グリザイユ画法とは、元々絵画の技法で、最初にグレーで明暗を描き込み、後から色を乗せていくもの。デジタルでもグリザイユ画法はいわゆる「厚塗り」のイラスト制作に利用されています。グリザイユ画法では厚塗りイラストが比較的短時間で仕上げられます。
今回は、進藤咲絵子さんによるグリザイユ画法の解説イラストをpixivからご紹介。手順に沿ってポイントを押さえていきましょう!
※この記事で紹介している内容はご本人の許可を得て掲載しています。
Pixiv 「進藤咲絵子さん グリザイユ着彩」Pixiv 「進藤咲絵子さん グリザイユ着彩2」
この記事の目次
グリザイユ画法とは?
グリザイユ画法とは、グレースケールで先に陰影を描き、色を後から乗せていく絵画手法のこと。色よりも先に陰影をつけるため、立体感やメリハリが出しやすくなります。
元々は油絵などの下描きの技法でしたが、デジタル作画でも利用されています。
一般的にイラストは「アニメ塗り」「水彩塗り」「厚塗り」の3パターンに大別されることが多いですが、グリザイユ画法は時間のかかる「厚塗り」を短時間で塗り終えることを目指すもの。
デジタルでのグリザイユ画法は、線画とは別レイヤーにモノクロで陰影を塗り込んでから、さらに別の「オーバーレイ」「乗算」などのレイヤーで色を塗り、色調補正して仕上げていきます。
グリザイユ画法での体の塗り方をメイキングで解説
今回の進藤咲絵子さんによる解説では、グレーの陰影付けの工程はペインで「SAI」、着色を「CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)」で行なっています。
着色の工程で使用する「合成モード:ハードライト」レイヤーの機能がSAIにはないためです。
下書きにグレーで陰影を塗り込む
(1)まずは下描きをします。
(2)少しグラデーションをつけた下塗りをします。
上部から下部にかけて、徐々に明度が低くなっています。
(3)陰のラフを入れます。
(4)ラフだった陰をさらに描き込んでいきます。
グラデーションやハイライトを入れる
(5)関節部分などにグラデーションを入れます。
(6)肩、腕、胸など、光が強く当たる部分にハイライトを入れます。
合成モードで陰影とは別レイヤーに着色
(7)「合成モード:ハードライト」のレイヤーを作成して色を乗せます。
手順「1」〜「6」で陰影を既につけてあるので、ハードライトなどの新規レイヤーに色を乗せるだけで、解説イラストのような陰影+色で表現された絵になります。
(8)手順「7」で作成したハードライトのレイヤーに、関節部分などの赤味を入れます。
(9)手順「7」「8」の色味を調整すれば、褐色肌にもなります。
おまけということで、4種類のカラーパターンのイラストを載せています。
4種類のカラーパターンは、「合成モード:ハードライト」のフォルダの、パターン1レイヤーとパターン2レイヤーを使用して、表現しています。
陰影や赤みを描き込んだレイヤーには描き加えなくても、色味を調整するだけで様々なバリエーションが出せます。
SAIでオーバーレイの下塗り、クリスタで仕上げ
顔に関しても、体と同様の手順でグリザイユの着色を行なっています。
「オーバーレイ」の下塗りの工程までをSAIで行い、「ハードライト」「ソフトライト」の合成モードがあるクリスタに移行して、黒くなっている箇所に色をつけたり、仕上げを行います。
レイヤー構造は、解説イラストのようになっています。青色がSAIで作成したレイヤーで、橙色がクリスタで作成したレイヤーです。
まとめ
グリザイユ画法の手順を知ることができました。明暗を塗る工程と、色を乗せる工程を分けることで、陰影がつけやすくなると思います。グリザイユ画法に挑戦してみたいと思っていらっしゃる方は、進藤咲絵子さんの解説イラストを参考にしてみて下さい。
最後に、進藤咲絵子さんのPixiv、Twitter、ホームページをご紹介します。他にも素敵なイラストをご投稿していらっしゃり、イラストレーターとしてもご活躍していらっしゃいますので、ぜひご覧ください!
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