同人誌を作りたいけど、印刷所に頼むとお金がかかり過ぎる…。見栄えの良い平綴じで、コピー本を自作する方法はないだろうか?
そこで今回は、コピー本の作り方をPixivにまとめていらっしゃった、伊織ろいさんの解説から、平綴じでコピー本を自作する方法について見てみましょう!
※この記事で紹介している内容はご本人の許可を得て掲載しています。
平綴じコピー本の作り方
はじめに
当メイキングで作製するものは、B6サイズの無線平綴じ本です。
ホッチキスは使いたくない!中綴じではなくて平綴じがいい!印刷所に頼むとお金がかかるので自作したい…。
そんな方にオススメのコピー本の作り方のメイキングです。
※当メイキングでは小説本を作製しています。製本作業がメインで、本文の印刷の仕方、面付けについては触れておりません。
中綴じと平綴じの綴じ方の違いについて、簡易的な比較の図を載せています。
準備するもの
・本セット※1
・カッターマット
・カッター
・定規※2
・目玉クリップ
・ボンド
・テープ糊、のり
・クリアファイル
・木製パネル※3
・重しになる本
・筆記用具
・時間とやる気
※1…本文、本文と同じサイズの紙2枚、表紙。
※2…長い定規(鉄定規か、カッターを当てる背面が鉄のものが理想)と短い定規。
※3…イラストレーションボードや、ただの板でも、平になっているものなら何でもよい。もしくは百均などにある固いカードケース2枚など。
本の作製
B5を二つ折りしたB6サイズで作ります。
無線平綴じなので、ページ数はあまり気にせず作れますが、本文の基本は4の倍数にします。本文が始まる前に、B6にカットしたトレーシングペーパーを1枚挟んでいます。
本文セットを、B5を二つ折りした紙で挟みます。
この紙は、表紙と接着させるために使用します。
本文用紙は折った後、必ず定規で折り目を上からなぞりましょう。
爪で折り目をつけると、紙が引っ張られてよれてしまいます。
定規で折り目をなぞるのは、綺麗にするためと、本文の背を接着させる時に浮かないようにするためです。
当メイキングでは小説本を作製していますが、漫画なども同様の手順で作製することができます。
コピー本を両面印刷で作製する際の欠点は、インクジェットプリンターでの印刷で紙によっては透けてしまったり、漫画などはベタが多いとよれてしまいます。普通のコピー用紙だと裏透けが気になってしまうという方に、オススメの紙を最後に紹介します。
本体の紙を揃えます。
基本的には背表紙に合わせます。背を下にきっちり揃え、左右を固定します。
この時、背表紙の厚さを測って、表紙作製の時に活用するとよいです。
糊付けで幅が多少変化してしまうので、背表紙の幅が4mmだった場合、表紙を作る時は+0.5mmほど足して作った方が安心です。
左右を固定した後、本を開く側をクリップで固定します。
本体にそのままクリップを挟むと汚れるんじゃないかと気にする方もいると思いますが、クリップが当たる部分は表紙に固定されて隠れるので、問題ありません。
気になる方は、本体とクリップの間に紙を挟みましょう。
左右のクリップをそのままひっくり返して、背に薄い切り込みを、斜めに等間隔で入れておくと、糊が染み込んで良いです。
クリアファイルを半分に切ってしまいます。
解説イラストのように、クリアファイルを木製パネルの上に置きます。解説画像の木製パネル+クリアファイルを2セット用意します。。
クリアファイルは、本体の背をボンドでくっつける時に、綺麗にはがすために使います。同じような材質で、平らなものなら何でも代用できます。
B6サイズで作製するので、A4サイズのクリアファイルを使用しています。
ハードタイプのカードケースが百均などで売っていて、使用しやすいです。その際は木製パネルは必要なく、平らなテーブルとカードケースが2枚あれば大丈夫です。
合わせた本体の背に、ボンドを塗ります。塗りすぎに注意しましょう。
挟む前に塗ると、曲がってしまったりしてうまく濡れず、中に染み込んで失敗してしまう可能性があります。解説のように挟んだ状態で塗りましょう。
左右のクリップを外します。木製パネルの段差があるので、止めているクリップが外に出るようにして、上から挟めばずれることなく本体が固定できます。
ボンドを塗った真上に、重しがくるようにします。重しは漫画でも何でも、重ければよいです。
ボンドが乾くまで待ちます。
夏場で1時間、冬場だと3〜4時間とのことです。
複数の本を作製する場合です。
厚さにもよりますが、紙の枚数が15枚+2枚程度なら、3つくらい重ねて一気に糊付けできるとのことです。
もしくは、ずらして2冊ずつ作るといった方法もあります。
