時代劇、遊郭、舞妓さん。そして和式の結婚式や、お正月、年賀状のイラストなどに、日本髪を描いてみたいと思ったことはありませんか?
今回はうめこさんがpixivにご投稿していた「日本髪の描き方メモ」をご紹介します。
しっかりと構造から説明しているので、分かりやすくてとても参考になりますよ。
※この記事で紹介している内容はご本人の許可を得て掲載しています。
日本髪のイラスト描き方講座
日本髪の構造
まずは日本髪の構造をご紹介します。
日本髪は4つの髪の毛の束から成り立っています。
1.前髪
2.鬢(びん)顔のサイドの髪
3.髷(まげ)頭頂部の髪
4.髱(たぼ・つと)後方の髪
それぞれ形を作り整えながら、ポニーテールのように後頭部でまとめていきます。
最後に、まとめた髪で髷(まげ)を形作り、装飾品を加えます。
これが日本髪の基本構造です。
※各所のバランスは、時代や地域、身分や年齢に応じて様々な流行があるそうです。
※髱は、江戸では「たぼ」、京都・大阪などの上方では「つと」と呼んでいたそうです。
※日本髪の源流「唐輪(からわ)」
安土桃山時代(15世紀末頃)から遊女などがはじめた結び方です。
髱(たぼ・つと)、鬢(びん)など、髪の毛の張り出しはまだありません。
さまざまな日本髪
江戸時代中期(1750年代~1770年代初旬頃)の、鶺鴒髱(せきれいづと)は、セキレイの尾から連想された日本髪です。髱がの先が上がっていて、着物が汚れにくくなっています。
江戸時代後期に流行した燈籠鬢(とうろうびん)です。左右に大きく形作った鬢(びん)が、石灯篭のようにうっすらと向こうが透けてみえることでこの名前がつきました。髱(つと)はほとんど張り出していません。
現代上方の舞妓さんの日本髪です。髱(つと)はわずかに上の方に膨らんで、全体的に丸いシルエットになりました。
日本髪の描き方
構造が分かったところで、「丸髷(まるまげ)」といって、江戸時代の既婚者に一般的だった日本髪を例に、描き方をご紹介します。
(1)前髪を描く
頭部のアタリをしっかり描いたあと、前髪を描きます。
ポンパドールのようなふくらみをイメージしてください。
(2)鬢(びん)の形を取る
顔の両サイドの髪の毛、鬢(びん)を描いていきます。横にふくらんでいるように描くとよいでしょう。
(3)髷(まげ)を載せる
後頭部に髷(まげ)を描きます。若いほど髷(まげ)が大きかったそうです。
(4)髪飾りを描く
櫛、かんざし、髷(まげ)の下の布など、髪飾りで装飾をします。
櫛は前髪と髷(まげ)の間に、前髪を留めるようにやや前傾して刺さっています。
髱(つと)からのおくれ毛や額の髪の生え際、かんざしの種類やお化粧方法にもこだわると、より日本髪が引き立ちます。
日本髪の描き方のコツ
日本髪は日本人の顔に似合うように編み出された髪型です。
日本人の頭部は、欧米人に比べて奥行がせまく、後頭部も丸みがすくないです。
そのようにアタリを取り、髪の毛を大き目に意識して描くと、よりバランスよくなるそうです。
定番の日本髪の髪飾りの描き方
玉かんざし
(1)丸を描いて、中心となる部分に目印をつけます。
(2)目印から球のようにアタリを取っていきます。
アタリに従って、球っぽさを意識しつつ花びらなどのモチーフを並べていきます。
(3)可愛らしい玉かんざしの完成です。房をつけるとより可愛らしいイメージになります。
未婚の若い女性は、可愛らしいアイテムを身に着けています。
前髪に小裂(こぎれ)をリボンのように結んでいることが多いです
様々な櫛やかんざし
日本髪以前の女性の結髪の変遷
古代
男女ともに結い上げていましたが、髪型には性差があったそうです。
シャーマン(巫女)を象った埴輪などによると、頭頂部に集めた髪を折りたたんでまとめた、島田髷(しまだまげ)のような結髪もありました。
奈良時代
律令制により厳格な服制が定められた時代です。
宮廷所間などは当時の唐風を模し、技巧を凝らし装飾品の添えられた華やかな結髪がありました。
平安時代中期
上流階級の髪型はシンプルな下げ髪が主流となりました。
中国風の凝った結髪や服装は徐々に形骸化していき、儀礼などの正装に名残をとどめるのみとなりました。
労働者である庶民階級は、数か所をくくった髪束を頭部に沿って巻き付けるようなものなど、様々なまとめ髪をしていました。
平安時代末期~鎌倉時代
白拍子(男装し、今様を歌った遊女)には、水干(すいかん/男性の平安装束のひとつ)を着ているけれど、烏帽子を被らずに結髪で踊るといういでたちも見られたそうです。
戦国時代-江戸時代
江戸時代に発展する日本髪の源流ともいえる唐輪髷(からわまげ)は、遊女などから広まりました。髪油も使わずに、梳き上げた髪を頭頂部で結んだけの装飾が少ないあっさりしたものだったようです。
まとめ
日本髪といっても、さまざまな種類があることが分かりました。
構造や歴史を調べて描くとより作品が存在感のあるものになります。
いつの時代も髪型には流行が表れて、その人を魅力的に見せるものです。
作品にも活かしていきたいですね。
最後に、うめこさんのTwitter、pixivをご紹介します。
日本髪の美しい女性をはじめとして、素敵な作品をご投稿されています。ぜひご覧ください!
うめこさんのTwitterはこちら
うめこさんのpixivはこちら