イラストを描く際に、キャラクターの髪の毛が自然な感じに仕上がらず、悩んでいる人もいるのではないでしょうか。本記事では、髪形の違いによる描き方や、髪の毛を上手に描くポイントについて、わかりやすく解説します。
この記事の目次
初心者のための髪の毛の描き方
イラストを描き始めたばかりの初心者は、まず髪の毛を描き方の基本を知っておく必要があります。ここでは、髪の毛の基本の描き方を説明します。
どのような髪形にするか考える
まず、イラストの髪の毛を描くときには、どのような髪形にするかを考えます。髪形は、キャラクターのイメージや特徴、印象を決める大切な部分です。
たとえば、女の子の髪形については、優しいイメージであれば、ふんわりとしたカールのロングヘアー、スポーティーなイメージであれば、ショートヘアーなどが考えられます。
男の子については、たとえば元気なイメージであればショートヘアー、王子様キャラであれば、ロングヘアーにするなどもよいでしょう。
キャラクターのイメージに合わせた髪形にしましょう。
つむじ・頂点の位置を決める
髪の毛を描く際には、つむじ・頂点の位置を決めてから描きます。つむじ・頂点は、髪の流れを決める重要なポイントです。
まず、髪の毛がない状態のキャラクターの頭(スキンヘッド)を描いてから、つむじ・頂点の位置を選びます。髪の毛がない状態の頭を最初に描くことによって、自然なつむじ・頂点を決められます。
前髪と後ろ髪の位置をきめる
前髪と後ろ髪の位置を決める際は、髪形に合わせて、つむじ・頂点からの髪の毛の流れを意識しながら決めます。前髪と後ろ髪の境目となるラインを引いておくと、わかりやすい場合もあります。
前髪については、まず生え際のラインやおでこの広さを決めてから、額の丸みを意識して位置を決めます。後ろ髪は、耳周りの髪の流れや、毛先の流れに注意して位置を決めましょう。
つむじ・頂点を起点に描く
すべての髪の毛の流れは、つむじ・頂点が起点となっているため、髪の毛を描くときには、つむじ・頂点を起点に考えます。最初は、矢印の線で髪の毛の流れる方向を描いておくと、わかりやすくなります。
髪の毛は、つむじから下に向かって、頭部全体を流れるように生えています。ただし、つむじを意識するあまり、すべての髪の毛がつむじから生えているかのように描いてしまうと不自然になってしまいます。
髪の毛は、つむじだけでなく頭部全体から生えているということを意識して、つむじはあくまで『髪の毛の流れの基準』として考えて描きましょう。
髪の毛を描くポイント
イラストで髪の毛を描くことは、顔を描くことよりも難しいといわれており、上手に描くためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
ここでは、髪の毛を上手く描くためのポイントについて解説します。
毛は束で考える
イラストの髪の毛は、リボンのような束をいくつも重ねて描いていくと考えます。
前髪は、先のとがったリボンを何枚も貼り付けるイメージで描きます。後ろ髪はねじったリボンのような、柔らかい動きのある束を何本も描いていくことで、立体的で柔らかい髪の動きを表現しやすくなります。
また、髪の毛の束は、すべて同じ太さにするのではなく、太さに変化をつけて描くと、自然な仕上がりになります。
長さを変えることで自然な仕上がり
髪の毛の長さは、すべて同じ長さで描くのではなく、少し変えることで、より自然な仕上がりになります。
髪の束の長さをすべて同じにしてしまうと、髪の毛が硬い印象になったり、重たい雰囲気になったりして、不自然になってしまいます。
より自然な髪の毛を描くために、髪の毛の束の長さが同じにならないように、短めの束と長めの束をミックスして、変化をつけましょう。
端の束を補足することでふんわりと
髪の毛の束の端に、少し細い束を加えることで、ふんわりとした髪の毛を描けます。
端の束には動きをつけることがポイントです。他の束とは方向を変えてもよいでしょう。
また、生えている場所によって、補足する端の束の太さを変えると、ふんわり感がアップします。
始めのうちは太い束を先に描いて、そこに端の束を付け足していくようにして描いてみましょう。端の束を付け足したら、太い束との境界線が不自然な部分を消します。
髪形・髪質に合った描き方
髪の毛を描くときには、髪形・髪質に合った描き方があります。髪形・髪質は、キャラクターのイメージ・性別によっても違ってきます。
また、髪形・髪質は、キャラクターを演出する重要なポイントなので、それぞれの特徴にあわせた描き方が必要です。
ここでは、髪形・髪質に合わせた具体的な描き方について説明します。
ショートヘアーの描き方
ショートヘアーを描くときには、常につむじ・頂点を意識して、全体のバランスを見ながら描くことが大切です。