まとめて糊付けして、乾いた後に冊数分に切り離します。
本体の背にボンドを流し込んで乾かした後は、表紙をくっつけます。
今回はソフトカバーで作っていますが、ハードカバーでも作ることができます。
伊織ろいさんの場合は、本体の糊付けが終わった後に背表紙の幅を測って、印刷していた表紙に折り目を入れています。
背幅が厚ければ厚いほど見栄えがよくなりますが、裁断が面倒になります。
また、「本文をB5の用紙で作製するのだから、表紙も同じサイズで印刷!」としてしまうと、左右が足りなくなってしまいます。
必ず、表紙は本文よりも大きいサイズにしましょう。B5二つ折りサイズで表紙をA4サイズで印刷した場合、印刷の仕方にもよりますが、約4cmは背幅が作れます。
表紙を本文と同じサイズに裁断します。トンボなどがあると楽とのことです。
また、最初に背表紙の折り目を入れておきます。
解説画像のように本体を包みます。下が長いのは後ほど切れるので、問題ありません。
まずは、背表紙から接着します。
テープ糊で表紙側に糊付けして、本体と一気に合わせます。立ててやると綺麗にいきやすとのことです。
背表紙がくっついたら、解説画像にマークされている、本体と表紙が合わさる面をくっつけます。
テープ糊を解説画像のようにつけて、スティックのりで少し補強します。スティック糊は、シワなしピットがオススメです。
※必ず本文の方に糊をつけます。
糊付けをしたら、表紙を接着します。
本を閉じるように紙を被せれば、ずれることはありません。裏も同様の手順で行います。
糊付けが終わった後の本は、解説画像のようになります。
最後は、3辺をそれぞれ3〜5mmくらいずつ裁断すれば完成です。
裁断はやりやすい順番を探しましょう。伊織ろいさんの場合は、背表紙を基準に上下を裁断して、最後に本が開く側を切っています。
カッターを使用する場合は、1回では切れないことを意識して、無理に力を入れずに何度も刃を滑らせます。
本が厚いとこの作業が大変で、紙によっては裁断が綺麗にいかないものもあります。
表紙レイアウトについて
最初から背幅が分かっているなら、簡単に表紙を作製することができます。
今回は、背幅を後で合わせる時、楽に作製できるレイアウトをご紹介します。
表紙1だけを作製して、それに合わせて折り目だけを確保する手順が、一番手っ取り早く楽とのことです。
また、折り目の位置が分かりづらいという方は、折り目から背表紙を塗りつぶす手もあります。
裏に絵や文字を入れたい時は、あらかじめ本文を作って背幅を計算しておきましょう。
用紙についての伊織ろいさんの感想
本文用紙、表紙用紙についての伊織ろいさんの感想と、利点についてのご紹介です。
本文用紙
クラフト用紙
濃いめのものがベストです。薄くても裏透けしません。単価が高いことがあるのと、裁断がしにくいとのことです。
上質紙
薄口は完全に裏透けしてしまうので、中〜厚口が理想です。白はお薦めではなく、DELETERの藤色がよいとのことです。ページ数が増えるほどかさんでしまいます。
書籍用紙
クリーム色が多く、ほぼ裏透けがなく、厚さも丁度良いです。一般的な文房具屋で気軽に買えるものではなく、ネットでブロック購入となります。
表紙用紙
クラフト紙
本文がクラフトの場合、表紙も合わせると見栄えがよいです。
厚いものなら大丈夫とのことです。
特殊紙
マーメイドや文房具などにある、程よい厚さの用紙です。折れる厚さなら問題ないとのことです。
使用した紙やメーカー
A4サイズの表紙
・HISAGO クラッポメタル(ブルー)/0.15mm/119.8g(㎡)/10枚入り/60円
B5サイズの本文
・宅配市販-日本大昭和紙販(株) シフォンクリーム/斤量69kg/250枚入り/2.724円
その他、試した紙
B5サイズの本文
・DELETER COLOR PAPER 上質紙(厚口・藤色)/50枚入/5.56円
・etranger di costarica 上質紙(中厚口・スノー、アイボリー)/80g(㎡)/100枚入り/2.52円
・etranger di costarica M.ZARASHI KRAFT(70g/㎡)/50枚入/5.26円
最後に
紙はお好みのものを見つけましょう。
クラフト紙で作製した本を載せています。
まとめ
平綴じのコピー本のメイキング講座でした。見栄えの良いコピー本を自作したいと思っていらっしゃる方や、印刷所に申し込むのを躊躇していらっしゃる方は、伊織ろいさんの解説を参考にしてみてください。
最後に、伊織ろいさんのPixivをご紹介します。他にも素敵なイラストをご投稿していらっしゃいますので、ぜひご覧ください!
伊織ろいさんのPixivはこちら