下書きは上手に描けるけど、いざペン入れとなるとイメージ通りに描けないと悩んではいませんか?「ペン入れがなかなか上達しなくて困っている...」という初心者の方のために、アナログで失敗しないペン入れのコツをご紹介していきます。
この記事の目次
アナログイラストのペン入れとは
イラストを描きたいと思ったら、多くの方はアナログイラスト、つまり、紙に直接イラストを描くことから始めるのではないでしょうか。
しかし、いくらイラストを描いてみても、ペン入れの際にはどこか雰囲気の硬いイラストに仕上がってしまうことも多いと思います。せっかく下書きで描いた風景・キャラクターが、ペン入れをしてみると頭の中のイメージと全く違い、途中で投げ出してしまう人もいることでしょう。
ペン入れは初心者にとって難所の一つと言えます。上手くいかない原因は多々ありますが、美しい線を描くためには何度も同じ作業を繰り返してコツを掴むしかありません。失敗する原因と、上達するために意識するポイントをおさえて描くことで、イラストは格段に上手くなります。ペン入れのコツともいえる技術を習得するために、絵師たちの上手なイラストを参考にしながら練習を重ねていくことが上達への近道です。
仕上げはデジタルでする人も多い
ペン入れの仕上げをデジタルで行う人も少なくありません。なぜなら、デジタルで行うことにより、線の濃度、曲線の角度を調整できるといったメリットがあるためです。アナログと比べてより細かい修正が行えるため、完成度の高いイラストに仕上がりやすくなります。
また、ボタン一つで何度もやり直せるということも利点です。これから絵の上達を目指すのであれば、アナログだけにこだわるのではなく、デジタルで仕上げることも視野に入れてみてください。
ペン入れが上手くいかないのはなぜ?
ペン入れが上手くいかないのはなぜでしょうか?理由は大きく分けて2つあります。詳しく見ていきましょう。
力を入れすぎる
特に初心者ですと、線を引く際に筆に力を入れ過ぎてしまうことがよくあります。ペン入れという失敗が出来ない作業で体がこわばってしまい、無駄に力が入ってしまっていることが主な原因です。
まずは、リラックスした状態でペンを握り、指先だけでなく、腕全体で線を描くように意識してみましょう。このとき、僅かに腕にかかる遠心力を意識した描き方をすると、滑らかさのある綺麗な線が描けます。
下書きの線が多すぎる
初心者がイラストを描くと、どうしても下書きの線が多くなりがちです。下書きの線が多いと、線同士が重なって見えづらくなり、ペン入れの際になぞるべき本線の判別がつかなくなります。解決方法としては、なるべく1本線で下書きを描く癖をつけることです。1本線で下書きをするのが難しい場合は、消しゴムで余分な線を消してからペン入れに入るように心がけてください。
ペン入れが上達するコツ3つ
上手く描けない理由がわかったら、ポイントを意識して練習を重ねましょう。ペン入れが上達するための3つのコツをご紹介します。
線の太さを一定にしない
線の太さを一定にしないことで、より線の美しさが引き立ち、全体的にメリハリのある線画になります。特に曲線は太さを変えることで滑らかさを表現できるので、常に太さを意識して描きましょう。
線を引く際には、力加減を調整することが線の太さを変化させるコツとなります。指に力を入れたり抜いたりすることで、細かい調整をしながら線の太さを変えていきます。
紙を動かしながら描く
ペンを動かすだけではなく、紙を動かしながら描くことで曲線や波線を上手に引くこともできます。線のはらいとなる部分は、紙を動かすことで描きやすさがぐっと変わってきます。下へはらうように紙を動かしながら描くことがコツになります。自分の描きやすい角度に紙を動かして、美しい線を描けるように意識してみましょう。
影を意識する
影を描くことで物体の立体感が浮き出てくるようになり、より実物らしくなります。物体には必ず影が存在し、光の当たり方を意識した描き方がイラストの上手い下手を左右すると言っても過言ではありません。
コツとしては、常に光の向き・角度・反射を意識するように心がけてください。また、なぜここに影ができるのか考えながら描くことも重要なポイントになります。光の当たり方、影の具合を意識するようにしていきましょう。
ペンの種類と特徴
イラストを描く際にペンを使い分けていますか?ペンの種類によっては、下書きに適したペン、線画に適したペンといったものがあります。イラスト上達には道具の使い分けは非常に大事です。代表的なペンの種類と特徴を知ったうえで、自分に合ったペンを選ぶようにしていきましょう。
Gペン、丸ペン
一般的にインクを付けて描くため『つけペン』と呼ばれており、漫画家が愛用しているイメージが強いペンです。オーソドックスなつけペンは『Gペン』と『丸ペン』の2種類になります。
『Gペン』は、線の強弱が付けやすく、バリエーションに富んだ線画を描くことができるペンです。プロの漫画家として有名な手塚治虫も愛用していたようで、線1本1本に表現をつけやすく、初心者でも使いやすいといった特徴があります。メリハリをつけるため丸ペンと使い分けている人が多く、輪郭となる主線をGペンで描くことが多いです。
