6109さんがpixivで投稿された銃の解説講座、「君もガンスミスにならないかい?」の続編に当たる講座です。
この記事の目次
ナイフの描き方の手順
当解説は、ナイフを描いたことがない方や、イラストがマンネリに陥っていて新しい分野を開拓したい方に向けた講座です。
作品の幅を広げるきっかけのための講座であり、必ず解説の通りにしなければならないわけではありません。
食器としてのナイフというよりは、道具や武器としてのナイフの要素が強めです。
描く前の準備
①どうしたいかを考える
- パンクな世界にしたい
- 絵にワンポイント入れたい
- クールな性格を表したい
キャラの位置づけや作品のゴールを定めておくと、修正・加筆がしやすいです。
また、ナイフは身近な道具なので、「危なさ」や「痛み」なども連想させやすいです。
②設定やコンセプトを考える
- 陸軍兵士の格闘装備
- キャンプの小道具
- サイコパスの折り畳みナイフ
いわゆる、設定を詰める作業です。
設定やコンセプトを考えておくと、ナイフにどのようなディティールを入れて、どんな色をつければ良いかが分かりやすくなります。
1.全体のバランスを決める
今回は、現代チックな多用途ナイフを描いていきます。用途によって柄と刀身のバランスが違うので、幅・長さの比を意識するとそれっぽくなります。
解説で作画するナイフは、α:β = 1:1、x:y = 1:1ぐらいに設定しています。
- 折り畳みナイフ α<β、x<y
- 銃剣(1870〜1945) α≦β、x>y
- サバイバルナイフ α≧β、x≧y
- 包丁・ダガー α>β、x>y
2.外形線を引く
外形線の引き方については、後述の〔解説図:2-1〕で詳しく解説しています。
- コツ1:「アタリに盛る」のではなく「アタリを削る」
- コツ2:「刺すなら尖らす」、「切るなら丸める」
- コツ3:「道具なので使いやすさを意識する」
以上の三つを意識すると良いです。特にコツ1は、メカや無機質なものを描くときに非常に便利なテクニックです。
3.ディティールアップ
ディティールについては解説する内容が多いので、後述の〔解説図:3-1〕以降を参照してください。
4.完成
ナイフのイラストが完成しました。
必要に応じて、鞘や奥まっている場所にシャドウを入れて完成です。
レイヤー構成
レイヤー構成は解説図のようになっています。
ベタ塗りのレイヤーは見やすいように色をつけているだけなので、無くても問題ありません。
ナイフの外形線
ナイフの外形線の描き方
①まずは直線でイメージする
直線は定規やツールを使ってイメージ通りに描けるけど、曲線はイメージ通りに描けなかったり時間がかかったりしてしまう……。
曲線でお悩みの方は、まずはイメージに近い形を直線で作ってみると、形をかっこ良く取れると思います。「盛る」というよりは「削る」ことを意識してみましょう。
②直線から角を丸める
納得のいく形状ができたら、角を丸めてみましょう。丸める場所は、角張ってて使いにくそうなところや、丸まってた方が切れ味が良さそうなところです。
どのように丸めるかはセンス・経験・知識が問われてきます。センスと経験は反復練習で鍛えて、知識は研究をして身につけましょう。
ナイフの外形線の種類
ナイフの外形の種類を載せています。
- クリップポイント
- ドロップポイント
- スピアポイント
- トレーリングポイント
- スキナー
- ユーティリティ
- ケーパ
- アメリカボーイ
- サバイバル
- ダガー
ナイフのディティール
シースナイフのディティール
シースナイフの各部名称の抜粋とディティールの解説です。ピストルのように、必須の部品はありません。
リカッソとファスニングボルトを描き込むと、それらしくなるとのことです。
- ポイント:ブレードの先端
- ブレード:刃の部分
- リカッソ:ヒルトとポイントの間の平面
- ヒルト:指を守る部品
- グリップ:握る部分
- ファスニングボルト:グリップを止める部品
- ソングホール:紐を通す穴
- ブラッドグルーブ:刺さったナイフを抜けやすくするための溝
- 滑り止め:事故の防止用
- フィンガーチャンネル:指を正しい位置に誘導するための溝
フォールディングナイフのディティール
フォールディングナイフの各部名称の抜粋とディティールです。
飛び出しナイフでない場合は、ネイルマークは描き込みましょう。また、ロックリリースを描く場合は、ロックバーピンもセットで描き込むと、それらしくなります。
- ポイント
- ブレード
- ネイルマーク:ブレードを出すときに爪をかけるところ
- ブレードタング
- ビポットピン:刃の回転軸のピン
- ボルスター
- グリップピン
- ロックバーピン:ロックバーの支点になるピン
- ロックリリース:ロックバーの力点
- ソングホール
ナイフの描き分け方Ⅰ
次は、ナイフの描き分け方についてです。
銃は、科学がある程度発達した世界観でなければ登場させるのは難しいです。一方、ナイフは、昔から現在まで、SF・ファンタジー問わず登場させやすい道具です。
今回は、同じベースから、ファンタジーとSFの二種類のナイフを描き分けています。
ファンタジーのナイフの設定
飛龍の下顎から削りだしたサバイバルナイフです。骨・牙・オリハルコンなど、ファンタジー世界独自の素材や形状、装飾を付けると良いかもしれません。
エフェクトで炎や稲妻を追加しても面白そうですね。
SFのナイフの設定
対パワードスーツ用の高周波コンバットナイフです。超合金や強化プラスチックなど、実在する素材やそれらの未来の形を多用すると良いかもしれません。
振動や熱などを発生させる機械的要素を取り込むと、より味が出ます。
ナイフの描き分け方Ⅱ
次に、一つの世界観の中に、同じタイプのナイフが2種類出てくる場合です。今回は、二カ国間の戦争を描く場合で考えてみます。
銃の出来栄えに限らず、細かい軍用品の出来栄えで、どういった国で、どういった情勢なのかが語らずに分かるようになるとのことです。
架空戦記や近代チックなファンタジー作品を描く方は、味方役・敵役の軍用品の細かい違いを描き込むことで、作品のストーリーを示唆できます。
帝国式銃剣
簡素な構造と少ない部品点数で、大量生産が可能です。
このことから、徴兵制や植民地からの召集兵で数が多い、あるいは財政に余裕がないなど、世界観が見え隠れします。
公国式銃剣
帝国のものと比較して部品点数や製造工程も多く、儀礼的な趣も見て取れます。
このことから、工業力が高い、あるいは過去の栄光を忘れられない時代遅れな国、ということが読み取れます。
登場人物の思想や倫理観も表れることがあります。
ナイフの鞘の描き方の手順
ナイフの鞘の描き方の手順を解説しています。
- ナイフのレイヤーの上に新規レイヤーを作り、刀身をなぞります。
- 描画した範囲を選択して拡大します。
- 更に新規レイヤーを作成して、形を整えます。
- ディティールを施して完成です。
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まとめ
ナイフの描き方の手順やデザインの方法、部位の名称・役割の解説でした。ナイフの描き方が分からずにお悩みの方は、yocky6109さんの解説を参考にしてみてください。
最後に、yocky6109さんのpixiv・Twitter・coconalaをご紹介します。他にも素敵なミリタリー・SF作品のイラストを投稿されているので、ぜひご覧ください!