キャラクターイラストを制作するにあたって、「人間」を描くことが多いと思います。人間の体は、顔や胴体や手足など、どの部分も複雑な構造をしており、イラストにするのは大変そうです。
そこで今回は、お絵かきメモをPixivにまとめていらっしゃった、えだ ひのきさんの解説イラストから、人間のポーズや頭身、体の描き方など、キャラクターイラストを描くためのポイントについて見てみましょう!
※この記事で紹介している内容はご本人の許可を得て掲載しています。
人間の描き方
ポーズ
それでは、えだひのきさんのお絵かきメモを見ていきましょう。
ゆるい感じのモデル立ちのアタリを描く手順を解説しています。
一番右の解説イラストを見てみますと、肩幅を決める鎖骨の線、脚の付け根を決める骨盤の線、正中線を意識してアタリを描いています。
重心も意識しています。
棒人間のアタリは、身体の線を正中線として活かせる場合があったり、下書きもしやすいとのことです。
棒人間は、小さく、たくさん描けるので、スペースもとりません。
ポーズを考える際は、棒人間でイメージを固めることを意識しましょう。
頭身
自分の描きやすい頭身を見つけるとよいとのことです。
直立の姿勢だと力が入っているので、腕は体にピッタリくっついているとのことです。
骨が内側を向いているので、脚も内側に湾曲しているとのことです。
正中線
正中線はS字が基本とのことです。
キッチリ真正面のアングル以外では、人間の体のどこかの箇所が曲がってくるので、読者モデルから行列に並んでいる人まで観察してみるとよいとのことです。
その人の特徴も読み取ることができます。
立ち絵は、長いもやしを最初に描くのが楽とのことです。
また、正中線は、キャラの中心・背骨・重心(頭身も数えやすい)を表す線とのことです。
身体(胴)
肩の角度は首に対して直角ではない、へその位置はシックスパックの上から2個目にある、といったことを意識しています。
背中にくっついているハンガーみたいな筋肉のアタリ、乳首は真ん中ではなく外側にあることもポイントです。
体が屈折する際の重要な空間や、脚の付け根は上ということも忘れないようにしましょう。
体をひねると、肩と骨盤のラインの向いている方向が変わります。
体を曲げると、体の箱がこんにゃくのようになります。
背中の上方中心には、女性にもある、見えない出っ張りがあります。
肩甲骨は、肩と連動して、下がることはないとのことです。
肩を前に出すとハの字に開く、肩を後ろに反らすとギュッと閉じる、腕を挙げると肩甲骨も上がるとのことです。
腕
ヒジは腰の位置あたりの高さにきます。
肩パットのような部分は、鎖骨と胸筋を引っ張って動かすとのことです。
手のくるぶしは小指側、腕を曲げるとヒジに3つの出っ張りが見えます。
ヒジ裏は"ノ"の字、腕で一番太い部分を意識しましょう。
手
小指の先端は薬指の関節くらいの位置、薬指と人差し指はほぼ同じ長さ、親指は人差し指の関節の少し下、指には少しくびれがあるとのことです。
手のひらの縦の長さは中指と同じくらいの長さ、手のひらの横の長さは人差し指の長さとのことです。
力を抜くと"く"の字に曲がる、指先はバラバラに向いているとのことです。
人差し指から小指は上下によく動き、親指は上下左右によく動くとのことです。
また、手を開いたときに水かきが見えるように描くと、リアリティが増すとのことです。
分からなくなったら、自分の手を写真で撮って確認しましょう。
指の役割をまとめています。
親指がないとモノが持てなくなってしまい、人差し指は、モノを持つ際に親指の補助をするとのことです。
中指は、親指と人差し指の補助をして、薬指は、中指、小指の補助をしているとのことです。
小指は中指と違って、立てると優雅に見えるとのことです。
役割が分かれば、自然な場所に指が置けるとのことです。
「持つ」「持ち上げる」際などは、手や指に力を入れるので、5本の指の全ての面が揃うとのことです。