しかし、インクを付けながら作業するため、何度もペン先にインクを補充しながら描く必要があり、乾くまでしばらく時間がかかるという欠点もあります。
『丸ペン』は、Gペンと比べ、力加減の調節次第でより細かい表現が可能なペンです。一般的にはGペンとセットで使用し、Gペンでは描きにくい髪の毛や目などの細部を描くのに使われます。Gペンと同様にインクを使用するので、インクをつける手間とインクを乾かす時間が必要になります。
万年筆
万年筆は、Gペンと同じように筆圧次第で表現力のある線を描くことができます。インクの補充は必要ですが、Gペンや丸ペンのように描く度にインクを付ける必要はないため、持ち運びしやすく使い勝手の良いペンです。
しかし、万年筆はたびたびメンテナンスが必要になります。乾燥や気温差にも弱いので、ほっておくとペンが劣化してしまい、インク漏れが起きることもあります。適切にお手入れができる中級者~上級者向けのペンと言えるでしょう。高級品のイメージがありますが、最近では1,000円前後で購入できる商品も出ています。
ボールペン
常になめらかな描き心地で一定の太さで線を描くことができるペンです。安物でも十分イラストには使用できますが、『ジェットストリーム』のような少し高価なボールペンを使用することで、よりクオリティの高い作品に仕上げることができます。
ただし、太さを変えられないというデメリットがあるため、線を太くする場合は二重三重に線を重ねていく必要があります。手にしやすい・使い勝手が良い・持ち運びやすい、といったメリットがあるため、初心者向けのペンと言えます。
ミリペン
0.03~1.0mmと幅広い太さが用意されており、色のバリエーションも豊富にあります。力加減で太さを調整する『つけペン』とは違い、常に一定の太さで線が引けることが特徴です。ボールペン同様、インクの補充は必要なく、使い捨てなので余計な手間がかかりません。
また、種類によっては耐水性・耐光性を兼ね備えた商品もあるので、ボールペンよりイラストに特化したペンと言えます。一部の箇所だけ同じ太さでペン入れをしたい場合などにおすすめです。
ペン入れ後の消しゴムの使い方
ペン入れ後の消しゴムの使い方には気を付けていますか?
ペンに合わせた消しゴムを使うことは、綺麗な作品を仕上げるコツの一つです。ペンだけではなく、消しゴムの特徴も踏まえてイラストを描くようにしてみてください。
おすすめ消しゴム
消しゴムは用途に合わせた選び方が大事です。基本的に2種類の消しゴムがあり、それぞれの特徴に合わせて使い分けましょう。鉛筆・シャーペンで描いた線を消したい場合は『プラスチック製消しゴム』を使用します。最近では、消しやすさに優れ、誰でも軽い力で消せるような製品も多く販売されています。
選び方としては、消しクズがまとまりやすい物がおすすめです。そのほかにも、握りやすさやデザインなど、自分が気に入る消しゴムを使用するのが良いでしょう。ボールペンで描いた線を消したい場合は『砂消しゴム』を使用します。しかし、こちらは紙を削って薄くするので、使用しすぎると紙が破けてしまう危険性があります。画用紙などの分厚い紙に絵を描いた際に使用することが基本です。
プラスチック製消しゴムと比べると、綺麗に消すことが出来ず線が残ってしまうことがあるので、ここぞというときにだけ使うと良いでしょう。
シード コミケシ 下書き消し用
漫画やイラストの下書き用に特化した消しゴムが『コミケシ』です。特殊配合の生地により、軽い力で下書きの線を消すことができます。三角の握りやすい形をしており、筆圧の強い線でも軽々と消すことができる消しゴムです。
ノートやコピー紙にも使えますが、特に原稿用紙などの厚紙に使用するのに向いています。1個200円前後と安価で購入できる点もおすすめのポイントです。
コミケシは、プロもアナログイラストで描く際に愛用している消しゴムです。絵の上手い人は道具選びにも力を入れています。まずは、プロが使う道具を揃えることから始めてみるのも初心者にとってはよいかもしれません。
マルチリスイレーザー
砂消しゴムと違い、紙の表面を傷めることなく消せるのが『マルチリスイレーザー』です。ボールペンや印刷物などのインクの修正箇所を消すことができます。
ペン型の消しゴムになっており、細かい箇所の修正がしやすいメリットがあります。価格は1,000円前後と少々お高めですが、値段に見合った性能を発揮してくれるでしょう。ペン入れをする際の修正ツールとして、ぜひ手に入れておきたい品物です。
まとめ
ペン入れが上手くいかなくて悩む方も多いと思いますが、失敗する原因を知り、上手くいくコツを覚えるのが上達への近道です。
また、描きたいイラストによって適切な道具を使い分けるのも重要なポイントと言えます。自分に合った道具を選んだ上で、上達を目指して練習を重ねてみてください。