これから背景イラストを学び始める方は、モチーフの選び方・見栄えのする構図の作り方・自然物の描き方など、基礎からポイントを学ぶと良いと思います。
今回は、Twitterから池上幸輝さんの背景講座を紹介。初心者の方のための背景の描き方を見ていきましょう。
※この記事で紹介している内容はご本人の許可を得て掲載しています。
この記事の目次
初心者の方のための背景の描き方講座
01.背景の構図の作り方とパースのつけ方。空と草原で構成しよう
①自然物はパースがずれてもバレにくい!
人工物は箱状の物が多く、パース線に沿って描かれることが多いです。パースに沿った背景は、わずかな角度の間違いが明るみに出てしまう上に、透視図法を使っても歪んでしまうことがあり、作画が大変です。
自然物は人工物に比べて形が不規則な物が多く、パースがズレても分かりにくくなります(パースがない訳ではありません)。
雑草や雲にやや遠近感がなかったり、サイズが多少ちぐはぐしたりしていても、それっぽく見えやすいです。また、キャラクターも配置しやすい背景モチーフです。
②キャラクターを空と草原で挟もう
単純に空と草原を配置すると、草原を地平線まで描いたり、遠くの山々を描いたりする必要があります。
カメラの位置を下げることで、草原の作画コストを減らすことができます。カメラを下方から上に傾けているので、人物をややアオリで描きましょう。
角度がきつくても、空と草原で挟むことができます。
Tips
レイヤー構成に関しても、空レイヤーと草原レイヤーの間にキャラクターレイヤーを挟んであげると、描きやすくなります(レイヤー数3枚の構成を推奨している訳ではありません)。
02.背景イラストの最背面に置く、空と雲を描こう!
①グラデーションが決め手!背景の空の色
空の上の方は濃い青色、下の方は淡い青緑色と、基本的に空は下の方が明るいです。
慣れてきたら、色相を変化させてみましょう。
オススメの色合いは青系から青緑系へのグラデーションです。濃淡も忘れないようにしましょう。
カラーサークルの真下辺りの色相から、少しずつ反時計回りに色相を変化させるイメージです。地平線付近が黄色っぽく見えると、空気の遠近感が出ます。
※リアルな空は結構くすんでいるので、写実的に描く場合は落ち着いた色を使いましょう。
②もくもく立体感!雲の描き方
雲を描く際にオススメのクリスタブラシを紹介しています。どのブラシも、色を「塗る」のではなく「置く」イメージで、トントンと描くと良いかもしれません。
(1).にじみ縁水彩
メリット:綿菓子のようにフワフラ描くことができます。
デメリット:ハッキリとした表現が苦手です。
(2).水彩毛筆
メリット:ハッキリもふんわりも描きやすいです。
デメリット:ばかしに時間がかかりやすいです。
(3).墨 - ややかすれ
メリット:明暗などがハッキリと描けます。
デメリット:ふんわりとした表現は苦手です。
雲の立体感
雲は透過性が高いので、立体感の出し過ぎに注意しましょう。程よくフワッとした感じで、球をイメージして明暗を当てはめると描きやすいです。
雲の配置
流れのある雲を人物に向けて流すと、人物を目立たせることができます。また、人物を囲うように雲を置いても、人物が目立ちます。
雲は形の自由度が高いので、主役を目立たせるために活用しましょう。
Tips
空や雲の色は、季節や気候、ファンダジー度やリアル度によって大きく変化します。自分に合った色合いを探しつつ、様々なパターンの雲を描けると良いかもしれません。
03.色とシルエットを意識!草原の背景を描こう!
①緑を上手く扱おう!草原の色
植物は緑のイメージが強いですが、鮮やかな緑色ばかり使うと浮いてしまうこともあります。
理由なく鮮やかにしすぎると目がチカチカしてしまうので、少し彩度を落とすと良いかもしれません。
色相豊かに「とりあえずそれっぽく」描きたい方に向けて、配色のテンプレートを掲載しています。暗い所・明るい所・遠い所の3種類の草原の色を使ってみてください。
※風土や光源などで色は変わるので、あくまで配色パターンの1つです。
②ブラシを活かそう!草原の形
全ての雑草を描くのは大変です。草原の流れを意識して、2ステップで描きましょう。
STEP1
横向きのブラシストロークを意識します。水彩毛筆などで塗り跡を残しつつ大まかに描きます。
STEP2
色の境界に雑草風のタッチを入れます。遠くの草まで描かなくても大丈夫です。
③目指せクオリティUP!ちょっとしたコツ
草原は、のっぺりと単調になりやすいです。単調さを回避するための方法を3つご紹介します。
(1).唐突に影の部分を描く
草原のへこみを意識します。サイズを大・中・小と分けるとバランスが良くなるかもしれません。
(2).左右や前後にグラデーションを作る
草原の左から黄色を加算(発光)で足しています。やり過ぎるとコントラストが下がったり、本来の色が活かせなかったりするので、やみくもに使いすぎない方が良いかもしれません。
(3).ハッキリと影を落とす
画面外からの投影を意識します。明暗の境界は丁寧に描きます。
オススメのブラシ
草原を大まかに描く場合は、水彩毛筆がオススメです。筆圧とブラシサイズを変えながら描くと、自然物らしいランダムな感じが出せます。
細かく描く場合は、輪郭がハッキリとしたブラシなら何を使っても構いません。池上幸輝さんは「水多め」のブラシを使うことが多いとのことです。
Tips
髪や布と草原のなびき方を揃えると、風を感じる絵になります。浮いた雑草も良い感じに見えます。
04.まとめ。背景イラストを実際に描いてみよう
①まずはコレ!王道配置
講座の内容を踏まえた実践です。まずは構図を決めましょう。
スタンダードの配置を意識して、カメラアングルを決めています。
②アレンジ!やや変則的な構図
アレンジとして、3パターンの変則的な構図をご紹介します。
(1).キャラクターをアップで描きたい場合
アオリの構図で、キャラクターにカメラを近づけています。
(2).草原を描きたくない場合
キャラのボーズの自由度が高い構図です。
(3).空を描きたくない場合
キャラクターを俯瞰のアングルで描きましょう。木漏れ日と相性が良いかもしれません。
③ワンドロ!実際に描いてみた
スタンダードな構図で、キャラクター・空・雲・草原を描いています。皆さんも色々な構図を試してみましょう!
Tips
もの足りない場合はオブジェクトを増やしましょう。岩や花、月や飛行機雲などを入れると見栄えが良くなります。
まとめ
モチーフの選び方や構図の考え方、自然物の描き方を解説した背景講座でした。当講座は背景初心者の方がそれっぽく描くための講座であり、自然物がどうしても苦手な方は無理して描かない方がよい場合もあるとのことです。
これから背景を描き始める方は、池上幸輝さんの背景講座を参考にしてみてください。
最後に、池上幸輝さんのプロフィールをご紹介します。
池上幸輝さんはイラストレーターをしていらっしゃり、Webサイト「アキバ運輸」でオリジナルグッズを公開されています。Twitterでは他にも素敵なイラストを投稿されているので、ぜひご覧ください!
池上幸輝さんのTwitterはこちら
「アキバ運輸」 Webサイト