手を描く際には、ひと塊に見えるモノをまとめて描いて記号化して、細部は後で描くという方法もあるとのことです。
脚
円柱と球体関節で足は描けるとのことです。
足のかかとあたりは三角形を意識しましょう。
円柱に細長いひし形をつけると、肉の感じが出ます。
ヒザは四角いモノが出てくる感じ(曲げた際も)で描き、くるぶしは内側が上とのことです。
男性の尻は固そうに描きましたが、お好みでよいとのことです。
背中の線の延長、力が入ると尻に入る線、ヒザ裏に"H"を描くとそれっぽいとのことです。
脚の可動領域を示しています。
しゃがむ姿勢を描く際は、ヒザは胸元の少し下ということを覚えておきましょう。
足
親指は地面に平行で、他の指は急降下気味に曲がっています。
くるぶしは内側が上、土踏まずの領域、足の甲のカーブを意識しています。
足の指は、人差し指が一番長いタイプと、親指が一番長いタイプがあるとのことです。
足の裏が見えようとも通用するとのことです。
足首が曲がる限界は上下100°程度で、それ以上曲げると骨折してしまうとのことです。
足の指を、反る・丸める・ふんばる・開くといった足の指の形を描いています。
親指を下げると他の指が上がり、親指を上げると他の指が下がるとのことです。
顔
実は、丸から顔は描きづらいので、平面にすると分かりやすいとのことです。
首筋の節は、必ず耳の後ろから鎖骨へ繋ぐことを意識するとのことです。
顔を玉子型のアタリから描いています。
首は細めで、女性は目以外を小さく描くと、それっぽくなるとのことです。
子供は目と口以外が小さいとのことです。
つむじや分け目、前髪との境目や耳といった顔のパーツの位置も意識して、顔を描いています。
老け顔は
・目が小さめ
・アゴはしっかりめ
・眉間などのシワを足す
・ヒゲを足してもよい
とのことです。
幼顔は
・目が大きい
・アゴがあどけない
・シワなどはあまり描かない
とのことです。
目と鼻の延長線が、大体耳の位置とのことです。
首も老けポイントとのことで、様々な人を観察してみましょう。
正面や横顔の比率が分かったら、斜め横やアオリ・フカンも理解できるとのことです。
キャラの口を動かす際は、アゴにも気を配りましょう。
アゴを動かさずに喋れるのはアニメだけとのことです。
アオリとフカンは、おでこからアゴにかけての比率が違ってきます。
フカンでは後頭部の線を気持ち長く描くと、それっぽいとのことです。
口・鼻・目
口を描く際は
・犬歯を奥歯寄りに描くのは間違い
・口と一緒にアゴも動かす
・歯は上と下で大きさが違い、そろったりしない
・舌は力を入れると尖り、力を抜くと丸く平たくなる
・上アゴから舌が生えるのはNG
ということを気をつけましょう。
鼻は顔の中心辺りにあれば問題はなく、好きな鼻を描くとよいとのことです。
目は球体なので、目を閉じる際や、上下、横から見ても丸く見えます。
耳
斜めについていることを忘れがちになる耳ですが、個性はそこまで出ないので、気楽に描くとよいとのことです。
シワ
垂れジワ
・台形を垂れ下げるように描く。
溜まりジワ
・波線に合わせて、四角と三角を組み合わせるとそれっぽい。
吊りジワ
・気持ち弧を描きつつ払う。
被せジワ
・物と布がくっついている部分は描かない。
曲げジワ
・巾着袋をしぼった感じに似ている。
ツッパリジワ
・団子虫の甲羅のように描く。
束ねジワ
・長い丸や三角を上下にまんべんなく描く。
引っ張りシワ
・まっすぐ力を抜いた線で描く。
ねじりジワ
・スクリューさせるように描く。
描き過ぎるとダサくボロく見えてしまうので、要、布と相談とのことです。
靴
ローファーはスニーカーとは違い、くるぶしが見えるとのことです。
革靴は先端が少し反っていると、カッコいいとのことです。
靴も布の塊です。
布と布の縫い目を生足に描き足して辿って描けば、どんな靴も描けるとのことです。
