ペイントツールのSAIには、イラストのペン入れをする際に便利な、「ペン入れツール」が備わっています。ペン入れツールを使いこなすことができれば、デジタルのペン入れの作業速度が上がり、綺麗な線画が出来上がると思います。
そこで今回は、SAIのペン入れツール講座をPixivにまとめていらっしゃった、tsugumiさんの解説イラストから、ペン入れツールの使い方や、ペン入れのテクニックについて見てみましょう!
※この記事で紹介している内容はご本人の許可を得て掲載しています。
SAIのペン入れツール講座
ペイントツール「SAI」のペン入れツール講座となっております。
ペン入れ前の準備
まず、下絵を用意して、ペン入れに必須のショートカットを覚えましょう。
ショートカット
①「Alt」 制御点を消します。
②「Ctrl」 制御点の移動、カーブ上でCtrlを押しながらクリックで、制御点を追加します。
③「Ctrl」+「Shift」 制御点を結合します。(※同一カーブ上の始点と終点は結合できないとのことです。)
ペン入れ前の準備
下書きレイヤーを見やすいように、30%くらいの濃さにしておきます。
不透明度の調整は、お好みでよいとのことです。
ペン入れフォルダを作成します。
その中に、「主線」、「顔」、「髪」のペン入れレイヤーを作成します。
※フォルダを作ることで、ペン入れレイヤーを結合しなくても、フォルダから一括選択ツールが使えるとのことです。
ペン線の名称
始点、カーブ、制御点、終点といった、ペン線の名称も覚えておきましょう。
ペン入れのポイント
①終点前の制御点
終点より前にある制御点は、「Alt」でどんどん消します。
②先端のくにゃっとした箇所
先端のくにゃっとした箇所の制御点も消します。
③長い線を描きたい時
(1)長い線が上手く引けません。
(2)2箇所〜くらいから分けて線を引きます。
(3)「Alt」で先端の方の、細い部分を消します。
(4)線の先端が丁度よい太さ同士になったら、制御点を「Shift」+「Ctrl」でドラッグして結合します。
(5)「Ctrl」を押して制御点を追加しながら、下書きにカーブを合わせます。
④線の途中で太さが変わってしまう時
(1)ベストの太さを選びます。
(2)ベストの太さより前の部分、後の部分の制御点を、「Alt」で消去します。
(3)「Ctrl」を押しながらカーブを伸ばします。
(4)「Ctrl」で制御点を伸ばしながら、カーブを下書きの線に合わせます。
⑤なめらかな線と、とがった線
とがらせたい箇所の頂点のすぐとなりに支点を置きます。
さらにその近くに、通常の制御点を置き、カーブの調整は緑色マークの制御点で行います。
赤色、橙色マークの制御点は、角を出すために使い、ほどんど動かさないとのことです。
たくさんの制御点を打つことで、急カーブや角が綺麗に見えます。
⑤髪や細かい服
(1)、(2)先端の細かい部分を消去します。
(3)制御点をカーブに合わせます。
特に目を引くところは、筆圧ツールで線の先を細くすると、綺麗になるとのことです。
⑥線の重なり
(1)重なりは気にせず、線を引いてしまいます。
(2)解説イラストの橙色、ピンク色のマークの位置に制御点を打ちます。橙色マークは重なった線上、ピンク色マークは重なった線上のすぐ近くとのことです。
(3)マークより後ろのカーブをAltで消去します。
(4)ピンク色マークの部分は、制御点を線上に移動させます。
この方法のほうが、修正液を使用するよりも、早く、綺麗に線を引くことができます。
同一レイヤーでない場合は、修正液も使用するとのことです。
⑦重なった図形を描く時
(1)解説イラストのような図形を描きたい場合は…。
(2)線を重ねて描画します。
(3)ピンク色の線の部分を、修正液で消します。
(4)先程と同じく、重なるカーブ上、もしくは近くに制御点を追加します。
(5)余分なカーブを「Alt」で消去+移動させます。
修正液を使う際は、ハサミで線を断ち切るイメージで使うとよいとのことです。
その後は、線を引きやすい方向にキャンバスを回転させて、ペン入れをします。
目のペン入れ
①太い1本線で描く
16ピクセル程の1本線で、両端を筆圧ツールで細くします。
緑色のマークの部分は、トップを中心になめらかにするための曲線、端の緑色マークと、黄色マークの間は、徐々に線を細くするための曲線、ということを意識しておくと、ペン入れしやすいとのことです。
②細い線を重ねる
3〜4ピクセルのペンを使い、心ゆくまで線を引きます。
スキマに気をつけるとよいとのことです。
線の選択/移動・変形
選択/解除の四角で、制御点を選択します。
解除は右クリックで、赤が選択中という意味合いです。
選択したペン線は、ダイレクトに移動できたり、変形が行えるとのことです。
ペン入れの過程
途中経過①
ペンツールで全ての線をなぞった状態で、分かりやすいように色分けしています。
普段はもっとこまめに修正しながら作業しており、解説イラストのようにラフに線を引いているとのことです。
まとめ
・効率UPのためには、とにかくショートカットキーを活用します。
・はみだしは気にせずにどんどん線を引き、ある程度引けたら調整を繰り返します。
・いらない線は、基本的に「Alt」で削除します。(楽しくペン入れできる魔法の呪文。)
・やり直しは無限にできます。
・必ずしも1本の線で引く必要はなく、見た目が綺麗なら、しゃかしゃか重ねてもOK。
・どうしてもダメなところは、ラスタライズして鉛筆で描くという手もあります。
・難しいところはいくらでも拡大して、レイヤーを重ねて作業すればOKとのことです。拡大縮小に強いことが、ペン入れツールの強みとのことです。
途中経過②
カーブを調整したり、制御点を消去したりすることで、線をクリンナップします。
先程の状態からここまでで、約20分程とのことです。
線画の一番外側にフチをつける
線画の外側にフチをつけます。
外側の線画になる緑色で示してあるカーブを、線変更でクリックします。
その後、内側の線画になる橙色で示しているカーブを、筆圧ツールで元の太さに戻します。
全て塗り終わってから、Photoshopでフチをつけるのもありとのことです。
その他に、筆圧ツールで線に強弱をつける方法もあります。
解説イラストの状態で左右に動かすと、線の太さが変わるとのことです。
入り/抜き
簡単に入り抜きをつける方法
入り抜きは物体の凹凸に合わせて、線に強弱をつけることです。
上の解説イラストは入り抜きがついてなく、下の解説イラストには入り抜きがついています。
はり出している部分を細く、それを支える部分を太くすると、線が綺麗になるとのことです。
その他、毛先や服の端、とがった部分の最後をしゃっと細くすると、綺麗とのことです。
筆圧ツールで線に強弱がつけられます。
制御点上で左にドラッグすると細くなり、右にドラッグすると太くなります。
解説イラストの緑色マークの点が少ない方が、滑らかに強弱がつくとのことです。
ペン入れ後は色を塗って、イラストが完成しました!
まとめ
SAIのペン入れツールの使い方や、ペン入れのポイントを知ることができました。ペン入れの際の線画が綺麗にならない、ペン入れの作業速度を上げたいと思っていらっしゃる方は、tsugumiさんの解説を参考にしてみてください。
最後に、tsugumiさんのPixivとTwitterをご紹介します。素敵なイラストをご投稿していらっしゃいますので、ぜひご覧ください!
tsugumiさんのPixivはこちらtsugumiさんのTwitterはこちら