自転車に乗ったキャラクターを描きたいけれど、自転車のパーツの描き込みが大変……。そんなときは、画面の見せ方やシチュエーションを工夫すると、作画の労力を減らすことができます。
今回は、pixivから松本規之さんのご投稿を紹介します。自転車に乗ったキャラクターの作画の手間を減らす方法や、自転車のパーツの描き方を見ていきましょう。
※この記事で紹介している内容はご本人の許可を得て掲載しています。
この記事の目次
自転車の描き方
自転車の描き方①.手間を減らす作画例
自転車に乗ったキャラクターの作画の手間を減らすことができる、レイアウトの例を載せています。
- 下側を映さない
- 漕がずに滑走させる
(地面を下り坂にすると自然) - リュックなどで車体を隠す
(ホイールは見せる) - 手元のアップ
(シフト操作などを見せる) - 駆動系を見せる
- 後ろ姿にする
(ロングで人数を入れたいときに、作画カロリーを減らせる)
- ロングにする
(自転車を小さくして、描き込みを減らす) - 前方からのカメラ → ウエストショット
- バストアップ
- 滑走 + ロング
難しい箇所を隠す
自転車の複雑なパーツは、パニアバッグで隠してしまいましょう。パニアバッグとは、自転車の後輪に取り付けることができるバッグのことです。
絵柄をデフォルメする
キャラクターをデフォルメすることで、作画の労力を減らすことができます。一番ハードルの低い方法とのことです。
写真をトレスしてパターンをストック
色々な角度から自転車を撮影して、よく使うカットの写真をストックしておきましょう。
解説図のような引きのカットでは、あまり細かく自転車を描き込まない方が良いとのことです。アップのカットでは描き込みの量が多いため、その都度、描いた方が良いかもしれません。
カットを分割する
キャラクターの全身と背景が映っているカットは、作画に労力がかかります。カットを分割することで、作画の負担を減らすことができます。
- 路面で足元を隠す
- 坂の角度を見せる
- 前方からの顔アップ
- 後ろからのロング
自転車の描き方②.ホイールを描く順番とヘルメットの作画
ホイールを描く手順
- 丸を描きます。
- ホイールの厚みを出します。
- タイヤを描きます。
- リムを描きます。
- リムの幅を出します。タイヤの丸みなども修正します。
- スポークを描きます。スポークは全てを描かずに、描くところは描いて抜くところは抜きます。
ヘルメットの作画は2Dか3Dか?
ヘルメットはキャラの表情の変化に合わせてデフォルメのレベルが変わります。そのため、ヘルメットを3Dで作ってしまうと、対応しきれないと思われます。
自転車の描き方③.パーツの形を捉える
ロボットなどで使われる四角の形は、表情がつけやすいです。
反対に、自転車の場合は線と円の構成なので、表情がつけにくいとのことです。
自転車をフリーハンドで描くコツとして、フレームから描くと良いかもしれません。
スポークの形
ホイールのスポークは、二つの傘をくっつけた形をイメージすると分かりやすいとのことです。
フレームの形とホイールの高さ
フレームの形は覚えてしまいましょう。ホイールの軸は、前輪と後輪で同じ高さです。
前面から見た自転車を描く手順
- フレームを描きます。
- フォークをつけます。
- ホイールのアタリを描きます。
- ハンドルなどの基本パーツをつけます。
- コンポ(自転車の部品のまとまり)を描きます。
解説図では、自転車の各パーツに強いパースがかかっています。パースをつけてハンドルを傾けると、自転車に表情が出るとのことです。
自転車の描き方④.フレームの構造
フォークの角度
フォークの角度が寝ていると、ハンドルがまっすぐになろうとする力が強くなり、直進性が良くなります。
フォークの角度が立っている自転車はレース向きで、ハンドルの反応が良いです。
チェーンステーの長さ
チェーンステーが短いと、力の伝達が早くなり、しなりが少なくなります。
チェーンステーが長いと、力の伝達が遅くなり、乗り心地が快適になります。また、回頭性(ハンドルを切ったときの向きの変えやすさ)も良くなります。
シートチューブの角度
シートチューブの角度が立っていると、人間が走るときと同じ姿勢になります。パワーが出る短距離向きです。
自転車の描き方⑤.ブラケットの握り方
ブラケットを垂直に握るのは、初心者っぽい印象が出てしまいます。また、疲れたときの握り方でもあるとのことです。
ブラケットを横(両ワキ)から握ることで、上級者っぽい印象を出すことができます。キャラクターのポーズのイメージとして、Uの字のアーチを思い浮かべましょう。
まとめ
自転車に乗ったキャラクターを描く際に手間を減らす方法や、自転車のパーツの描き方の解説でした。画面のレイアウトやコマ・カットの見せ方を工夫することで、自転車を作画する手間を減らすことができます。
自転車やサイクリングの絵を描こうと思っていらっしゃる方は、松本規之さんの解説を参考にしてみてください。
最後に、松本規之さんのプロフィールをご紹介します。
松本規之さんは小説の挿絵や漫画のお仕事をしておられ、『南鎌倉高校女子自転車部』 (BLADEコミックス)やイラスト画集など、作品を発表していらっしゃいます。
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