つむじ・頂点を意識せずに描いていると、まとまりのない髪の毛になってしまうので注意が必要です。
ショートヘアーの描き方は、まず、つむじ・頂点から髪の流れを意識しながら、自分のイメージに合わせた長さの束を描いていきます。
そのあと、おくれ毛や毛先のハネなどの、細い束の髪の毛を描き足します。
ロングヘアーの描き方
ロングヘアーの描き方は、髪の毛をおろしているパターンと、髪の毛を結んでいるパターンの2パターンがあります。
髪の毛をおろしているロングヘアーの描き方は、つむじ・頂点を決めてから、前髪と後ろ髪の境目のラインや、生え際のラインを引いて位置を決めます。そして、長さの違う束を重ねながら描きます。
ポニーテールやツインテールなど、髪の毛を結んだロングヘアーの場合は、結び目に髪の毛が集まるようなイメージで、髪の毛のラインを描きます。
直線的なラインで結び目に髪の毛を集めてしまうと堅い印象になるので、頭の曲線に沿って、緩やかな曲線を描くように意識します。
テール部分については、つむじや頭の形は無関係なので、キャラクターの動きや風、イラスト全体のバランスを考えて、自由な方向で描きましょう。ねじったリボンを何本か描くイメージで、細い束なども加えます。
くせ毛、パーマ、ストレートの表現方法
くせ毛やパーマ、ストレートの場合も、基本の描き方は同じですが、それぞれの特徴を表現するためには、ちょっとしたテクニックが必要です。
くせ毛やパーマを描くときは、カール部分や毛先の動きが重要です。大きく波打った、ねじったリボンのような太い束を描いたあと、さらにカールの強い細い束を補足していきます。
ストレートの髪の毛を描くときは、見た目が重くならないように、ボリュームを抑えめに描くのがコツです。また、髪が肩にかかっている場合は、首や胴体のラインを意識しながら描くと、より自然なストレートの質感が描けます。
髪の毛における男の子と女の子の違い
男の子と女の子のイラストによっても、髪の毛の描き方に違いがあります。一般的には、男の子の髪の毛は硬く、女の子の髪の毛は柔らかく描くことによって、性別の違いを強調します。
男の子の髪の毛を描くときは、毛の束を太めに描いて、細い束を少なめにすることによって、硬い髪の質感を表現します。また、動きのある束も加えることによって、男の子らしさを表現できます。
女の子の髪の毛を描くときは、男の子よりも細い束を多めに描くことで、ふんわりとした柔らかさ、女の子らしさを表現できます。
表現方法で多彩なバリエーション
イラストの髪の毛の描き方は、アナログとデジタルのそれぞれで、多彩なバリエーションがあります。また、アナログやデジタルのどちらの方法で描くかによっても、仕上がりの印象が大きく変わります。
ここでは、アナログとデジタルによる、髪の毛の表現方法を紹介します。
アナログによる髪の毛の表現方法
アナログによる髪の毛の表現方法は、使用する画材によって異なり、主に以下のような画材を使用します。
- 水彩絵具
- 色鉛筆
- コピック
水彩絵具を使用して表現する場合は、ベースに薄い色を塗り、その上に濃い色を重ね塗りします。仕上げには細い芯のシャープペンシルで、細かい髪の毛を描き足して、髪の毛の繊細さを表現します。
色鉛筆を使用して表現する場合は、薄いベースとなる色を塗り、次にベースよりも少し濃いめの色を影として入れます。そして、さらに濃い色で髪の毛の陰影を強調させてから、ベースの色で全体をなじませて統一感を出します。
コピックの場合も、水彩絵具や色鉛筆と同じように、薄い色・中間色・濃い色の3色をぼかしながら塗っていくことで、髪の毛のリアルなツヤ感を表現できます。
デジタルによる髪の毛の表現方法
デジタルによる髪の毛の表現方法は、ペンタブレットとペイントツールを使用して描きます。
ペンタブレットは、細かい線やきれいな線を簡単に描けるので、髪の毛を描くのに最適です。しかし、髪の毛を1本ずつただ描いていくだけでは、立体的な髪の毛を表現するのは難しいです。
そこで、いろいろなタイプの『髪の毛用のぼかしブラシ』が無料で配布されているので、それを活用するのも1つ方法です。
また、髪の毛用ではない一般的な『ぼかしブラシ』を、使用する方法もあります。まず、ぼかしブラシでベースの色を塗り、次にスポイトで色を取りながら、極細のブラシを使って、毛先や毛の流れを描いていきます。
スポイトで色を取ることによって、髪の陰影をつけることができます。
まとめ
イラストにおける髪の毛は、人物の雰囲気を表す大事なポイントです。髪の毛を描くときには、つむじ・頂点を決めて、髪の流れに沿って束で描いていきます。
基本を押さえたうえで、さまざまな表現方法を試していくと、いろいろなバリエーションの髪の毛を描くことができるようになります。ぜひチャレンジしてみてください。