キャラクターが存在する空間の「背景」を描く際には、パースやアイレベルといった知識が必要になってきます。ペイントツールの機能を使って簡単にパース線を描く方法や、アイレベルを意識した描き方を知ることで、キャラと背景が馴染んだイラストに仕上げることができます。
そこで今回は、イラストのパース講座についてPixivにまとめていらっしゃった、ゆえさんの解説イラストから、クリスタのパース定規の使い方やアイレベルの解説を見てみましょう!
※この記事で紹介している内容はご本人の許可を得て掲載しています。
パース定規・アイレベル講座
アイレベルを意識したイラストの描き方
まず、アイレベルを意識したイラストの描き方を見ていきましょう。アイレベル(目線の高さ)を元に、キャラクターと背景を描く手順を解説しています。
①アイレベルを引きます。アイレベルを自分の目線の高さとして解釈しています。
②作者のゆえさんより背が低いキャラクターを描いています。キャラクターの目線の位置はゆえさんの目線の位置より低くなり、少し俯瞰気味になります。
③アイレベル上に消失点を設定してパースを引きます。
④アイレベルとパース線に沿って背景やモブキャラクターを描いています。アイレベルの線上は全て同じ高さになります。
⑤キャラクターをコピーして縮小し、中心をアイレベル上に置きます。Shift+Altを押しながら縮小しましょう。
⑥全身を描きます。遠ざかると俯瞰が弱まることに注意しましょう。
⑦縮小したキャラクターを、大きさが気になる物の横に並べます。解説イラストでは、右のモブ、右の店のドア、左のモブと大きさを比べています。
⑧縮小したキャラクターと大きさを比べてみると、右のモブの頭身が違っていたり、右のドアが高すぎたことに気づくことができました。修正してラフの完成です。
アイレベル上のモノは全て同じ高さになることを解説しています。アイレベルを1.6mのラインに設定しているので、アイレベルの線と重なっているモノは全て1.6mということになります。
パース定規の使い方
続いて、CLIP STUDIO PAINTのパース定規の使い方を見ていきましょう
クリスタのツールウィンドウのサブツールから「パース定規」を選択します。
ツールプロパティでは消失点を追加できるようになっています。
1.実際にパース定規を使った作画手順を見ていきましょう。解説イラストのような直方体を描いていきます。
2.処理内容を「消失点の追加」に設定すると、キャンバスにパース線が引けるようになります。パース線を2本作成すると…。
3.新たに一つの消失点と、アイレベルの線が自動で設定されます。
4.直方体のもう一方の面のパース線を引いていきます。先ほどと同様に2本のパース線を作成すると…。
5.最初に作成したアイレベル上にもう一つの消失点が作成されます。
6.この状態でペンツールに切り替えて、キャンバスに線を引いてみましょう。引いた線は自動でパース線にスナップしてくれるので、解説イラストのようにパースに沿った線を引くことができます。
7.パース線上で、「Ctrl」+クリック(Macの場合は「Command」+クリック)を押すことで、パース線上に丸いポインタが出てきます。Ctrlを押したままポインタを動かすことで、最初に決めたパース線を任意の場所に移動させることができます。
8.パース定規を使えば、解説イラストのようにパース線に沿った作画をすることができます。
ex.ツールプロパティの処理内容を「ガイドの追加」に設定すると、ガイドのパース線を追加することができます。パース線が2本だけでは分かりづらい…という方は、「ガイドの追加」で新たな補助線を作成しましょう。
イラストに違和感がある場合
1.パース定規を使ってみたけど、何かおかしい気がする…。
2.そんな時は、アイレベルを考えてみましょう。
3.背景のみを表示してみると、違和感はなく合っているように見えます。
4.キャラクターが合っているかどうかも確かめてみましょう。キャラも同様にパースに合わせて、縮小コピーで並べています。
5.手前から3番目のキャラクターを見てみますと、首の位置と窓の下枠が同じ高さになっています。背景と合わせてみると、キャラクターが小さいことが分かりました。
6.一般的な人間の大きさであれば、解説イラストのようになります。
7.比較してみると、どれだけ小さくなってしまっているのかが分かりやすいですね。
8.アイレベルを合わせることは大切です。窓の高さを変えたり、奥行きに向かってより圧縮したりと、背景を修正しています。
左が修正前のイラスト、右が修正後のイラストです。修正をしたことによって、キャラクターと窓の大きさの比率が現実的なものになり、イラストの違和感もなくなりました。比較してみると違いがよく分かりますね。
キャラクターに背景を描き足す場合
1.二人のキャラに合う背景を描いて、絵を完成させたい場合の解説です。
2.二人のキャラの同じ高さにある部分にアイレベルを設定します。二人は大体同じ身長だと考えて、腰に合わせて直線を引いています。
3.アイレベルは撮影者の目線の高さです。アイレベルより上のものはアオリに見えて、アイレベルより下のものは俯瞰に見えます。
4.キャラクターの体の描き方もアオリと俯瞰に合わせています。
5.アイレベル上では背景も同じ高さになるので、背景も合わせましょう。元のキャラをパース線に沿って縮小コピーしてならべてみると、背景との大きさの比率が分かりやすいです。
6.背景に木を描いています。
7.遠ければ遠いほどどんどん圧縮されるので、アイレベルはほぼ地平線ということになります。(厳密にはアイレベル=地平線ではないとのことです。)
8.雲や山も地平線の上に描き加えています。
キャラと背景のイラストが完成しました!背景を描き足す場合はアイレベルやキャラとの比率を意識すると、違和感のない絵に仕上がりそうです。
まとめ
クリスタのパース定規の使い方や、アイレベルを意識したイラストの描き方の講座でした。パース線の引き方が分からない…、キャクターと背景の関係に違和感を感じる…パースやアイレベルがよく分からずにお悩みの方は、ゆえさんのイラストのパース講座を参考にしてみてください。
最後に、ゆえさんのPixiv、Twitter、ホームページをご紹介します。ゆえさんはイラストの他にも、楽曲なども制作していらっしゃいます。他にも素敵な創作物をご投稿していらっしゃいますので、ぜひご覧ください!
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