いくらか描けば、自分でデザインもできるようになるとのことです。
描くときに気をつけていること
描く順
複雑なポーズの際、要である部分を先に描くと描きやすいとのことです。(椅子に座って脚を組んでいるポーズなら腰から、など)
線の強調
線を強調すると、立体感が違ってくるとのことです。(顔や体なら出っ張っているところを太くする、など)
顔ばっかり描かない
顔ばかり上手くなっても仕方ないとのことで、ふとした時に満遍なく練習しているとのことです。
描けない
キャラがダルマ状態でも放置して、急に閃いたりするまで放っておくとのことです。
ポーズがありきたり
雑誌やポーズ集を見る、画像を探す、自分でポーズをとって写真を撮る、といったことをしているとのことです。
トレース
下書きがグチャグチャだったり、右向きの顔がおかしいと感じれば、紙をもう一枚用意して、使う線・使わない線を見分けてトレースします。この作業はカッコつけた絵を描く際に繰り返すとのことで、見違えるように線画が綺麗になるとのことです。
イラストの描き方
えだ ひのきさんのイラスト制作の工程を載せています。
最初に、「こんな感じのが描きたい」とイメージしています。
腰と椅子の位置を決めましたが、腕と脚の置き場所はまだ決めていません。
ポーズからキャラクター二人の関係性も見えてきました。
関節を球体で考えるのは、画面上で立体にした際、屈折させやすいからとのことです。
腕と脚の置き場所がなんとなく決まったので、箱・丸・筒を描き足していきます。
「もう少しカッコいい椅子」などもメモをして、資料を探すのも忘れないようにしましょう。
一度、全体を描きあげます。
先ほどのイメージで表情も描いています。
・関節の手前を少し"ギュッ"としぼると描けるひとっぽい
・胸の位置を決めて、腹筋の数だけ凸凹を描くとそれっぽい
・脚の付け根やヒザの線は、乗っかるように描くと立体感が出る
直線的に描きすぎると線の強弱が少ないので、ペラペラになってしまうとのことです。
他にも、線が寄り集まっている箇所を探してみましょう。
服を描き足しています。
布によっては、固かったり柔らかだったりするとのことです。
硬ければシワはできにくく、柔らかければシワはたくさんできて、違いを楽しんで描くとよいとのことです。
他にも、イスを描き変えたり、足の位置を変えています。
ここで、"マジメに描いた"下描きが完成して、ペン入れができるとのことです。
「顔を先に描かないとテンションが上がらない」という方は、おそらく"顔が大きくなりがち"で、気をつけた方がよいとのことです。
顔と髪を描くのは案外後回しでも支障をきたさず、後に描いた方が、身体とのバランスがおかしい際に直しやすいとのことです。
ペン入れが完了しました。
線の強弱でメリハリができて、立体感が生まれるとのことです。
「どこを太くすれば分からない場合は、肩などの出っ張っている部分を太くすることが無難とのことです。
線を意図的に太くしている部分、線を意図的に細くしている部分を示しています。
キャラに対する「萌」や「フェチ」は、"脚フェチ"、"手フェチ"など各個人それぞれあり、これらを見るにしろ、描くにしろ、モチベーションが違ってくるとのことです。
それらの自分の好きな"こだわり"をイラストに盛り込んで描くことができれば、自分の武器になるとのことです!
まとめ
人間の描き方を知ることができました。キャラクターイラストが描けなくてお悩みの方や、イラストを描く際にどこから入っていけばよいのか分からずにお困りの方は、えだ ひのきさんの解説イラストを参考にしてみてください。
最後に、えだ ひのきさんのPixivとTwitterをご紹介します。他にも素敵なイラストをご投稿していらっしゃいますので、ぜひご覧ください!
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