厚塗りをやりたいけど、どういう風に手順を進めていけばいいのか分からない……という方もいらっしゃると思います。
油画で多く見られる、絵の具を何色も塗り重ねて表現したような重厚感のある塗り方が「厚塗り」ですが、順序立てて進めていくと実は思ったより少ない工程で仕上げる事も可能な塗り方です。
厚塗りに興味のある方、または苦手な方へ、今回は厚塗りによる女性キャラの髪の塗り方をメイキング形式で紹介していきます。
この記事の目次
厚塗りで女性キャラの髪を描くコツをメイキングで紹介
1:キャラの顔と髪型のラフを引く
まず坊主頭状態のキャラクター描き、その上に別レイヤーで髪の毛を乗せます。今回はボブカットにしました。
2:厚塗りの髪は線ではなくシルエット・陰影から描く
上記ではラフ線で髪の毛を乗せましたが、あくまでこれはアタリとして扱い、ここからは線ではなく色の塗りによるシルエットで髪を描いていきます。
髪の毛と頭のレイヤーは予め分けておきましょう。
また、髪のレイヤーフォルダはシルエットのマスクを作っておくことで、細かいはみだしを気にせず作業に集中することができます。
先のラフ線に沿ってざっくり単色で髪のシルエットを描きます。
3:乗算でまずは髪型をざっくり。筆ツールなどで単色で描く
乗算レイヤーを用意し、太めの筆ブラシで大まかな髪の陰影を描きます。光源は右斜め上に設定しました。
頭の上部分は明るく、眉毛から下は影となるイメージです。
影色の設定は上図の通りです。
乗算レイヤーで塗っているので、薄い色となっています。
4:ハイライト部分の色を乗せる。光源を意識して
通常レイヤーでハイライトを加えます。
影を塗る時とは逆に、眉毛から上が明るくなるイメージです。
つむじの位置も意識しつつ、きれいな天使の輪が出来るように描いていきます。
5:最初の色より少し明るめの色で髪の束感・流れを描いていく
ベースの色より少し明るい色で、髪の流れに馴染ませるよう丁寧に描きます。
顔→後頭部にかけて光が当たる箇所が少なくなる事や、後頭部の丸みの立体を意識しながら、ストレートに落ちる髪の毛の質感を表現していきます。
差が分かり辛いですが、上図がベースの色との違いです。
■の部分が塗った箇所です。
6:さらに一番明るい色をハイライトとして乗せる
オーバーレイレイヤーで最も明るい部分のハイライトを描きます。
描きすぎず、できるだけ1か所に留めるのがコツです。
ハイライト色の設定は上図の通りです。
オーバーレイレイヤーで塗るのを踏まえて、蛍光色の一歩手前ぐらいのイメージで、明るい水色を選んでいます。
7:黒を入れることでコントラストが生まれリアルに
ハイライトの際や一層濃い影となる部分に黒を置いて、艶を引き立たせます。
8:なじませるように意識し、細かい髪の毛を足して仕上げ
毛先を削って揃え、最後に細かい髪の毛を描き加えて完成でjす。
最終的な髪の毛のレイヤー構成は上図のようになりました。
まとめ
いかがだったでしょうか。
厚塗りは線画を描かずとも立体感を表現できる塗り方ですが、順序を追うと大まかな形→影→光→中間色→細部の調整……という風に、実はアニメ塗りの延長上の塗り方であるとも言えます。
慣れれば、線画で表現するより時間や手間が省ける塗り方ですので、チャレンジしてみてくださいね!